七尾高校では,これまでに開発した探求型授業を普通科にまで広げ,全校体制で実施しています。課題研究に関わる取り組みについて,1年次を「知の探求基礎」,2年次を「知の探究実践」,3年次を「知の探究発展」として実施しているのが,本校の特徴です。

目次

A 学校設定科目(課題研究基礎)
    第1年次「知の探求基礎」

1. B探究Ⅰ(1年文フロ),F探究Ⅰ(1年普通),R探究Ⅰ(1年理数科)

1年次には,探究活動に必要な基礎的なスキルを身に付けることを目的に,以下のような授業を行っています。またこれらの授業は,本校独自の「ユニット制」により実施されています。

● ガイダンス
1年の一番初めに受ける授業です。生徒はこれから経験する探究の授業について説明を聞きます。また七尾高校の探究活動の到達目標を,本校独自の評価方法である「段階的ルーブリック」をもとに理解してもらいます。 

 

 

● テクニカルライティング
科学的なレポートを簡潔に書く技術であるテクニカルライティングについて学びます。人に伝わる,わかりやすい文章を書くための基本的技術を習得し、これからのレポートを作成する準備をします。
(写真:レポートの作成に取り組む)

 

 

 


● 文献調査
これまでに何がわかっているかを調べる技術として文献調査の方法を習得します。具体的には,百科事典を用い,歴史上の人物について調べ,調べた結果をポスターにまとめます。理数科の生徒は日本語だけでなく,英語のポスターも作成し,英語でのプレゼンテーションにもチャレンジします。
(写真:百科事典を使って調べる)


● ポスター作成講座
わかりやすく,相手に伝わりやすいポスターの作り方を,大学の先生から学びます。文献調査の授業とリンクしており,文献調査で調べた人物についてポスターでまとめます。続いて受講する「プレゼンテーション講座」では,ここで作ったポスターを使い,発表会を行います。

 

● プレゼンテーション講座
大学の先生から,ポスターやパワーポイントを使った,プレゼンテーションの方法について学びます。文系フロンティアコース,理数科の生徒は日本語だけでなく,英語でのプレゼンテーションの仕方も学びます。

 

● ディベート
相手と上手に議論をする方法を身に付けるために,ディベートを学びます。「日本はコンビニエンスストアの夜間営業を廃止にすべきである」といった身近なテーマについて,肯定,否定の立場から立論し,ディベートします。各クラスの代表グループによる「ディベート大会」も行われます。
探究活動 「2030年の能登の人口を推定する」
3学期までに身に付けた探究スキルを,実際に活用する授業です。生徒は国税調査のデータ(1920-2012)を用い,2030年に能登の人口がどうなるかを推定します。数的な根拠を持って推定し,主張することの大切さを知ることもこの活動の目的です。また,2年次におこなう,融合プロジェクトに向けて,能登の現状を理解することもねらいとしています。
(写真:ディベートでの討論の様子)

 

探究活動「能登の各市町の分析,能登の地域資源の分析」(B探究Ⅰの独自のユニット)
内閣官房「まち・ひと・しごと創生本部事務局」が提供する「地域経済分析システム(RESUS)」を用いて能登の各市町について地域経済の特性を分析し,ポスターにまとめます。ここで調べた内容をさらに発展させ,次年度にはビジネスプラングランプリや,観光甲子園などのコンテストにチャレンジします。
(写真:「能登の人口推定」発表会)

 

2. 自然科学研究Ⅰ(1年理数科)

理数科の1年次はR探究Ⅰに加え,自然科学研究Ⅰも受講します。生徒は2年次におこなう「課題研究」に必要なスキルを身に付けるため,実験や実習を中心とした授業を受けます。

 

● 科学実験基礎講座
基本的な実験器具の取り扱い方と,科学的に考える方法,分かりやすくレポートにまとめる方法を学びます。例えばマイクロピペットや精密はかり,各種センサーの使い方を学びます。また複数の答えが考えられる「3mLと5mLの目盛りを記した試験管を用いて水を4mL測り取る」という課題を行い,多方面から論理的に問題に取り組むことの面白さを経験します。

 

 

● 味覚への挑戦
人間の味覚について,体験型の実習を行っています。生徒は,味覚が生じる閾値や味の相乗効果を自分自身の舌で感じ,その不思議を知ります。この授業を通して生徒たちは,生命の様々な感覚や現象に対する好奇心を育みます。

 

● 薬草調査実習
七尾市の赤蔵山や七尾高校の敷地内で,薬草の調査と採集を行います。フィールドワークを通し,植物の採集方法を知り,植物標本の作り方を身に付けるのが目的です。調査には金沢大学の先生が同行し,採集した植物の名前や薬効について教えてくれます。これを記録し,パソコンでまとめ,七尾市でみられる薬草のデータベースを作成します。

 

● 地学実習
金沢市大桑地区に分布する「大桑層」で化石を採集し,室内に持ち帰ってクリーニング,同定を行います。大桑層で産出する化石は現生する種が多く,現在の生息域の環境(温暖な地域か,寒冷な地域か,浅い海か,深い海か)をもとに,過去の環境を知ることができます。生徒は自分が採集した化石を手掛かりに,大桑地区の環境変動を考えます。実習は,金沢大学で行われます。
(写真:岩石ブロックから化石を取り出す)

 

● 最先端医療
金沢医科大学の先生から,「細胞治療の現場と今後の展望」や「ゲノム治療」など,最先端の医療についての講義を受けます。これにより,医学に関する興味関心をもち,また後の医療の発展や医療倫理について考えます。

 


 

 

● リモートセンシング
リモートセンシングの技術について講義で学び,衛星画像を解析し考える探究活動を行います。具体的には,衛星画像からサーモグラフを用いた温度分布地図を作成し,それをもとに生徒各自がテーマを設定し,探究します。テーマ例:「なぜ手取川の上流と下流では温度が異なるのか」,「志賀町沖合にみられる高温域のできる理由」
(写真:「リモートセンシング」発表会)

 

● 電気
電気の 概要について学び,使いやすい可変コンデンサーを作製したり,フランクリンモーターの回転数に影響する要因について実験するユニットです。この探究活動では,自分が立てた仮説を実体化させ,検証し,考察することをねらいとしています。また,北陸電力雷センターを訪問し,冬の北陸で頻発する落雷のメカニズムとその対策について,学習します。
(写真:電気についての事前講義・実験)

3.リサーチコミュニケーションⅠ,Ⅱ(1年,2年理数科)

次の目標のもと,R探究Ⅰ,Ⅱと連携させ,英語でポスターやスライドをつくり,ポスターセッション,口頭発表を行うとともに,英語でのスピーチやディベートを行います。
(写真:ALTから、英語原稿の添削を受ける)

 

  • 国際的な場面で活用できる実践的英語コミュニケーション能力を身に付ける。
  • 英語でのプレゼンテーションやディスカッションを行うスキルを身に付ける。
  • 国際的な研究交流を通して多様な価値観や広い視野を身に付ける。
4. シティズンサイエンス(2年文系フロンティアコース)

文系フロンティアコースの生徒を対象に開講されます。理科分野の基礎的な学習と探究活動により,科学的な見方や考え方を養うとともに,科学に対する興味・関心を高めるのが目的です。科学技術の発展,人間生活の中の科学,これからの科学と人間生活を考える授業を行います。
(写真:環境について考える「みんなのトンボ池」)

 

B 学校設定科目(課題研究実践)

1. 自然科学研究Ⅱ(2年理数科)(課題研究)

理数科の2年生は,自分自身で研究テーマを設定し,探究し,まとめ,発表する課題研究活動をおこないます。これにより将来研究に携わる場面で必要となる,発想力,思考力,探究力,表現力の向上を図ります。
(写真:海藻のクロロフィルを抽出する)

 

■ 課題研究の流れ
 理数科の課題研究は,大きく3つの時期に分けて実施されます。


第1期 テーマの設定

  1. 1年生の冬休みに,クラス全員一人ひとりが,課題研究で研究したいテーマについて考えます。
  2. 冬休み明けの1月からそのテーマについて,文献やインターネットでの情報収集を行い,具体的な実験計画をたてます。
  3. たてた実験計画について,一人ひとりが研究をおこないます。
  4. 実験結果をもとに,教員と一緒に課題研究のテーマとして適切かどうか考えます。
  5. クラス全員一人ひとりが,自分のテーマと実験結果を発表します。
  6. 発表をもとに,生徒は自分が取り組みたいテーマを選びます。これをもとに,4人ずつ10グループに分けます。


コロナの休校期間中は次のように対策し,学校再開後にスムーズに課題研究をすすめられるようにしました。

  1. 自宅でインターネット等での情報収集を行い,実験計画を立てるよう指示した。
  2. 個人で実験を行うよう指示した。
  3. 4月中旬にClassiを利用し,全員に課題研究テーマについてアンケートを行った。
  4. 3の結果をもとに,テーマを10に絞り,グループのメンバーを決定した。
  5. Google meetを用いて各グループと教員がミーティングを行い,休校期間中の実験計画を設定し,家庭でできる簡単な実験を行うよう指示した。必要な場合,実験機器を貸し出した。
  6. Googleclassroomに各グループのクラスを作り,⑤の実験結果などをメンバー間で共有した。また,定期的に教員とGoogle meet でミーティングを行った。

 

第2期 研究の実施(2年生4月〜2年生12月)

2年生になると生徒たちは次のような手順で課題研究に取り組みます。

  1. グループのメンバーが話し合い,実験の計画を立てます。
  2. 実験をスタートします。課題研究ではまず,実際にやってみるということを重視しています。
  3. 実験結果をもとに,何が分かったのか,考察します。その際,なぜそうなったのかなど問題意識を持ち,次の課題の設定へと繋げるようにします。
  4. 次の課題の設定をします。
  5. この課題に対して,仮説を立て,検証実験を行います。
  6. 検証実験の結果について,考察します。考察の結果,もう一度④に戻り,新しい仮説を立て,さらに研究を行います。このとき,①に戻って計画自体を検討する場合もあります。
  7. 研究の成果をポスター,パワーポイントにまとめます。
  8. 研究の成果を校内,校外の研究発表会・学会などで発表します。


 
第3期 研究の発展(2年生12月〜3年生8月)

  1. 12月までの発表に対するアドバイスをもとに,内容を見直します。発表時に得られた助言や,質問などを基に,さらに研究の検討を行います。
  2. 検討を基に新しく実験をおこなったり,先行研究を調べたりします。このループを数回繰り返すことで研究をより良いものにしていきます。
  3. 検討を重ね,完成した研究を学会などで再度発表します。また,まとめた論文を,各種コンテスト等へ応募します。
2. R探究Ⅱ(2年理数科)

課題研究を充実したものにするため,研究に関係する各種スキルを身に付けることを目的に,以下の授業をおこないます。

 

●パラグラフライティング
論理的な文章を書くための世界標準の文章技法である,パラグラフライティングについて学習します。
(写真:「パラグラフライティング」の手法を学ぶ)

 

 


●課題研究実践演習
自分たちの課題研究を題材として,実験計画法(課題の設定の仕方や仮説の立て方,調査・実験の計画の仕方)を学びます。また各研究に必要な実験器具の操作,先行研究の調べ方(文献調査の方法),データのまとめ方やグラフの書き方,統計処理の方法を学びます。

3. F探究Ⅱ(2年普通科普通コース)


 

普通コースの生徒は,「能登を探究する」というテーマのもと,課題研究を行います。次の2つを目的にしています。

  • 1年生で身に付けた探究スキルの活用を図り,探究能力を育成すること。
  • 2年生後半から行う融合プロジェクトの準備をすること。

自然科学的テーマや社会科学的テーマで研究を行いますが,その際,数量的データを集め,それをもとに考察をすすめることを重視しています。

 

 

■ 活動の流れ

1学期

  • テーマは次のように設定します。
      文系・・・歴史,文化,産業,未来
      理系・・・自然,産業,未来
  • 第1段階としてテーマについての調べ学習を行います。
  • これをもとにまとめのポスターを作成します。

2学期

  • 第2段階として探究活動を行います。
  • 課題を設定し,課題に対する仮説を考えます。
  • 自分たちが設定した仮説に対し,検証する作業を行います。
  • 集まったデータや情報をもとに,考察を行います。
  • まとめのポスターを作成し,研究の成果を発表します。
4. B探究Ⅱ(2年普通科文系フロンティアコース)

文系フロンティアコースの生徒は,2年次に課題研究として,能登の活性化のためのビジネスプランや観光プラン作成を行います。観光プランは,NEXT TOURISM 主催観光甲子園に、ビジネスプランは日本政策金融公庫主催の高校生ビジネスプラン・グランプリに応募し入賞することを目標に研究をすすめます。


■ 活動の流れ

4月~7月  書籍やインターネットを使い,調べ活動をします。
8月~10月 各テーマに応じたフィールドワークを行います。
また,SDGsについての講義を受けたり,金沢大学の留学生に取材をおこなったりします。
11月 外部からアドバイザーを招き,中間発表会をおこないます。
ここで得られたアドバイスを元に,自分たちのプランをさらに検討し,ブラッシュアップを図ります。
12月 石川県のNSH合同発表会で,研究の結果を発表します。
5.融合プロジェクト(B探究Ⅱ,F探究Ⅱ,R探究Ⅱ)2年,3年

七尾高校オリジナルの探究活動です。クラス横断的なグループにより課題研究をおこなうのがその特徴です。異なった背景を持つ生徒(普通科文系フロンティアコース・文系・理系,理数科)が協働することで,多面的な観点の大切さに気づき,複合的な視点を持つようになることを目的にしています。
生徒をクラス横断で,40のグループに分けます。生徒は「能登の課題」について調べ,その解決策を提案します。

 

 

 

 

■プロジェクトテーマ
人口(流出の抑制),人口(他からの移入),観光(宣伝と新しい取組),観光(既存施設等の活用)里山里海,交通機関
(写真:クラスを超え、 協働してテーマを考える)


■活動の流れ *1~4は2年次3学期,5~7は3年次1学期。

  1. 現状の理解
    プロジェクトテーマについて,現状をまとめます。グループ内で調査項目を分担し,各自が調べ,それをグループ内で共有し,まとめていきます。

  2. 能登地域の課題を考える
     ①の現状調査の結果をもとに,今の能登地域の課題を考えます。その際,KJ法などの発想法により,ブレインストーミングし,課題設定していきます。
    また,自分たちが設定した課題について,現状がどうであるのか,なぜ問題であるのか,根拠となるデータを集めます。

  3. 解決案を考える
     設定した課題に対して,解決案を複数考えます。この時にも,KJ法などの発想法を使います。
    また,自分たちが考えた解決案について,どうしてその策により解決できるのか,根拠となるデータを集め,その妥当性を検討します。

  4. 能登の課題に対する解決策の提案
     ②と③をまとめ,自分たちが考える能登の問題と解決策について提案します。その具体的内容と予想される効果について,発表用のポスターにまとめていきます。

  5. 融合プロジェクト発表会
     ポスターによる発表会を行います。