学校研究

 

研究主題と副主題

 

    

  主体的に学び,相手意識をもって表現する子の育成

   ~協働的な学びの充実を通して~ 

 

1 主題・副題設定の理由

 学習の振り返り(研究紀要,学力向上プラン等)を見ると,以前に比べ書く力がついてきており,自分の考え をもち,与えられた形式を使い,書いて伝える力は向上しつつある。しかしながら,目的に沿って順序よく説明する文章を書いたり,必要に応じて情報を取り出したり,取り出した情報に解釈を加えたりして,相手に適切に伝えることが 依然として苦手である。自分の考えは自分だけがわかればよい場合もあるが,多くの場面で自分の考えを説明し,他理解をしてもらえるからこそ,共感したり考えを深めたりして,その考えが生きてくると思われる。令和の日本型学育は、今の学校教育環境が抱える課題に対応するために、「子どもの側に立ち、子どもを主語にする」という学ぶ側からの視点で捉え直し、全ての子どもの可能性を引き出す「個別最適な学び」と「協働的な学び」の実現を目指してる。校では,少人数を生かした取り組みが以前から行われている。複式授業で作り上げた学習ガイドを使って授業を進めていくことや個々の児童の特性を把握した支援などは何年間も続けられてきており,「個別最適な学び」を実現していくための土台となっている。しかし,人数が少なくクラス替えもないことからお互いのことをよくわかっており,あまり苦労せずとも自分の考えが相手に伝わってしまう。そのため,伝えることがあいまいな表現になっていることも少なくない。「協働的な学び」では,協働による問題解決の方法を学んだり,正誤を問わず他者の考えから学んだりしていく。この場面において,考えを聞き合い,理解し合うような相手意識をもって伝え合うということが大切になってくる。個別最適な学びで学んだことを確かめていくためにも協働的な学びは必須となってくる。また,生き生きとした雰囲気の中で子どもたちが意見を交わすような充実した協働的な学びを行うためには,教室が安心安全な場であることが必要である。安心安全な場であるとは、「どんな意見も認められ、受け入れられるような温かい雰囲気がある場」であり,この中であれば、子どもたちは意欲的に学習に取り組み、活発に意見の交流が行われていくと考えられる。

 これらのことから,今年度の研究主題を「主体的に学び,相手意識をもって表現する子の育成」とし,副題を「協働的な学びの充実を通して」とする。少人数を生かして進めてきた「個別最適な学び」を基礎的な力とし,さらに「協働的な学び」について研究していくことで,相手意識をもって表現することができる児童の育成を目指していきたい。

 

2 研究の重点

重点1 協働的な学びの場や手立ての工夫

 協働的な学びを「どんな場面で行うか」や「どのような手立てでおこなうのか」などを明らかにし,他者との交流を通して考えを深めたり確かめたりできるようにする。

(1)協働的な学びの場

  ・発表や話し合いの場面

  ・協働での意見整理の場面

  ・協働制作の場面

(2)協働的な学びの手立て

  ・子供が説明をしたり聞いたりしながら問題解決をする。

  ・文面を見合い、多くの考えに触れる。

  ・異なる考え方に触れ、学びを生み出す。

  ・ペアやグループで意見を交流する。

  ・ホワイトボードに話し合ったことをまとめる。

  ・付箋紙に意見を書き、交流する。

  ・ポスターなどを作成して発表する。(他者を意識し、伝える力)

  ・立場を決めて議論する。(多面的多角的に考える力)

  ・グループで学習課題を立て調べ学習を行う。(協働し課題を解決する力)

  ・互いの考えを伝え、自らの考えや集団の考えを発展させる。(多様な他者から学び、発信する力)

  ・タブレットを活用し、グループで分担し、協働で作業しながら資料を制作する。

   (役割を果たし、自己効力感を高める)

 

重点2 生徒指導の4つの視点を生かした協働的な学びの工夫

 生徒指導の4つの視点を生かし,子どもたちが意欲的に学習に取り組み、活発に意見の交流が行なえるようにする。

(1)自己存在感の感受

  ・児童が「自分も一人の人間として大切にされている」と感じ、自分を肯定的に捉える自己肯定感や、認められた

   という自己有用感を育む工夫をしている。

  ・児童の願いや思考と教員のねらいとのバランスを図り、「どの児童にとっても分かる授業・面白い授業」になる

   ようにしている。

  ・学習意欲や授業への参加状況、学習上のつまずきの原因等を把握し、継続的で確かな児童理解に基づく適切な支

   援を行っている。

  ・ICTを活用するなどして、学習の状況等に基づく「指導の個別化」や、児童生徒の興味・関心等に応じた「学習

   の個性化」により個別最適な学びを実現できるようにしている。

(2)共感的な人間関係の育成

  ・失敗を恐れず発表できたり、間違いやできないことがあっても笑われたりせず、お互いの考えに関心を抱き合え

   るような学習集団づくりを促進している。

  ・児童の考えを最後までしっかりと聞き、受け止めている。

  ・発言力のある一部の児童とのやり取りのみで授業が展開されるのではなく、一人一人の反応やつぶやき、誤答を

   大事にし、それらを生かして学びを深めようとしている。

  ・児童一人一人の強みや個性を生かせる機会を提供したり、相互評価を取り入れたりするなど、お互いのよさに気

   付くことができる工夫をしている。

(3)自己決定の場の提供

  ・児童生徒が自ら判断し、決定し、実行できるような学習課題や学習活動を工夫している。

  ・多様な考えを引き出すための発問を工夫し、お互いの考えを共有して、自分の考えをより確かなものにできるよ

   うにしている。

  ・自力解決する時間を十分に確保したり、考えを自分なりに表現できるような支援をしたりしている。

  ・授業の振り返りにおいて、何が分かり、何ができるようになったのかを自覚し、自ら新たな課題を見いだすな

   ど、主体的に学習に取り組むことができる工夫をしている。

 

(4)安全・安心な風土の醸成

  ・お互いの個性や多様性を認め合い、安心して授業が受けられるような風土を、児童自らがつくり上げられるよう

   に支援している。

  ・授業におけるルールの意義や価値を児童が実感できるようにし、規範意識を育成している。