晩鐘とホットワイン
地震から341 日目
豪雨から77 日目
パリへの出発が近づいてきました
生徒8名と教員2名が参加します
歓迎レセプションで
茶道部の長井さんが
みなさんにお茶を点てて差し上げます
輪島塗のお棗(なつめ)とお茶杓を
お土産としてお持ちすることとしました
本校茶道部へお稽古をつけてくださっている
上野欣代子様にご準備をしていただき
さらに昨日
お稽古もつけていただきました
棗とは抹茶を入れておく容器のことで
茶杓とは抹茶を掬い取るサジのこと
茶杓に「銘」をつけるという
光栄をいただきました
「銘」は
・・・
「晩鐘」でございます
「晩鐘」とは
夕暮れ時に寺院や教会に鳴り響く鐘
日本には「除夜の鐘」という文化があります
大晦日に108回鐘を撞いて
108の煩悩を祓うというものです
煩悩が108個あるのには諸説あります
私がおもしろいなと思うのが
「眼・耳・鼻・舌・身・意」の六根
これは人に迷いを与える入口
「浄・染」つまり綺麗か汚いか
「好・悪・平」の3つの心のあり方
そして
「現在・過去・未来」
これらをすべて掛け合わせて
6 × 2 × 3 × 3 = 108 になる
という説です。
あの日
最後の晩鐘を聞いたその16時間後に
全てが変わってしまいました
もう一度あの日に帰って
止まった時計の針を動かそう
そんな思いを込めての「晩鐘」
さだまさしさんの歌う
「晩鐘」という曲の中に
「時を亡くしたあはれ蚊のように
散りそびれた木犀みたいに」
というフレーズがあります
夏が終わって
仲間がみんな死に行き
ひとりだけ残され飛んでいる
季節外れの蚊のことを
「あはれ蚊」と昔の人は呼び
不憫に思い決してたたかなかったそうです
時折出張で輪島を離れ他の地へ行くと
そこには何事もなく普通の暮らしがあり
未だ住むところもない自分たちを
取り残された「あはれ蚊」のように
感じることがしばしばです
そんな思いも込めた「晩鐘」
これから訪れるフランス
そこを代表する画家ミレーの作品
「L'Angélus(アンジュラスの鐘)」
邦題が「晩鐘」です
一日の仕事の終わりを告げる晩鐘が鳴り響き
それを合図に農民夫婦が手を休め
神と祖先に感謝の祈りを捧げる様子を描いています
この絵はオークションにおいて
アメリカが提示した55万フランに対して
フランスが55万3000フラン(約5億5300万円)
で一旦落札しました
ところがフランス政府が支払いを拒否したため
アメリカに渡ります
その後フランスのデパート王が
「晩鐘」はフランスの宝であるとして
私財を投じて8億円で買い戻したという
歴史を持っています
現在はルーヴル美術館に寄付され
展示されていますので
ぜひ見てきてほしいと思います
今日も災害復興にあたってくださった方々へ
一日のお仕事に感謝を込めて「晩鐘」
寒い中一日中はたらいたあとは
ホットワインでほっと一息はいかが?
ホットワインはフランス語で
「Vin chaud(ヴァンショー)」
いろんな意味を込めての「晩鐘」です
先週の日曜日
教員のスポーツ大会が行われました
現場の山上先生からレポートです
「今回の教員スポーツ大会は
奥能登地区全ての学校が参加し行われました
輪島高校は
バレーボール優勝
バドミントンA優勝
卓球A準優勝という素晴らしい結果でした
ベテラン教員も若手教員も共に汗を流しました
大切な仲間へ皆で声を枯らして応援した輪島メンバーでした
皆さんキラキラしていました」
今日の「福島から能登 未来へ」
【黄色いアヒルちゃん】
東日本大震災が起きた時
3歳になったばかりだった娘には
当時の記憶がほとんどありません
唯一覚えているのは
「暗いところに緑色のお風呂があって
黄色いアヒルちゃんが浮かんでた」
爆発した原発から45キロ
何週間も断水が続く町に
自衛隊が立ててくれた
入浴支援のテントの思い出です
きれいになって
ホカホカに温まって
嬉しそうにアヒルちゃんと遊んでいた娘を
私もはっきりと覚えています
壊れた家
余震の続く真っ暗な夜
ひきつった大人たちの顔
そんなものではなくて
あたたかいお湯に浮かぶ
黄色いアヒルちゃんを
娘の記憶に残してくれた
自衛隊のお姉さんたち
今も感謝しています
どうぞ
お子さんたちに
何か明るいものを見せてあげてください
子どもの心に残る明るい記憶は
まわりで生きていく大人たちのことも
支え続けてくれるはずです
「福島から能登 未来へ」へ寄せられた投稿は
こちらのサイトでもご覧になれます
https://sites.google.com/fcs.ed.jp/fukushima-to-note/