教育の万博

地震から 532 日目

豪雨から 268 日目

 

この土日を利用して

NEW EDUCATION EXPO 2025 

いわば教育の万博に

大阪まで来ています

 

 

 

 

 

 

大阪の先生はちょっと出かけると

こういった機会に恵まれているのに

我々地方の人間にとっては

何万円という大枚を叩かないといけないので

こういったところにも

教育格差を感じます

 

とはいえ

自腹を切った研修は

それだけ貪欲に学ぼうという気になります

 

教育の第一人者である

鈴木寛先生のお話を聴くことができました

 

現在輪島高校も連携させていただいているOECD

そこが主催していて今年本校も参加予定の

学力検査PISA

前回の調査結果を踏まえ

現在実施されている教育施策について

お話ししていただきました

 

日本の子どもは学力が世界一なのに

ウェルビーイングが37位と

参加国中最低レベル

つまり幸福度が低い

 

詳しく分析してみると

学校生活には9割の子どもが満足しているけど

家庭からのサポートへの満足度が

世界最低なのだそうです

 

このことは家庭だけでなく

会社 社会 地域全体で取り組むべき課題です

 

まずは輪島高校ではこうしましょう

お子さんのいる教員は

最低週一回は定時に帰る

そしてお子さんと一緒に夕食を食べる

なんでもない一緒にいる時間を作る

 

それから

自分で学習する自信のない子どもが6割と

これまた世界最低

学習内容よりも学習のしかたを教える必要があります

中間テストを廃止して取り入れた

本校の「学びウイーク」の理念と一致します

期間中の行事をこなすだけでなく

どう学びに結びつけていくかを

追求する必要があります

 

教科書の内容が50年前の3倍と

カリキュラムオーバーロードの問題もあります

授業時間内で内容全てを教えることに無理があり

勉強のしかたを教えることの重要性が

ますます重要になっています

 

最近は通信制高校が

それも通学制の通信高校が人気だそうです

従来の通信制は

大勢の中にいるのが苦手な子

ひとりで学習したい子の受け皿だったのですが

今通学制の通信高校に通っている生徒が求めるのは

友達との協働学習なんだそうです

さらに学校の授業についていけない生徒は少なく

むしろずば抜けて優秀な生徒が増えてきています

このことは教科の内容を教えるのはAIで十分

たまに学校に来て

既習内容を協働学習によってさらに深める

そんな未来の学校の姿が見えてきます

何も月曜日から金曜日

週に5日も学校に来る必要などない

ということです

 

個々の生徒の認知特性にも配慮した

公正な個別最適化を意識した教材の提示も

工夫していく必要があります

ある調査によると

日本人成人における認知特性は

 聴覚優位 67.4 %

 視覚優位 13.4 %

 身体優位 17.2 % だそうです

これはほとんどの人において

耳から入る情報が

頭に入りやすく残りやすいことを

示しています

 

しかしながらこれまでの教育で行われてきた

教科書と板書中心の授業は視覚中心です

勉強が苦手と感じている人は

勉強ができないのではなくて

これまでの学校教育における 

インプットのさせかたに

問題があったということなのです

 

先生の話を聴くのに集中するのに

視覚情報を遮断するために

目を閉じて聴いていて

寝るなと叱られる理不尽な経験のある方

いるんじゃないでしょうか

ある建設業界では

視覚情報中心のマニュアルをやめたところ

驚くほど作業パフォーマンスが上がったそうです

 

教科の見直しも求められます

ある進学校に勤めていたころ

英数国は主要教科

その他は枝葉末節の枝葉教科

などと言われましたが

これからの主要教科は家庭科と保健体育です

家庭と体育は

教科横断型の合同科学の宝庫です

 料理はまさに化学だし

 食材の産地は地理

 運動力学は物理だし

 スコア分析は統計学

 

今多くの教員がイメージしている

「知識を身につけてから

 それを活用して探究活動を行う」

からの脱却が求められます

 

今後は部活動型の探究活動が求められるでしょう

送りバントが完璧にできるようになってから

練習試合に出すのではなく

練習試合で失敗させて

送りバントの練習の重要性を身をもって知る

自分が好きなことをとことん突き詰める中で

それに必要な知識を身につける

というスタイルです

 

そのためには

劇的変化を遂げている

教育AIの効果的な活用も

大きなポイントとなります

 

例えばテストの問題を作成する際に

問題集の問題文を読み込ませておいて

「〇〇な出題方法に書き換えて」

とお願いするだけで

オリジナル問題を作成することができます

これまで莫大な時間を要していた

テスト問題づくりの時間を

劇的に削減することができます

 

このことで捻出できた時間を

生徒に寄り添う時間に費やすことができます

AIがどんなに進化しても

教員にはなれないといいます

教員の最も大切な仕事は

「寄り添う」ことと

「勇気づける」ことだからだそうです

 

今回の震災で

私は痛いほどそのことを実感しました

「学校にどんな支援が必要か?」

と尋ねられた時に迷わず

「授業をしてくれ」

とお願いしました

被災地の教員にしかできない仕事は

「寄り添う」ことと

「勇気づける」ことだからです

このことを私は

一言も口にしたことはありませんでしたが

先生方一人ひとりが

実践してくださっていました