校長室から

2019年4月の記事一覧

<校長室から> 朝の挨拶 ~声を届ける~

 出張など特別なことがない限りは、毎朝15分ほど生徒玄関に立って、登校してくる生徒たちと挨拶を交わすのを日課にしています。生徒指導課の先生方も、登校指導をしています。

 私の挨拶3箇条は

  1 笑顔で

  2 発声は明るく

  3 一人一人に声を届けるように

の3つ。1と2は、一日の始まりを気持ちのいいものにしたいと思えば自然とそうなりますが、3は少しだけ意識が必要です。

 昔、演劇部の顧問をしていたときに、こんな基本練習がありました。みんなが後ろを向いてバラバラに立っているところに、一人が声をかける。全員に向かってではなく、その中の誰か一人の背中に声を当てるつもりで。そして「その声は自分に向けられたものだ」と感じた人が返事を返す…というものです。難しいようですが、声を出す方向と距離感が意識できていて、受け手も神経を研ぎ澄ませていれば、意外とうまく伝わるものです。要は、拡散する声ではなく、相手に届ける声を使いなさい、ということですね。 

 朝の挨拶の場合は、後ろを向いているわけではないですから、大勢がどっと集団になってやってこない限りはこの「声のベクトル」はちゃんと届くはずなのですが、これがなかなか難しい。私の声の届け方が不十分なのか、受け手がそれと意識していないからなのか。うまく届いて返事が返ってきたときには「やった!」という気分になります。
 それよりなにより嬉しいのは、私や他の先生の姿を見るや、こちらが声をかける前に、少し離れたところからでも挨拶してくれる生徒が少なからずいること。また、野球部を中心に、必ず立ち止まって頭を下げて挨拶してくれる生徒がいるのは微笑ましくもあり、そんな挨拶が完全に身に付いていることに感心もしています。
 それぞれのスタイルで、今日も気持ちのいい挨拶から一日を始められますように。

<校長室から> ようこそ先輩

 本日、本校講堂にて、3年生キャリア講演会「人生の歩き方 in こまつ」が行われました。今年の3年生のテーマ「夢にはばたく大人に」に向かって、生徒が主体的・積極的な1年を過ごすようにとの願いを込めて、学年団が企画したものです。
 講師としてお招きしたのは、本校OBの山田恭平さん(52回卒)と村中拓弥さん(62回卒)のお二人。お二人とも高校時代に留学を経験し、海外の大学・大学院でも学んでいらっしゃいます。山田さんの講話のあと、お二人に生徒と本校教員を加えてのパネルディスカッションとなりました。
 山田さん曰く「(留学するかしないか考えていたとき思ったのは)不安だけど長期的な視点で見れば必ずプラスになる、逆に挑戦しなかったらそれまでの延長線で淡々と時間が過ぎるだけだ、ということ」。「(今、研究者となって大学でも教えているが)最初から研究者志向だったわけではなく、一つ一つの選択を積み重ねた結果、今がある」
 村中さん曰く「思い描いていたとおりの留学生活ではなかったけれど、失ったものは何一つない」「どの大学に行くかによって将来の選択の幅が違ってくるということは知っていてほしい。他にもいろいろな選択肢があった中で教師という道を選んだことが、今の自分を支えている」
 お二人とも、みんなと同じ道を行くのが最善ではないことに気づき、挑戦することをためらわなかった。「人生の歩き方は人それぞれだけれど、自分が選択し自分がデザインして自信を持って生きていけばいい」ということを伝えてくださったと思います。
 人は人から学ぶ。小松高校は恵まれた教育環境の中にありますが、それは立派な施設設備やSSH・NSHなどの教育プログラムを指すだけでなく、各年代、各界に素晴らしい先輩方がいて後輩たちに刺激を与えてくださる、それだけのつながりを持っている、というところにあるのだと思います。今、隣にいる仲間にも「あいつはすごいなあ」「あの人はすごいなあ」と感じられる環境、それこそが小松高校の強みであり財産なのだと思います。

<校長室から> 青雲の小径にて

 「青雲の小径(こみち)」の桜が今、満開です。
 8日の入学式の日、同窓会の東野会長さんと桜並木を歩きました。(ちょうど新聞社の取材もあり、翌日の新聞で青雲の小径の由来も紹介していただきました。)
 「青雲の小径」は、1989年に本校創立90周年の記念事業として整備されたもので、グラウンドに沿って天守台(小松城址の天守閣石垣)まで桜並木が続いています。90周年の頃、私は本校に勤務していて、当時記念碑の除幕式があったことも憶えています。
 あれから30年が過ぎ、私はこの春19年ぶりに本校に戻って、二度目の勤務をすることになりました。
 小径を歩いていると、いくつもの記憶がよみがえってきます。この桜の下でクラス写真を撮ったこと、桜のトンネルがそれはそれは綺麗だったこと、不謹慎にも木に登ったやんちゃな生徒がいたっけ…。昔は天守台に上ることができたので、上でお花見をしたこともありました。天守台から見下ろす桜は遠くまで続く白い波のようでした。さらにはるか昔、自分が高校生だった頃も毎年、満開の桜が新しい学年のスタートを彩ってくれました。

  「さまざまの事思ひ出す桜かな 芭蕉」

 「青雲の小径」の桜は、近年、樹勢が弱まり花の数も減ってきていたそうですが、今年度創立120周年の記念事業として、古木の伐採や剪定、土壌改良など、桜並木の再生事業が行われています。これからも、小松高校生の心にずっと残る桜並木であってほしいと思っています。

 
                <桜並木の下で、東野同窓会会長と>

「校長室から」初投稿です。不定期ですが、学校の様子や日々の思いをつれづれなるままに綴っていきたいと思います。