校長室から

2019年7月の記事一覧

<校長室から> しなやかに、国際交流

 本校のSSH活動は多岐にわたっていますが、その一つに「SSH国際科学交流」があります。平成18年度にSSHの指定を受けたときから、本校と韓国の大田科学高校(Daejeon Science High School for the Gifted)との交流が始まり、7月に韓国の生徒が小松を訪れ、12月には小松の生徒が韓国を訪れるという形が定着してきました。
 今年は7月28日~31日に大田科学高校の生徒8名・教員2名が来日し、本校2年理数科の生徒たちと共に、サイエンスヒルズこまつでのプログラミング研修や、石川県立大学での大学実験セミナーに参加しました。
 4日間にわたるプログラムが始まる前、私には少しだけ気がかりなことがありました。一つは、今年度、大学実験セミナーの会場や内容を一新したため、日韓双方の生徒の反応や満足度はどうだろうか、ということ。特に、実験が微生物に関するものだったので、言葉の壁が高そうだな…と感じていました。
 もう一つは、日韓関係の悪化に伴い、全国で行政交流や民間交流の延期・中止が相次いでいるらしいこと。幸い、大田科学高校との交流は予定通り実施できましたが、今の政治状況が韓国の高校生の心理にどんな影響を及ぼしているかまではわかりません。互いにどことなくぎくしゃくすることがなければよいが…という思いでした。
 でも「案ずるより産むが易し」。一つ目の心配は、石川県立大の先生方が綿密に計画を立て、日本語・英語両方のテキストを準備してくださっていたことにより、ほぼ払拭されました。むろん、生徒たち(とりわけ小松の生徒たち)はオールイングリッシュでのコミュニケーションに苦労していましたが、私の想像以上に積極的にやりとりできていたと思います。
 二つ目の心配も全くの杞憂でした。初日、小松高校に到着した一行を出迎えた瞬間から日韓の生徒が自然体で会話を交わす姿を目の当たりにして、「これが民間交流の良さなんだ」と肌で感じましたし、「うちの生徒もなかなかやるな」と嬉しかったです。
 後で聞くと、本校のSSH担当の先生が前の週から生徒を呼び集め、交流がスムーズに行くように、ぺアを組んだり意識付けをしたりしてくださっていたとのこと。何事も準備ですね。そうした適切なバックアップがあれば、本校の生徒はいきいきと力を発揮できるということもよくわかりました。
 最終日、生徒たちはすっかり打ち解けて、別れを惜しみ、再会を約束していました。この4日間の意義をそれぞれはどう感じたでしょうか。大きな刺激になったことは間違いないと思いますし、それが次の学びにつながってくれることを願っています。(私も、もう少し英語を勉強しないといけません)
 このプログラムに関わってくださった皆さんに、心から感謝します。
 
     
     <1日め:学校正門にて>      <1日め:サイエンスヒルズにて>

     
 <3日め:実験セミナーのプレゼン>   <4日め:お別れ会>

<校長室から> 野球部、惜しくも勝利ならず

 高校野球石川大会3回戦、相手は第2シードの航空石川。休日ともあって、県立野球場には生徒・保護者をはじめ多くの人が応援に駆けつけました。PTA会長さんや同窓会会長さんも来てくださり、みんな一丸となって勝利を祈りました。
 序盤、相手は着実に得点を重ねていくのに対し、こちらはなかなかヒットが出ません。4回表を終わった時点で5対0の苦しい展開となり、「このままワンサイドゲームにならなければいいが…」と思った矢先、4回裏の攻撃は目の覚めるようなヒットの連続で、あっという間に6点を取り返す大逆転。スタンドは行け行けムード全開で、私も応援席の保護者の皆さんと思わずハイタッチ。しかしその後、相手に追加点を許し、8回には1点を返したものの、最後は8対7の1点差で無情にもゲームセットとなりました。
 惜しかった。本当に惜しかった。勝負を分けたものは何だったのか、それは選手たちが一番よくわかっているでしょう。でも、このチームが目標にしてきた「逆境に強く、闘争心あふれるプレー」はしっかり発揮できたのではないかと思います。見ている側に元気や勇気を届けてくれるプレーでした。
 帰り際、県立野球場のバス停にきちんと並んでバスを待っている応援の生徒たちを発見し、「ああ、この子たちは電車に乗ってバスに乗って、わざわざ来てくれたんだなあ」と感激。敗戦は本当に残念でしたが、心に清々しい風が吹くようでした。
 暑い中、応援してくださった皆様、たくさんの声援をありがとうございました。

     

     

<校長室から> 創立120周年記念式典に思う

 先週の7月13日(土)に、小松高校創立120周年記念式典が挙行されました。来賓の方々、在校生、同窓生合わせて約1500人が集った盛大な式典でした。無事終えることができたのも皆様のおかげ、これまで様々な準備を重ねてきてくださった同窓会実行委員会の皆様や本校の先生方、お世話になった関係の方々に心から感謝を申し上げたいと思います。

 式典で式辞を述べた際、緊張はしていたものの、時折壇上からフロアを見渡すことができました。在校生たち、かつて担任をしたり授業を受け持ったりした教え子たち、当時の同僚の先生方、そして私自身の恩師や先輩の方々、さらにさらに大先輩の方々…。何世代にもわたる、いくつもの見知った顔がありました。120年の歴史の中には、自分の高校時代も、一教員として勤めていたときの十数年も、今年校長として赴任してからの時間も、すべてが含まれている、そのことを実感した瞬間でした。感無量とはこのことを言うのでしょう。

 …と、ここまでは個人的な思い。校長としては、この節目を機に、生徒たちには本校の歴史と伝統の重みに思いを致し、自覚と誇りを持ってこれからの学校生活を送っていってほしいと願っています。式典で、生徒代表の水口君が述べた言葉にはその自覚が十分に伺えました。
 彼は「小松高校がこれからも小松高校であり続けるためには、諸先輩方が作り上げてきた伝統の本質を見極め、そこに内在する魂を受け継ぎつつも、伝統に頼り甘んじることなく、変わりゆく時代が求めるものに応え、進化していかねばならない」と述べてくれました。背中を押される思いです。
 「小松高校らしさとは何か」「小松高校はどうあるべきか」ということを真摯に問い続けていかねばならない、と強く感じます。校是である「自主自律」「文武両道」はこれからも本校の座標軸として堅持していきたいと考えますが、そこで思考停止してしまってはいけないと思います。本校に関わる一人一人がこの問いに向き合い問い続け、折に触れて互いの考えを持ち寄り、それを繰り返して思いを集積していくことが、小松高校120年の歴史と伝統を次世代につないでいく道なのだ、と改めて感じた記念式典でした。

<校長室から> 壁の向こうに夢がある!

 来週12日(金)に、いよいよ高校野球の県大会が開幕します。
 今日、野球部のマネージャーが「寄せ書きをお願いします」と持ってきたのは、手作りのキルト。「甲子園」の三文字がパッチワークしてあって、ビーズで縁取られています。毎年毎年、こんなふうに心を込めて作っているのですね。周囲を埋め尽くすように、力強い激励の言葉が並んでいます。
 一番上の真ん中にスペースを残してくれていたので、私も早速「壁の向こうに夢がある! つかめ、全力で!」と書き込みました。初戦は15日(月)、対  小松明峰高校です。

 「壁の向こうに夢がある」  これは、野球部に限ったことではありません。簡単には手に入らないから「夢」なのであり、そこには「壁」のごとく立ちはだかるものがある。しかし、本気でそれを越えようとし、もがいてもがいて、全力を出し切ったとき、気がつけば壁は壁でなくなっているかもしれない。
 「栄冠は君に輝く」 ひたむきに努力する人を心から応援します!

    

<校長室から> 伝統のボート大会

 「校長室から」、久しぶりの投稿になります。

 今日7月2日(火)、本校近くの梯川で校内ボートレース大会が行われました。この大会は、今年創立120周年を迎える本校の名物行事の一つで、夏の風物詩となっています。
 今年は120周年記念事業の一環として、同窓会からナックルフォア3艇が寄贈されました。今日はそのお披露目となり、はじめに安全祈願祭と贈呈式を執り行ってから、一昨年本校OBの江口さんより寄贈された3艇とあわせてピカピカの6艇で、レースが行われました。
 記念すべき年ですので、この機会に生徒たちに何かを伝えられたらいいなと思って、『小松高等学校百年史』を紐解きながら本校とボート競技の関わりについて調べてみました。
 本校の創立は1899(明治32)年ですが、その数年後にはボート部(当時は端艇部)が誕生していたようです。明治時代に部が創設されたときも、戦時中に中断していたボート競技を戦後復活させたときも、生徒・職員・保護者が一丸となって募金をし、ボートを購入したり艇庫を建てたりして、活動を支えてきたことがわかりました。ボートは小松高校にとって、ある意味「校技」のような存在だったのですね。
 校内ボートレースが初めて開催されたのが1909(明治42)年と言いますから、この伝統の行事には、途中中断していたとはいえ百年以上の歴史があるわけです。
 ちなみに、明治時代から校内ボートレースが行われ、今も大会が続いているのは、私の知る限りでは、全国でも愛媛県の松山東高校、宇和島東高校、長野県の諏訪清陵高校と本校の4校だけです。いずれも伝統校で、松山東の前身である愛媛県尋常中学校(後の松山中学校)は、夏目漱石が一時期教鞭を執り、小説「坊っちゃん」の舞台となった学校として知られています。
 本校の話に戻りますが、今回、創立120周年の記念に寄贈されたボートには、小松高校の歴史と伝統を形あるものとして後輩に手渡したい、そしてこの大会をこれからもずっと続けてほしい、という先輩方の熱き思いが詰まっていると感じます。ボートを通して歴史をつなぎ、「小松高校スピリッツ」とでも言うべきものを継承していけたら、と思います。 
 今日は途中から風が強まり、残念ながら3年生と1年生のレースしか行うことができませんでしたが、2年生諸君、来年のボート大会を楽しみに待ってください!

 
    
   <ボート贈呈式>           <同窓会・PTAの方々と>
真新しいオールに紅白のリボンを            新艇は、校歌の歌詞から「はくさん」
かけて…。                        「おおぞら」「みらい」と命名されました。

   
 <教員チームとして出場>         <結果は…>
管理職3人プラス今年新任のT先生、       途中までは2位でしたが、後半に抜
A先生の5人で3年生のレースに           かれてしまいました。スタミナ切れ?
参加。私はコックスです。              若さには勝てませんでしたね。