式辞
春爛漫の今日の佳き日に、花岡博司PTA会長様、藤下順道同窓会副会長様をはじめ、多くのご来賓の皆様のご臨席を賜り、平成23年度入学式を挙行できますことは、本校関係者の等しく喜びとするところであります。
大きな可能性に瞳を輝かせ、この入学式に臨まれた360名の新入生の皆さん、伝統ある金沢二水高等学校に入学おめでとうございます。皆さんのこれまでの努力を讃え、晴れの入学を心から歓迎いたします。また、皆さんを支えてこられた保護者・ご家族の皆様にも心からお祝い申し上げます。
本校は昭和23年学制改革により新設された県立金沢第二高等学校を母体として、創立63年となり、2万5千人近くの卒業生が政財界や学問・芸術など幅広い分野で活躍している県内屈指の伝統校であります。「文武両道」に精進することをモットーに、「自由、闊達、明朗、真摯、清新」の校風を半世紀以上にわたって養ってまいりました。
新入生の皆さんには今日から二水生となるに当たり三つの事を話しておきます。
一つ目は「二水高校は勉強するところである」ということです。当たり前ですが、この実践が難しいのです。皆さんの高校生活における目標はさまざまあろうかと思いますが、共通して第一志望の大学に入るという進路実現があります。そのためには3年間計画的に学習をすすめ、学力の向上を図り、最後に栄冠を勝ち取るというプロセスが必要です。いずれは皆さん、大学で専門知識を学び、人間関係を築き、その上でふるさと石川あるいはわが国を担うリーダーとして活躍が期待できる人材であると確信しております。
二つ目は「文武両道の実践」、つまり勉強と部活動を両立させることです。部活動を通して自分を磨き、人間関係を学び、人間的な成長を図って欲しい。時には勉強との両立に悩むこともあるでしょう。しかしそれを克服したとき、さらに一回り成長した自分を見出すことでしょう。
最後に「プライオリティ(優先順位)」であります。何事においても、今何が重要なのかを考えて、優先順位をつけ、取り組む順番を決めていくことです。まず今日一日をどのように過ごすのか。自分にとって最終目標は何なのか。このことを忘れず、宝石のように貴重で尊い本校での3年間を、終始一貫した信念を持って充実した実り多きものにしてください。
フランスの詩人ルイ・アラゴンは「教えるとは未来を語ること、学ぶとは誠実を胸に刻むこと」と言っております。つまり教える側の教師は生徒とともに未来や希望について語り意欲を引き出すのであり、また学ぶ側の生徒は学問を修めるとともにその根本にある誠実さを心に留め置くのでありましょう。
今回の東日本大震災でわが国は大変な試練の時をむかえております。国民一人ひとりが他人事と思わず復興に向けてそれぞれの立場で「今できることから」始めて、立ち上がっていかねばなりません。その当事者としての意識を持つことが誠実さの現われでもあります。
保護者の皆様、生徒諸君は二水生としての生活を通して未来を切り開く「生きる力」さらにその根本をなす「確かな学力」を身につけてまいります。どうか温かく見守り励まし続けてください。ご家庭と学校が連携を密にしていくとともに、本校の教育方針・教育施策にご理解賜り、教育活動にご協力いただきますようお願い申し上げます。
終わりに本日ご臨席のご来賓の方々、保護者の皆様に深く感謝申し上げますとともに、新入生の皆さんの心身のバランスの取れた人間的成長、高い進路目標の実現、充実した高校生活を心から期待し、式辞といたします。
平成23年4月8日 石川県立金沢二水高等学校長 近藤 繁彦