(9) 0808 田中 瑞菜「バナナ」

題名「　バナナ　」

　6月に介護施設実習があり、施設は通所リハビリテーションでした。利用者さんは全員が家から通っていらっしゃいます。介護施設での実習は初めてでした。施設には認知症の方や耳が聞こえにくい方、杖などを使用して歩く方など色々な方がいらっしゃいました。

　その中で老人車を押して片手にバナナを持って来られた方がいました。その方は席についてもそのバナナをなかなか食べず、大事そうに見つめているだけでした。「バナナ食べますか？」と声をかけても「うーん」という反応ばかり。「バナナお好きなんですか？」と聞くとニコッと少しだけ笑顔を見せてくれました。その時職員さんが「このバナナは息子さんが持たせてくれたんやよね、食べようか」とおっしゃり、その方はバナナをおいしそうに食べ始めました。大好きなバナナを食べている時、本当に嬉しそうでした。息子さんの優しい気持ちを考えると、心がとても温かくなりました。