石川県教員総合研修センター 所長 あいさつ

令和5年10月10日

「新たな教師の学び」を支える教員研修の充実を目指して

 所長 杉中 達夫      

 

 先日、研修後の受講者アンケートに、このような振り返りを見つけました。

「授業整理会をどのように進めていけばよいのかについて大変参考になりました。具体例が多く、実践意欲が湧きました。いてもたってもいられずに講義を聞かなければならない時間にもかかわらず、これからの本校の改善案を考えてしまいました。次の会議で考えをまとめて提案しようと思います。」

  研修を受けながら、もう明日からの自らの取組にワクワクしている姿が窺われ、研修を企画した私たちも嬉しくなりました。
 さて、中教審の「令和の日本型学校教育」を担う「新たな教師の学びの姿」として、子供たちの学び(授業観・学習観)とともに教師自身の学び(研修観)を転換し、個別最適な学び、協働的な学びの充実を通じた「主体的・対話的で深い学び」を実現することが示されました。また、多様な専門性を有する質の高い教職員集団を形成することにより、学校組織のレジリエンス(復元力・立ち直る力)の向上を図ることが求められています。
 本県では教員の大量退職が終盤を迎え、学校現場は、層の薄いベテラン教員と多くの若手教員という年齢構成になってきており、若手教員の中にも主任等のリーダー的な役割を任されている人も増えています。
 また、教職員集団には学校が直面する様々な教育課題に対応できる専門性が求められるようになっています。しかしながら一人の教員が学びに充当できる時間には限りがあり、すべての課題に対応できる専門性を身に付けることは困難です。したがって、若手やベテランそれぞれの教員が自らの強みを伸ばし、新たな領域の専門性を身に付けて学校内で力を発揮していくことが必要です。
 管理職には、部下職員の学びを後押しし、身に付けた専門性を校内研修や授業研究など、同僚との学び合いで深め、多様な教育課題を克服できる組織として進化させていく手腕が求められます。
 今年度より各学校では、研修履歴を活用した資質向上に関する指導助言が行われています。管理職との対話を通じて教員が自らへの期待を感じ、自分の強みや学校で果たすべき役割などを踏まえながら、必要な学びを主体的に行っていってほしいと思います。
 教員総合研修センターでは、受講する皆さんが受講をきっかけとして、さらに自ら学ぼうとする意欲が高まるよう、また、学んだ内容を同僚と振り返り、具現化して自分自身や各学校の取組に活かすことができるよう、いしかわ型教員研修体制の一層の充実に努めてまいります。