学び舎 ゆめの森

地震から 696 日目

 

しばらく連載をお休みしていた間

何をしていたかというと

まずは東北へ復興を学びに行ってきました

 

今日ご紹介するのは「学び舎 ゆめの森」

 

 

 

 

 

 

福島県双葉郡大熊町にあります

ここは東日本大震災震度 6 強を観測

死亡者 53 名を出す被害を受けました

さらには福島第一原発の事故により

立ち入り禁止区域に指定されました

そのうち特定復興再生拠点区域は

2022年に避難指示が解除され

通行証なしで自由に出入りできますが

宿泊はできません

一方で帰還困難区域は

依然として立ち入りが禁止されており

国の許可なしに立ち入ることはできません

 

そんな中で

子どもたちの学びの場を確保するための

並々ならぬ努力がありました

そして今では

認定こども園での「あそび」と

義務教育学校での「探究」をつないだ

遊びの中から多くを学び

子どもと大人が一緒になって

みんなで未来を紡ぎ出す

そんな魅力的な学校になって

全国から子どもたちが

集まってくるようになりました

 

 

 

 

 

 

玄関をくぐると目に飛び込んでくるのがこれ!

図書館です

石川県の方

どこか見覚えありませんか?

石川県立図書館「ビブリオバウム」を

参考にしたそうです

 

 

 

 

 

 

毎朝ここで全校生徒が集まって朝礼します

チャイムは鳴らないそうです

自分たちでタイムマネジメントします

実は輪島高校も昨年からチャイムを止めまして

生徒も教員も時間に厳密になり

チャイムが鳴っても廊下でザワザワという

以前のようなみっともない姿は

見られなくなりました

 

 

 

 

 

 

教室の形はいろいろです

 

 

 

 

 

 

四角い教室はありません

 

 

 

 

 

 

そしてふたつとして同じ教室もありません

 

 

 

 

 

 

こんな隠れ家のような教室や

 

 

 

 

 

 

こんな寺子屋のようなお座敷教室も

 

 

 

 

 

 

こちらは音楽室

一段高く設計されています

普段は壁で仕切られていますが

このように壁を取っ払うと

演奏会ができるステージになります

 

 

 

 

 

 

楽器庫はガラス張り

楽器がオブジェになっています

 

 

 

 

 

 

のんびり読書のできるスペース

 

 

 

 

 

 

こちらは職員室の入り口

対面型のテーブルが設置されており

子どもたちが質問できる

スペースになっています

 

 

 

 

 

 

校庭に出ると

大阪・関西万博の大屋根を思わせる

吹き抜けと回廊

 

 

 

 

 

 

校庭でお米を作っています

自分たちで育てたお米で

調理実習しています

 

こんな素敵な学校ですが

校舎が完成したのはごく最近

それまではずっと間借りしていました

先生方は

被災したこの地で

子どもたちにどんな力をつけるのか?

そんな姿になって欲しいのか?

そのためにどんな学校が必要か?

そのことを徹底的に議論し続けたそうです

「最初に箱物ありきでは

 うまくいかなかった」

校長先生はそうおっしゃっていました

その時の議論のホワイトボードをそのまま

一室に残してありました

 

 

 

 

魔法のように突然素晴らしい学校が

できあがるわけでは決してありません

そこに至るまでは

学校と保護者そして行政が一緒になって

子供達の将来を真剣に考える

プロセスが必要なのです

 

「学ぶ環境が整っていない輪島にはいられない

 一家転住して転校させよう」

と考えている小中学生の保護者の方は

一歩立ち止まって考えていただきたいのです

 

環境さえ変われば勉強するようになるのですか?

与えられる学習環境を待つだけでよいのですか?

子どもたちの将来を

親も一緒に真剣に考えざるをえないこの環境こそ

子どもたちに本物の力をつけさせるチャンスです