平成23年度 第64回卒業証書授与式
学校長 式辞
大寒を過ぎてから豪雪となったこの冬も終わり、わが緑が丘の台地にもようやく春の息吹が感じられる今日、花岡博司PTA会長様、小川陽子同窓会長様並びに歴代校長様をはじめ多数のご来賓の皆様のご臨席をいただき、ここに第64回卒業式を挙行できますことは、本校関係者の等しく喜びとするところであります。
卒業生の皆さん、卒業おめでとう。3年間、夏の暑い日差しのもと、また冬のつらい吹雪のなか、通い続けたガレリアに代表されるこの学び舎を皆さんは本日巣立つことになります。今皆さんの胸中は、きっと清々しい満足感に満ちあふれているものと察します。
保護者の皆様、本日お子様が3か年の蛍雪の功なり、めでたく金沢二水高等学校卒業を迎えられましたこと、3年間お子様と苦楽をともにし、本校と何かと関わりあっていただいたご苦労を思うとき、感無量であると拝察し、心から卒業をお喜び申し上げます。
さて、3年間の高校生活を振り返って見ますと、桜花爛漫の中、本校へ入学した初々しい1年生では、期待と不安が入り交じったなか高校生活がスタートし、5月の陸上競技大会、夏の二水祭を経てようやく二水生らしくなったはずです。本校の中堅として部活動・生徒会活動はじめ大事な役割を担った2年生では、上海万博の影響を避け北海道への修学旅行となり、班別自主研修や富良野自然体験に楽しく取り組みました。本年度は最上級生として積極的に「二水祭」はじめ学校行事を推進し、さらに進路実現に向けて果敢に挑戦し、最大限に努力し続けました。このように皆さんは本校の伝統を受け継ぎつつ新しい課題に立ち向かい、本校の新たな時代の扉を開けた生徒たちであると言えましょう。
高校時代の最大の出来事は、昨年3月11日に発生した「東日本大震災」であります。その後続いた原発事故を含め、わが国に未曾有の危機をもたらし、現在も復興がままならない地域も多く残されています。身近な人を亡くしたり、家や財産を失ったり、仕事・職場を失ったり、悲しいことばかりですが、唯一の希望の灯りは若い人たちに国民としての絆と自分が今果たさなければならないことの自覚をもたらしたことです。今後のわが国の復興は若い人たちのエネルギーが原動力であり、周りの大人はそれをサポートすることが肝要かと思います。
一方、わが国を取り巻く国際情勢では、東アジア圏においてわが国はもはや絶対的な求心力を持つ国ではありませんが、中国・韓国・台湾並びにインドシナ半島諸国と友好関係を保ち、更に発展させていく謙虚な姿勢が要求されます。今後国際人として生きる皆さんにとって、ぜひ必要なことであります。
今日、皆さんを取り巻く世界は、グローバルスタンダード混迷の時代にさしかかっていると言えましょう。このような時代だからこそ、皆さんの若い感性・情緒力で世界に安定と平和をもたらしてほしいのです。
明治維新を切り拓いた西郷隆盛南洲先生は、「幾たびか辛酸を経て志始めて堅し。」(人の志というものは幾度も幾度もつらいことや苦しい目に遭ってのち、はじめて固く定まるものである。)といっておられます。このことを踏まえ、これからの人生を生き抜いていく卒業生の皆さんにはなむけの言葉として3つのことを話したいと思います。
最初に「誠実であれ」
皆さんは、自分自身はもちろんのこと、他に対しても心に「誠実さ」を刻みながら、対処していく姿勢が人生の根本姿勢となります。時には人間関係で悩むこともあるかと思いますが、解決方法はただひとつ誠実を貫くことです。誠実にかつ真摯に対応する人は必ずや周りの人から信頼されます。
2つ目に「共生社会に生きる」という姿勢です。
今後の日本の復興のポイントは「一人一人が互いに理解し合い、認め合う」つまり共生(ともに生きる)社会を構築すること、また、「自分一人が良ければそれで良い」とする態度ではなく、「自分も幸福に生きることを願っているが、同様に相手も幸福に生きたいと願っている」ことを理解しなければなりません。勝手気ままに行動する人や、公共マナーに欠ける人、さらに周囲の人にあまりに無関心な人たちが闊歩する風潮を打破し、ぜひ皆さんは相手に好感を持たれるような言動を心掛け、また相手を理解しようとする思いやりを持って対処することを心掛けて、立派な共生社会の一員となってください。
3つ目は「早起きをする」という習慣づけです。
何かをするために時間がないと嘆く前に、朝1時間でも2時間でも早起きをしてみましょう。大気・宇宙の「浩然の気」を独り占めし、自分の課題に静かに向き合い、地道に取り組んでいく。朝の時間は皆さんを向上させる芽が育つ貴重な時間となるはずです。ぜひ実行してみてください。
卒業生の皆さん、今後は、母校金沢二水高校、ふるさと石川で培った精神文化に誇りと愛着を持って、真の国際人としてグローバルな視野で人生を切り拓いていただきたいと思います。
終わりに、本日ご臨席のご来賓の方々、保護者の皆様に深く感謝申し上げますとともに、卒業生の皆さんの前途が幸多からん事を心から願って式辞といたします。
平成24年3月2日 石川県立金沢二水高等学校長 近藤 繁彦
答辞