しるもしらぬもあふかたのせき

地震から 512 日目

豪雨から 248 日目

 

発災以来ずっと寄り添ってくださっている

福岡第一高校さん

世界一の体育祭「夜の体育祭」に

今年は生徒会の生徒を連れて

行ってまいります

 

以前お伺いした際に

校長先生から未来の教育について

お話を伺いました

 

「数学や理科など生徒の得手不得手の激しい教科は

 全て選択制にしてレベルの高い教育を施し

 全員に学ばせるのは

 真に全ての生徒に必要な教科に絞るとよい

 その教科は国語・英語・歴史である」

 

歴史や古典を嫌いな生徒から

「なんで昔のこと学ぶ必要があるのか?」

という声を聞きます

 

私は発災以来

歴史を学ぶことの大切さを

身をもって知ることができました

 

たとえば

 

江戸時代の新井白石の随筆『折たく柴の記』

「この日の午時雷の声す

 家を出るに及びて

 雪のふり下るごとくなるをよく見るに

 白灰の下れる也

 西南の方を望むに

 黒き雲起こりて

 雷の光しきりにす。」

これは何のことを書いていると思いますか?

富士山「宝永の大噴火」の様子です

 

最初の火山灰は白灰であったが

やがて黒灰に変わっていることで

火山灰の成分の変化を読み取ることができます

 

ここで地学のメガネ

東京大学の発掘調査によると

薄い白い灰の上に黒い火山灰が約2cm積もっていることが

確認されています

 

ここで物理のメガネ

黒い灰が後から降り積もったということは

黒い灰の粒子は細かく

長時間にわたって大気中を飛散していたことがわかります

 

ここで保健体育のメガネ

この頃多数の住民が

呼吸器疾患に悩まされていた記録が残っています

 

再び古典のメガネ

当時の狂歌でこのように歌われています

「これやこの 行も帰るも 風ひきて 知るも知らぬも おほかたは咳」

これは何のパロディかおわかりになりますか?

百人一首にある蝉丸の

「これやこの行くも帰るも別れてはしるもしらぬもあふさかの関」

です

 

奈良県大和郡山市教育委員会の「豊田家史料」には

宝永噴火の際に採取された火山灰が

紙に包まれて保管されているそうです

 

そのほか噴火が10日間にわたって続いたこと

火山灰が用水に詰まって水の供給が絶たれたこと

も記録に残っています

 

このように歴史を紐解くことによって

未経験の災害であっても

どのような準備が必要か予測することができるのです

 

噴火が収まった後は

富士山への参詣客が殺到したそうです

漁師や百姓が観光業に転職して

収集がつかない状態になりました

もともと参詣客を相手にしていた元締めが

転職に制限を加えるようになったそうです

 

輪島に例えると

朝市復興後多くの店が乱立し

既存の朝市組合との間にいざこざが起こる

みたいなことでしょうか

そんな日がいつか来るといいなとは思いますが 


以前本校で「車いすバスケ」をしてくださった

フォースタートさんがまた来てくださいます

6月20日(金)13:50~です

どなたでも参加できますので

どうぞお越しください

 

 

 

 

 

 

 

 

【被災地に電気が灯るまで】第39回

 発電と電池の仕組みについて学び

 エネルギー問題の解決を目指すこのコーナー

 

充電のできる電池「鉛蓄電池」

のしくみについて学び

鉛と酸化鉛

どちらが負極つまり電池のマイナスか

考えてもらう宿題を出しました

 

それぞれが起こす反応は

 Pb + SO42- → PbSO4 + 2e-

 PbO2 + 4H+ + SO42- + 2e- → PbSO4 + 2H2O

これを見るとPb の式の右辺に

新たな電子 e が2個生まれているので

Pb が負極ということになります

 

「鉛蓄電池」は

低温環境への強さと制御の容易さに加え

メモリー効果がないのが最大の特長です

 

メモリー効果というのは

充電を繰り返すと容量がだんだん小さくなる現象です

携帯電話なんかでも

あんまり充電が減っていないのに

小刻みに充電すると

バッテリーの寿命が短くなってきますよね

あれです

 

私は人間のバッテリーも同じであると

最近しみじみ感じており

どんなに夜遅く寝ても

朝の4時には目が覚めて

それから眠れなくなるのです

つまりフル充電までの時間が

極端に短いのです

電気容量が限りなく小さくなっているようです

その証拠に朝の10時頃に充電が切れ

大事な話の最中にコクっと

いきなりブラックアウトすることがしばしばです

困ったもんです

その度に目を閉じて考えていたふりをしていますが

きっとバレていると思います

 

「鉛蓄電池」は自動車において主流でしたが

現在ではEVの普及に伴って

リチウムイオン電池の方に注目が集まっています

 

次回から

もっとさまざまな電池について

学んでいきましょう 


今日は東京で校長会

その後福岡へ向かいますが

車窓から富士山が見えました