5年道徳「くずれ落ちただんボール箱」
今日の道徳では、親切について考えました。
●落とした物を拾ってあげること。
●やさしくすること
●相手のことを考えて行動すること
…などの意見が出された後、資料を読みました。
スーパーで小さな男の子が崩してしまった段ボールを、二人の女の子が片付けていると、勘違いした店員に叱られてしまいます。後で、戻ってきた男の子のおばあさんにお礼を言われるのだけど、女の子たちは、店員に叱られたことをおばあさんには言いませんでした。
ここまで読んで、みんなら「言う?」「言わない?」と問いかけると、大多数の子が「言わない」と答えます。
この反応は意外でした。せっかく親切に片付けていたのに、「自分たちは悪くないのに、叱られたんだよ」と、おばあさんに愚痴りたくなるのではないかと予想していたからです。理由を尋ねると、
「自分から(手伝いますと)言い出したことだから。」
「おばあさんのせいで叱られたんじゃないから。」
「おばあさんに、余計な気を遣わせちゃうから。」
など、考えを深めて気づかせたいことがらを、あっさり答えてしまいます。
そこで、吉野弘の詩「夕焼け」から場面設定を拝借して投げかけてみました。
満員電車で座っていたとき、目の前にお年寄りが立ったとき、どうする?
「ゆずってあげる!」
そのお年寄りは、お礼を言って次の駅で降りたから、また座ってん。そしたら、また別のお年寄りが自分の前に立ってん。みんなならどうする?
「ゆずってあげる!」
その子もゆずってん。だけどそのお年寄りは、お礼も言わずに次の駅でおりてん、ひどくない? その子はまた座ってん。なのに、また別のお年寄りが周りから押されて目の前に来てん。その子どうしたと思う?
「ゆずってあげて、それからは座らなかった。」「もうゆずらんかった。」(半々くらい)
そうねん。その子、今度は立てんかってん。うつむいて、下唇をきゅっとかんで、ずっと座っとってん。どんなこと考えてたと思う?
「なんで僕ばっかり…」「ぼくだって疲れてるのに」「今さらゆずってあげるのは変かな」「もっと早くゆずってあげればよかった。」等、いろいろ想像することができました。
終末に改めて書いた一人一人の「本当の親切」から、多かったものを掲示しました。
「次の時間も道徳がしたい!」と声が上がりましたが、4限目は算数をしました。親切は、道徳の時間だけにしたり、考えたりするものではないからです。