校長のつぶやき

社会で生き抜くための武器

総体総文が終わった後の全校集会で、次のように生徒諸君に伝えました。

私は、高校の役割というのは、社会的自立を目指すための武器を手に入れることだと思っている。では、一体何が、皆にとっての武器になるのか?

昨年、何人かの生徒に「あなたの武器は?」と聞いたところ、「資格」「マナー」と答えた人が多かった。北陵高校の環境をよく踏まえた答だ。

 ここで、皆にもう一つ身につけてほしい武器を言う。それは「自分で自分をコントロールする」力、漢字で書くと「自律(自ら律する)」の力だ。

テストが近づいて本当は勉強しないといけないのにスマホをいじってしまう、何かにイライラし、そのイライラを制御できなくて周りの人に当たってしまう、マスク無しの会話はウイルス感染拡大を招く可能性があることを知っていながら会話を我慢できない、そうした経験は皆持っているはず。目標のためにグッとこらえる、楽をしたいという感情に簡単に流されない、そのために、自分で自分をコントロールする力を身につける。これこそが、社会の荒波に対抗できる武器だと思わないか。

 とはいっても、自分で自分をコントロールするのは難しい。それにはテクニックが必要。簡単に言うと、自分の中に、冷静に物事を見るもう一人の自分を作り出す。これを「メタ認知」と言う。メタ認知は、言い換えれば「より良い気づき」。自分の行動や感情を第3者の見方で俯瞰(ふかん)的に見て、悩んでいる自分、怒っている自分、喜んでいる自分に自身で気づき、そして、より良い方向に上書きしていく。

 小・中学校で多くの挫折や悩みを経験してきた人は、成功体験しか持っていない人より、多くのことを学べている。「今まで、無駄なことなんて何一つなかったし、これからも私は成長できる」。最終的にそう言い切れるために、自分をコントロールする力を身につけてほしい。

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しばらくして、業後に校内を回っていたら、若手の先生達が、有志で勉強会を開いていた。講師は、本校デジタル環境の質向上のために、今年度定期的に来校して頂いているデジタル関連業務の民間プロの方。校内ICT環境をどう高めていけばいいのか参考にしたいとの思いが高じての勉強会、素晴らしい。「学校ICT環境」のメタ認知に繋がればと思う。