~各式典より~

平成30年3月1日(木)卒業式

 私は皆さんと二年間、この鶴来高校で時間を共にしました。学校の内外を問わず、いろいろな場面で皆さんが力を発揮してくれたことにあらためてお礼を言いたいと思います。そして、本日めでたく卒業という日を迎えられたことに感謝し、また自信とし、今後さらに成長していってくれることを願っています。

 さて、皆さんにとってどんな三年間だったでしょうか。

 毎日の登下校のこと、授業や朝学習のこと、部活動や学校行事のこと、友だちとのことはもちろん、先生方、事務員さん、学務員さんや購買の方とのこと、そんな一つ一つのことを思い出しながらも、私が折に触れて話してきた『自分がどうなりたいのか、そのなりたい姿に近づこうとする毎日であったかどうか』そんな物差しを持って三年間を振り返ってほしいと思います。

 先のピョンチャンオリンピックでは日本選手大活躍し、史上最多のメダルを獲得しました。そうした中、メダリストにこそなれませんでしたが、本県出身の石川晴菜選手もよく健闘してくれました。

 石川県にとって初のオリンピック・アルペン出場であることはもちろん、日本にとっても女子アルペン出場は十二年ぶりのこと、しかも石川選手は全日本の強化選手を外れてからは、練習をするための、また大会に出場するための資金が不足し、一時は引退をも考えざるを得なかった、その二年半後の快挙でした。

 「やめないで、もう一度挑戦したい。」と石川選手が決意した時の様子は、「晴菜は死ぬ気でやるつもりだ」と支援者の方々がその気迫に圧倒されたといいます。

 そんな石川選手が激励会でこう誓っていました。「今の私にメダルを取る実力がないことはわかっています。でも勝負は何が起こるかわかりません。最後まで絶対にあきらめずにやり切ってきます。」

 本番はそのことば通り、勝負を賭けた、力強い、見事な滑りを最後に見せてくれました。

 八十一人中、三十三番目という成績は石川選手にとって悔しい結果だったのかもしれませんが、「今ある力はすべて出した」と話す石川選手の笑顔は、やり切ったあとの充実した爽やかさがありました。

 どん底のときも、代表に選ばれたときも、そしてオリンピックの舞台で世界の強豪と競ったときも、自分がどうなりたいのか、自分と正直に向き合って答えを出し、そしてそうなるために全力を尽くす石川選手。

 私たちも、石川選手のように結果を求めながらも、少なくとも自分がやって来たことを実感できるように自分なりに最善を尽くしていく、そんな日々を過ごしていきたいものです。

 秋に学務員さんが植えてくれたサクラソウ。今年のあの大雪にも負けず、小さなつぼみをつけ始めました。人知れず、しかし一歩一歩着実に成長し、実を結ぼうとしているサクラソウの姿にも教えられるものがあります。

 皆さんがこれからどんな環境下におかれても、自分の立ち位置を知り、そこで最善を尽くしてくれることを期待しています。

                       

平成30年2月13日(火)校長訓話

 おはようございます。皆さん元気ですか。雪に負けてはいませんか。

 38豪雪、56豪雪といった過去に豪雪となった年についてニュース等でも時々紹介されていますが、38豪雪の時、私は2才で全く覚えていません。56豪雪の時は、大学生で石川県にはいなかったので実態を知りません。ですから皆さんと同様に、今年の大雪は私にとっても初めての経験です。
 
 とにかく、よく降ります。いろいろと不都合な点も出てきているのではないかと思います。くれぐれも安全に気をつけて、毎日の登下校、また除雪等の作業を行ってほしいと思います。

 一方でうれしいニュースも入ってきました。ピョンチャンオリンピックで、スピードスケートの高木選手が銀メダル、ジャンプの高梨選手とモーグルの原選手が銅メダルを獲得しました。特に、高木選手、高梨選手は大変な重圧の中、苦しさに負けないでよくぞメダルを獲得してくれました。素晴らしいと思います。
 
 連日の雪で少々めげそうになることもあるかもしれませんが、皆さんが3学期にやるべきことは雪が多く降ろうが何ら変わりはありません。ピョンチャンで日本選手が全力を尽くしているように、ここはしっかりと踏ん張って締めくくりの3学期に集中してもらいたいと思います。

平成30年1月9日(火)3学期始業式

 皆さん、あけましておめでとうございます。

 年明け早々の3日、柔道部が恒例の稽古始めを行い、たくさんのOBとともにいい汗を流していました。4日には多くの部が活動を開始し、続々と生徒たちが登校していました。そんな様子を見ていると清々しい気持ちになります。

 テレビで見た人もいるかと思いますが、日本のお正月の風物詩ともいえるような大学箱根駅伝。結果は、青山学院大学が復路で東洋大学を逆転し、見事4年連続4回目の総合優勝を果たしました。

 私はレースの勝敗そのものもさることながら、この大会に出場するチームの監督・選手、また大会の運営にあたる多くのスタッフの方々がどんな気持ちで年末を過ごし、2日という日を迎えているのかいつも考えてしまいます。

 良いスタートを切るために、良い結果を出すために、そして支障なく大会を進行させるために、それこそクリスマスもお正月も関係なく、それぞれの立場で緊張感を持って、最後の練習、調整を行ってきたに違いありません。

 そんな準備の様子を想像しながらレースを見ていると、自分の中に新しい年に向けての「始動」のエンジンがかかってくような気がしてきます。

 さて、二学期の終業式に2つのことを皆さんにお願いしました。一つは年末年始を機会に、自分がどうなりたいのか、自分にどんな結果を残したいのか、よくよく考え、そうなるための毎日を過ごしてほしいということ。もう一つは、一年を振り返って、もし自分で「良くなかったな」と思うことがあったならスッパリと断ち切って三学期をスタートさせてほしいということでした。

 どうでしょうか。ちゃんと整理できたでしょうか。まだの人はすぐにでも自分と向き合い、自分自身と正直に会話してください。それができなければ、本当の意味で新しい年を迎えたことにはならないと思います。

 3年生も、2年生も、1年生も、来年度をいいものにしたいと思うなら、この三学期の締めくくりをしっかりすることです。来年度のために三学期があると思ってもらっても結構です。

 皆さんの自覚ある、責任感のある、そして緊張感のある行動に期待します。

平成29年12月22日(金)2学期終業式

 鶴翔祭でスタートした2学期。手取川歩行、新人大会、就業体験、就職・進学の試験などいろんなことがありました。その中から、今年初めて開催した鶴高応援ライブに触れて少し話したいと思います。

 あの日、ライブが終わって校長室に来てくれたホライジックのメンバーがこう話してくれました。
 「今回のような形のステージは初めてだったし、聴いてくれる人がこんなにも反応してくれたのも初めてで、生徒たちをもっともっと元気にさせてくださいと頼まれたのに、自分たちが元気にさせてもらいました。僕たちもMステに出られるよう頑張ります。今日はありがとうございました。」
 生徒の皆さんが一緒になって盛り上げてくれたことを本当に感謝していて、4人揃ってそう話してくれました。

 全国にはメジャーデビューを目指す若者はとんでもない数いるそうですが、彼らも厳しい道であることを重々承知で夢に向かって挑戦しています。私は一生懸命で生き生きとしたあのステージを見ていて、生徒諸君もわれわれ教員も、本気になって挑戦すること、努力することがまだまだある、そんなことを感じました。

 さて、今年もあとわずかとなりました。年末年始を機会に自分が何に向かって行くのか、どうなりたいのか、そうなるためにどんな毎日にしなければならないのか、もう一度じっくりと考えたいものです。

 また、この一年を振り返ってみて、もし自分に中で「良くなかったな」と思うことがあるならば、スッパリと断ち切ってください。「良くない自分」を引きずったまま3学期をスタートさせることのないようにしてもらいたい。同じところでとどまっていてはいけません。『常に前進、常に一歩、すべてとどまるとくさる、このおそろしさを知ろう』です。

 それでは皆さん、一年間お疲れ様でした。良い年を迎えてください。

平成29年11月1日(水)校長訓話

 この体育館にやって来るときに通る渡り廊下。そこから見える景色もすっかり秋らしくなりました。

 さて、先週もいろんなことがありました。

 地域探求会のメンバーは、秋田県で開催されたジオパーク全国大会に参加し、白山手取川ジオパークの発表をしてきました。白山市に推薦されての参加ですからプレッシャーもあったかもしれません。でもしっかりと発表できたと聞いています。お疲れ様でした。

 ラグビー部は花園予選の準決勝、二水高校に勝ち、4日にいよいよ日本航空高校との決勝戦です。健闘を祈っています。

 野球部は1年生大会で星稜高校と対戦し敗れはしましたが、冬場に何をやるべきかさらに明確になったのではないでしょうか。春にはひとまわりもふたまわりも成長したチームになってくれると思います。

 陸上の北信越新人大会。本校から24Hの安井祥瑛君が400mHに出場しました。決勝に進めず、安井君は悔しい思いをしましたが、貴重な経験を積むことができたのではないでしょか。それに、陸上競技場の大型スクリーンに他県の学校とともに鶴来高校の名前が映し出された時、私はすごく誇らしい気持ちになりました。安井君のおかげです。来年は全国の舞台で走ってほしいと思います。

 もう一つ、鶴来公民館の文化祭。今年も和太鼓部、合唱部、ジャズバンド部が参加してくれました。みんなよくやってくれ、皆さん大変喜んでいました。この文化祭にはもうなくてはならない存在になっています。すばらしい地域貢献を続けてくれていることに感謝します。

 皆さんに信じてほしいことがあります。それは、何かに頑張っていること、今この青春時代に頑張っていることは皆さん自身の人間としての財産になっていくということです。
 今ほど紹介したような人がわかるようなことでなくてもいい、毎日休まず学校に来ることでも、眠いのを我慢して宿題をすることでもいい、何かに頑張っている、何かに挑戦している、そういう時間を経験していること、それが皆さんの人生にとって大きな財産になることを信じてほしいと思います。

 最後に、今月の16日、ホライジックというロックバンドが皆さんのために、皆さんを応援するために本校に来てくれます。ホライジック自身も自分たちの夢に向かって挑戦し続けている若者たちです。
 ホライジックと一緒に歌い、エネルギーを充電し、皆さんにもっともっと元気になってほしいという願いで企画されました。私も楽しみにしています。

 今日から11月。今年もあと2ヶ月です。しっかりやっていきましょう。 

平成29年10月2日(月)校長訓話

 10月に入りました。

 もう皆さんも気がついていることと思いますが、前庭にたくさんのプランタが置かれています。植えてあるのはサクラソウという花の苗です。

 春に全校生徒で植えた花が枯れてしまったあと、9月になってから全部のプランタの土を外に出し、そこへ石灰やもみがらを混ぜ、陽に当て土に栄養をつけ、そしてあらためてプランタに入れ、そこへ234の苗を一つ一つ丁寧に植えたものです。

 この作業、すべて学務員の加藤さんが一人でやってくれました。

 私は加藤さんに聞きました。どうしてサクラソウを植えようと思ったんですかと。加藤さんは「今植えると、うまくいけばちょうど卒業式や入学式にサクラソウがきれいに咲く、そうすればみんなが喜んでくれるかなと思って」と答えてくれました。

 これまでそこには何もなかったわけですから、なければないでそんなもんでしょう。でもみんなが喜んでくれるかなと、誰にも頼まれていないことをコツコツとされている。私たち以上に、半年先の卒業式や入学式のことを考えてくれているんです。

 ありがたいですね。まさに喜びの種をまく、ということですね。

 9月の校長訓話で、時間は確実に過ぎ、物事はやがて終わりを迎える。自分にどんな結果を出したいのか、どんな終わり方をしたいのか、よくよく考えて、精一杯の準備をしてほしいとお願いしました。

 加藤さんが来春のことを思い、サクラソウの世話をされている。

 私たち一人一人が将来につながることを地道にやり始めること、そのことをあらためて教えられた気がします。

 10月のスタートを機に、元気を出してやっていきましょう。

平成29年9月5日(火)校長訓話

 先週金、土の二日間にわたる鶴翔祭ご苦労様でした。

 まず生徒会役員の皆さん、準備も大変だったと思いますし、当日もいろいろあったと思いますが、無事終えることができたのは皆さんのおかげです。ありがとうございました。

 そして一年生から三年生の皆さん、クラスや部単位での催し、ステージ、模擬店、展示、掲示等々、また表には出ないところで準備や片づけを手伝ってくれた生徒もいます。最後の舟岡古調、学生歌、校歌の締めくくりもとても良かったと思います。ありがとうございました。

 さて、最近私は何かが終わるたびに「ああ終わったなあ」と思うこと、そういう思いが強くなっていることを自分自身で感じています。毎日、仕事が終わって家に帰り、「ああ一日が終わったなあ」と一人で思うわけです。鶴翔祭が終わった夜も「ああ今年の鶴翔祭も終わったなあ」としみじみ思っていました。

 物事は一つ一つ終わっていくということ、物事には必ず終わりがあるということ、そういうことをつくづく思うようになってきたわけです。

 「一期一会」ということばを聞いたことがあると思いますが、これは茶道に由来することばで、お茶を点てる人、お茶を受ける人ともに互いに誠意を尽くす心構えを説いたものだと聞いています。「あなたとこうしているこの時間は二度とやってこないかもしれない。だから誠心誠意準備をし、この時間を大切にしたい」ということだと私は理解しています。

 私はこの「一期一会」の心構えは何も茶道、あるいは人と人との関係だけではなくて、すべてにおいて大切なんだろうと思っています。

 たとえば、皆さんと鶴翔祭も同じです。三年生にはもう鶴翔祭はありません。二度と来ない。だからこそ時間のない中、一生懸命に準備したんだろうと思います。「一期一会」の心構えがあったということですね。

 これからやってくる就職・進学の試験、部活動での大会、中間・期末考査、それらすべて、やがてその日がやってきて、そして終わっていく。

 このことを深く自覚して、どんな結果を出したいのか、どんな終わり方をしたいのか、よくよく考え、精一杯の準備をしてほしいと思います。中途半端な準備は何にもなりません。後悔を生むだけです。限られた時間、本気でやることが大切だと思います。

 「一期一会」の心構え、一つ一つが最後なんだ、同じことは二度ない。そういう気持ちで取り組んでください。

 また、今日から切り替えてやっていきましょう。

平成29年5月9日(火)校長訓話

 こうして全校生徒が勢ぞろいするのは今日が初めてです。このメンバーで、ここにいる生徒と先生で、平成29年度の一年間をやっていくんだと、今この壇上に立ってあらためてそういう気持ちになっています。

 新年度になってちょうど一ヶ月。一年生は学校に少し慣れたでしょうか。二、三年生は始業式でお願いした「自分がどこに向かって一歩を進めるか」定めることができたでしょうか。

 さて、この連休中にあった出来事を一つ話します。
 
 一階の生徒ラウンジにある自動販売機、その前にある大きなゴミ箱がいくつもあることは皆さんも知っていると思います。5月4日に私が学校に来たとき、このゴミ箱がどれも満杯になっていました。私は「あとで捨てなければ」と思っていたのですが、そのことをすっかり忘れて帰ってしまいました。

 そして昨日、学校に来てそのことを思い出し見に行くと、どのゴミ箱もきれいになっていました。私は自分が忘れて帰ってしまったことを「恥ずかしいなあ」と思いながら、「誰がしてくれたんだろう」と考えましたが、先生なのか生徒なのかまったくわかりません。でも、してくれた人がこの学校にいることは間違いないので、ありがたいことだなと思いました。そして、こうした人の見ていないところで人のために働けることをみんなで見習わなければならないとも思いました。

 最後に。今日から中間考査一週間前です。そのあとに県総体、県総文も控えています。皆さんにとって大切なことが続き、どれもおろそかにできません。切り替えをしっかりとしながらやっていくことが大切だと思います。
 
 頑張ってください。

平成29年4月10日 入学式 式辞より

 新入生の皆さん、今皆さんはこの鶴来高校で何をしようと思っているのでしょうか。進学や就職向けて頑張りたい。部活動に燃えたい。苦手な勉強を少しでもわかりたい。そのために学び直しをしたい。人と上手くつきあえるようになりたい。そんないろいろな思いを持っていると思います。ぜひその思いを実現させてください。
 さて、こうした自分の思いを実現させるときに必要なことは何か。それは、まず今の自分ができることをきちんとやっていくことだろうと思います。そんなことは当たり前だと思うかもしれませんがそう簡単なことではありません。
 「小さい勇気こそ」という東井義雄さんの詩があります。
 
 人生の大嵐がやってきたとき それがへっちゃらでのりこえられるような
 大きい勇気もほしいにはほしいが わたしには小さい勇気こそほしい
 わたしのたいせつな仕事を後回しにさせ 忘れさせようとする小さい悪魔が
 テレビのスリルドラマや漫画に化けて私を誘惑するとき
 すぐそれをやっつけられるくらいの 小さい勇気でいいから
 わたしはそれがほしい
 もう五分くらい寝ていたっていいじゃないか けさは寒いんだよと
 あたたかい寝床の中にひそみこんで わたしにささやきかける小さい悪魔を
 すぐやっつけてしまえるくらいの小さい勇気こそほしい
  (中略)
 紙くずが落ちているのを見つけたときは 気がつかなかったというふりをして
 さっさと行っちまえよ 風ひきの鼻紙かもしれないよ
 不潔じゃないかと呼びかける小さい悪魔を すぐやっつけてしまえるくらいの
 小さい勇気こそわたしはほしい
 どんな苦難ものりきれる 大きい勇気もほしいにはほしいが
 毎日小出しにして使える小さい勇気でいいから それがわたしはたくさんほしい
  (後略)

 新入生の皆さん、皆さんもこの「小さい勇気」をたくさんほしいと思ったことはありませんか。自分の思いを実現しようとするには、慌てなくても、焦らなくてもいい。ただ、日々の生活の中で小さい勇気を絞り出して、今の自分ができることを一つ一つやり続ける。そして思うようにできなかったときも、そこでやめてしまわないこと。気持ちを立て直して小さい勇気を出しながら、またやり始めることが大切なんだと思います。そうすれば、少しずつ少しずつ自分が思う自分に近づいていけるはずです。3年間チャレンジしてください。 

平成29年3月2日 卒業式 式辞より

 この1年間、私は皆さんが最上級生として、本当に良く頑張ってくれている姿をたくさん見させてもらいました。その中から、私にとってうれしく、そして皆さんには決して忘れて欲しくないと思ったことを話します。
 皆さん、今年度の鶴翔祭のテーマを覚えているでしょうか。「鶴高魂」でした。魂とは精神、心です。すなわち「鶴高生の心意気を示そう」というテーマでした。私はまず、この「鶴高魂」というこんな言葉が生徒諸君から出てきたこと、それがとてもうれしかった。なぜなら、皆さんの心の中に、「自分たちだってやれる。自分たちだってやって来たんだ」という鶴高生としての自信や誇りがなければ「鶴高魂」という言葉は絶対に出てくるはずがないからです。皆さんの中にそれが芽生えていることがうれしかったんです。鶴翔祭は、このテーマのとおり3年生の見事なリーダーシップのもと全校生徒で鶴高らしさを発揮してくれました。
 もうひとつ。
 4月24日、金沢市民球場で行われた野球部の試合。相手は40名を超える部員を持つ強豪校。試合は本校が序盤に3点をリードしていましたが、8回に追いつかれ延長戦に突入。10回表に本校が1点を取り、これを守り切り勝利しました。ピッチャー3年風君が柔らかなフォームで一球一球丁寧に丁寧に投げ続ける。野手は集中力を保ち懸命に守る。ここだというときに3年吉田君が執念のタイムリーを放つ。最後は風君から引き継いだ3年北田君が堂々と抑える。選手一人一人に華やかさや、強烈な強さはなかったかもしれませんが、助け合いながら粘り抜く逞しさが本校のチームにはありました。お互いが信頼で結ばれているすばらしいチームであり、戦いぶりだったと思います。
 卒業生の皆さん、これから皆さんが進む道は順風満帆ということは決してありません。いろいろなことがあって当然です。しかし、もし心が折れそうなときがあっても、「鶴高魂」である「自分だってやれる。自分だってやって来たんだ」というプライド、そして野球部にみた「仲間と助け合いながら、しなやかに粘り抜く逞しさ」。この2つを忘れないでください。そうすれば、たとえ時間はかかったとしても目の前の壁を一つj一つ乗り越えていけるはずです。
 皆さんがこれからも着実に成長し、一社会人として自立していくことを私たちは期待し願っています。