お知らせ

10月23日(月)、石川県教育委員会指定「能動的学習推進事業」の研究発表会が本校で開催されました。
本校は平成27年度より、石川県教育委員会から「能動的学習推進事業」の3年間の研究指定を受け、今年度「一人ひとりを大切にし、未来を切り拓いていく資質・能力を育む
指導の充実」を研究主題に掲げ、研究実践を積み重ねてきました。
当日は来賓の皆様や市内外の小中学校の先生方、保護者、地域の皆様など合計150名の方々にご参会いただくことができました。
公開授業では、予習→ブラッシュアップ→振り返りによるアクティブラーニングにより、楽しみながら学んでいる様子を見ていただきました。
また、グループワークやアトラクションで、学校生活に真摯にかつ楽しみながら向かう生徒の意識の高さが皆さんに十分伝えることができたと思います。
本当に内容のある発表会になりました。
これも、日頃より、東陽中学校の教育活動に深くご理解とご協力をいただいている保護者や地域の皆様のおかげだと思います。本当にありがとうございました。

    
  
                                                                                              
     研究発表会 2次案内.pdf
   
  

  研究発表会 リーフレット p1~4.pdf
  研究発表会 リーフレット p2~3.pdf 

  研究発表会 プレゼン.pdf

  ⇒昨年度の研究のページ
学校研究

1 研究主題

  

   一人ひとりを大切にし、

     未来を切り拓いていく資質・能力を育む指導の充実
    
~授業改善を軸にした、能動的教育活動の推進~


 

2 主題設定の理由

本校は統合新設校として開校し、本年度で7年目になる。各教科の授業は教科教室方式で行われており、生徒は、教科の掲示物や資料等が利用しやすい教室で、落ち着いた雰囲気で学習に取り組んでいる。また、漢字や英単語、計算などの基礎学力テストには「個人戦」ではなく「団体戦」で挑み、成果を上げている。

開校以来、生徒の自己肯定感の低さが課題であったが、「東陽中スタイルの道徳授業」、「生徒指導の機能を生かした授業」、「教育メンタルトレーニング」などの積み重ねにより、少しずつ自己肯定感が高まってきている。さらに昨年度は、学習面、生活面など学校生活のすべての場面で生徒自身が主体となって学び合いながらよりよい方法を工夫して課題を解決していく「能動的教育活動」に取り組んできた。

一方、20168月に中教審教育課程企画特別部会から出された「論点整理」では、これからの時代に求められる資質・能力として、次の三つを挙げている。

(1)何を知っているか、何ができるか(個別の知識・技能)

・各教科等に関する個別の知識や技能など。身体的技能や芸術表現のための技能等も含む。

(2)知っていること・できることをどう使うか(思考力・判断力・表現力等)

   ・主体的・協働的に問題を発見し解決していくために必要な思考力・判断力・表現力等。

(3)どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか(学びに向かう力、人間性等)

・主体的に学習に取り組む態度も含めた学びに向かう力や、自己の感情や行動を統制する能力など、いわゆる「メタ認知」に関するもの。

・多様性を尊重する態度と互いの良さを生かして協働する力、持続可能な社会作りに向けた態

度、リーダーシップやチームワーク、感性、優しさや思いやりなど、人間性に関するもの。

学校教育では、これら三つをそれぞれバランスよくふくらませながら子供たちが大きく成長していけるようにする役割が期待されており、各教科等の文脈の中で身に付けていく力と、教科横断的に身に付けていく力とを相互に関連付けながら育成していかなければならない。

このような実態と、今求められる身につけさせるべき資質・能力を鑑みて、今年度も、「能動的教育活動」をキーワードとして研究を進めることにした。また、学力向上プランと学力向上ロードマップを研究の中心に据え、授業づくり(不断の授業改善)とともに、学習の基盤づくり、研究体制づくりにも積極的に取り組んでいきたいと考えている。これまでの実践の積み重ねをさらに発展させ、生徒一人ひとりが更なる達成感や成就感を味わうことができるような指導を目指していきたい。

3 研究内容

(1)アクティブ・ラーニングの視点からの授業改善

【アクティブ・ラーニングとは…】 文部科学省「用語集」より

教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習等が含まれるが、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である。

【授業改善のポイント】

①習得・活用・探究という学習プロセスの中で、問題発見・解決を念頭に置きつつ、深い学びの過程が実現できているかどうか。

②他者との協働や外界との相互作用を通じて、自らの考えを広げ深める、対話的な学びの過程が実現できているかどうか。

③子どもたちが見通しを持って粘り強く取り組み、自らの学習活動を振り返って次につなげる、主体的な学びの過程が実現できているかどうか。

①学習過程の統一と生徒指導の機能を生かした授業

4段階の学習過程(課題把握→課題追究→課題解決→まとめ)を全教科統一のものとして授業を行う。その中で、ペアワークやグループワークなどを取り入れたり、様々な思考ツールを活用したりするなど工夫して授業をデザインしていく。また、1時間の授業の中で、生徒指導の三機能(「自己決定の場を与える」「自己存在感を与える」「共感的な人間関係を育成する」)を意識した指導を行っていく。

②授業研究のシステム化

授業研究を授業改善の中心に据えて、全教員で研修していく。小規模校のため各教科担当が1人という状況ではあるが、「教科の壁=生徒目線」という意識で生徒と同じ感覚をもって授業研究を行っていく。授業研究は、1つの授業につき「模擬授業 → 研究授業 → 授業整理会」という三段階を1セットとして行っていくことを基本とする。

模擬授業は、全教員が生徒役となって参加し、通常の授業と同じように進めていく。生徒目線で授業に参加することを目的としているため、生徒役の教員は指導案を見ずに模擬授業に参加する(ただし、既習事項や単元計画、指導にあたっての留意点などは事前に説明を受ける)。模擬授業終了後、指導案に目を通し、改善点や研究授業のポイントを協議する。

研究授業は、模擬授業で見えた改善点や授業のヤマ場を中心的な視点(参観シートを活用する)として全教員が参観する。授業者の言動だけでなく生徒の様子や学習環境などにも着目する。

  授業整理会はVTR中断法で行う。はじめに授業者から授業のポイントについての振り返りを話してもらい、その後、ポイントとなる場をVTRで確認し、よかった点と改善すべき点について協議する。協議は全員の参加意識を高めるためバズセッションで行う。最後に、司会者が全体のまとめをする。

③考え議論する道徳授業

25年度から「東陽中スタイルの道徳授業」を行っている。生徒は「語り」により示される資料に意識を集中して見聞きしたり、自ら手を挙げて考えを述べようとしたりしている。また、中心発問から展開される授業スタイルは、自分の考えと周りの意見との関連を意識する必要がでてくるので、「自分の意見を述べる力」・「相手の話を聞く力」が必要となり、必然的にそれらの力が伸長していくというものである。さらに今年度は、ただ考えや思いを話すだけではなく、それらを議論

することでより価値観の深化を追求していきたい。本校では道徳の授業で「話す力」「聞く力」「議論する力」を、各教科での「学び合い」につなげていくという意図も含めているので、計画的に実施していく。

④ブラッシュアップ

これまでも、それぞれがもっている考えをペアやグループで伝え合う学習は行ってきた。しかし、ただ伝え合っているだけで、そこから考えを広げたり深めたりするところまでは至っていない。そこで今年度は、「ブラッシュアップ(磨き上げ・洗練)」をキーワードに、新たな「本当にそうなのか?」「もっとよりよくできないか?」という意識で、考えを広げるように指導していきたい。指導者は、課題解決・達成までの道を示す役割だと捉え、机間指導やタイムマネジメントなど、生徒の思考をサポートする。

(2)能動的教育活動の基盤となる全校的取組

【基本的なスタンス】

・各種テスト(全国学力調査及び県基礎学力調査や市学力調査、定期テストや輪島市統一テスト等)の結果を検証・分析し、定着が不十分なところの対策を考え、補充していく。

・現有システムを生かし、成果につながっているものは継続、成果につながっていないものについては見直しを行っていく。実態を見ながら細かいサイクルで検証し、修正していく。

①スタディタイム 

 年5回、定期テスト前の自由参加の学習会として「スタディタイム」の時間を設ける。各教科教室で教科担当が個別指導や補充学習を行ったり、自学の場として集中して学習に取り組んだりすることをねらいとしている。また、部活動単位で参加したり、上級生が下級生に教えたり下級生が上級生の学習方法を学んだりするなど、様々な効果が期待される。

②学習カルテと学び直し

 定期テスト後に学習カルテを記入し、できていたところ、できなかったところを客観的に把握する。それをもとに各教科で「学び直しの時間」を設け、できていなかったところを復習したり、再テストを行ったりしていく。学習の積み残しを減らし、理解したうえで次の単元に進むことを目的としている。

③家庭学習の工夫  

 質と量の両面の充実を考え、成果につながる指導を行っていく。「やればいい」、「だせばいい」という義務的な意識が強いと学習ではなく作業になってしまい、成果につながらない。そうならないためにも、定期的に検証(学習相談や学習時間調査など)を行い、こまめに工夫・改善・指導をしていく。具体的な留意点として、生徒に課題の意図を伝えること(効果や意味がわからないままやっていても成果につながらない)、やらせっぱなしにせずに指導しきること(未提出、再提出を含め、教師の求めるところまでやらせきる)、学習の成果や効果を実感させたりこまめに伝えたりすることで、意欲の維持向上につなげることなどが挙げられる。

内容は、「教科課題」、「学年課題」、「個別課題」を基本とする。必要に応じて全員が取り組むべき課題と個々のニーズに応じた課題を準備するのが望ましい。

◇教科課題 → 授業の予習・復習や小テストの勉強などに取り組む。プリント・ワークなどの教材は教科担当が指示する。学年担当が提出状況をチェックし、教科担当が指導を行う。

◇学年課題 → 3年生は受験対策として習熟度別に選んだ教材に主に取り組む。1、2年生は、必要に応じて課題を出す。学年担当がチェック・指導を行う。

◇個別課題 → 学年や個人の状況に応じて、個別の課題を出す。必要感のある課題がよい。生徒に考えさせるのも効果的。チェック・指導は、学年担当もしくは生徒同士で行う。

④朝学習   

 ◇朝の15分間、全校一斉に実施する。

 ◇前学年の復習や市内統一テスト(漢字、計算、英単語)の小テストなど、
   基礎的な教材などを活用しながら学級の実態に合わせてプログラムを組み、実施する。

 ◇年間を5期に分け、市内統一漢字テストや計算力テスト、スペリングコンテスト前はその練習にあてる。


◇学習内容の例

 ・5科のリレー学習に取り組む。(取り組み方には工夫が必要)

 ・リストを活用した反復練習(漢字、計算、英単語、重要語句など)と小テスト

 ・一斉音読(朝から声を出す、読む力をつける、脳を活性化させる)

 ・論理的思考トレーニング(情報を読み取り、整理して考える力をつける)

 ・数独やクロスワードなどパズル的なもの(先を見ながらじっくりと考える力をつける)

 ・視写トレーニング(目で見た情報を正しく書き写す、丁寧な文字を書く力をつける)

 ・ぬりえ、折り紙(集中力、処理能力、イマジネーション能力をつける)

 ・合唱(学級の雰囲気づくり、一体感をつくる)

 ・読書(集中力、読解力をつける)

⑤昼学習

◇昼の30分間、全校一斉に実施する。

◇前日の宿題(個別・グループ課題)の学び直しや各種テストに向けた教え合い、その他実態に応じて弾力的に行う。

◇「全員がわかる」ことを目指し、そのためのマネジメントをきめ細やかに行っていく。

◇1学期の到達目標

1年:与えられた課題に誠意を持って取り組む、決められた時間内は集中して学習するなどといった正しい学習習慣と自学の力を身につける。

2年:グループごとに課題を考え、協力して解決することができる。

3年:自分達の学習に加え、1・2年生に内容や方法などの指導ができる。

⑥補充学習と土曜授業

長期休業中や放課後の時間を活用して、補充学習を行っていく。複数の教員が指導にあたり、弱点補充や発展学習など、一人ひとりのニーズに合わせて工夫して実施していく。年10回の土曜授業では、外部講師と連携して計画的に実施していく。

⑦教科教室の特性

教科教室だからできること、教科教室でしかできないことなど、特性を生かした学習活動を工夫する。具体的には、机の配置や形態の工夫や教科の授業に必要な資料・教具の整備、学習計画や授業のあしあとなどの掲示、プリント素材の充実などが挙げられる。学力向上の一助となる効果的な学習環境づくりに努める。

⑧「学習相談」の機会の設定

生徒指導の教育相談とともに、定期的に学習相談や学習を支援する取り組みを行う。また、県及び全国学習状況調査やQ-Uテストなど、各種データを積極的に活用していく。

⑨生活の中で生きるメンタルトレーニング

今年度も、定期的に講習会を開催していく。単発的にならないように、生活ノートや生徒会活動など日々の学校生活の中で意識して実践していく。キーワードの掲示なども継続していく。