学校長挨拶

 大正12年(1923年)、地元の教育に対する熱い思いのもと展開された中学校設立運動を受け、本校の前身である石川県立羽咋中学校が設立されました。以来、本校は地域を代表する進学校として、卒業生は25,000名を超え、多くの俊才が幅広い分野で国内外を問わず活躍しています。一昨年度、創立100周年記念式典を盛大に実施いたしました。

 昨年度は、令和6年能登半島地震で1月から3月までの3学期は各学年が3ヵ所に分かれての分散授業というかつて経験したことのない授業実施となりましたが、石川県教育委員会をはじめ授業実施場所となりました国立能登青少年交流の家・石川県立羽松高等学校・石川県立羽咋工業高校の皆様のご理解とご支援により、この難局をなんとか乗り越えることができました。現在は全生徒が本校での教育活動を行っておりますが、本校の震災の爪痕は大きく生徒の皆さんに依然として我慢を強いているのが現状です。不確定な部分があり確約できませんが、石川県教育員会からは本校校舎(第1体育館を除く)の復旧工事は来年度中に順次完了する予定と説明を受けております。部活動においても幾多の制限がありますが、県総体終了時点で陸上競技部、柔道部、剣道部、なぎなた部、水泳部が北信越総体への出場を果たし、なぎなた部(団体・個人)、弓道部(個人)において全国高校総体への出場を決めてくれました。

 さて、現代は「予測不可能な時代」と言われるように、今まで人類が直面したことのない社会の変化が世界規模で起ころうとしています。今学校では、情報化やグローバル化がさらに進み、変化の激しい社会にあっても、将来にわたり主体的に考え行動し、次世代社会の担い手となる生徒の「生きる力」を育むことが求められています。本校は今年度より文部科学省のDX(デジタルトランスフォーメーション)ハイスクール事業に採択されました。本事業を通してデジタル環境の整備を図るとともに、未来を生きる生徒たちに対して、「地域課題の発見とデジタル技術を活用した課題解決に向けた探究活動」を充実させ、生徒自ら未来を創造する取り組みを強化します。また、「多面的に学び考える力」を育成するために、文系・理系の枠を超えた「教科横断型授業」の推進にもチャレンジします。 

 さらに、本校はオーストラリアのバスコースト大学(前ワンサギ中等教育学校)と姉妹校提携を結び、毎年参加者を募り、海外の高校生と交流を行っています。2005年度より隔年で交互にそれぞれの国を訪ね、授業や文化体験、ホームスティ等を通し交流を深めてまいりました。コロナ禍の3年間はオンラインでの交流に制限されてきましたが、昨年度は29名の生徒さんがオーストラリアから来校し、今年度は本校25名の生徒さんが訪問することになっています。高校生の時に異文化に触れ多様性を学ぶことは、将来に向けた大いなる財産となると思います。

 最後に、地域の進学校として重ねてきた伝統のもと、生徒の進路希望を実現し、地域の発展に貢献できる人材を育成するために教職員一丸となって頑張っていきます。

   2024年6月末日

                   石川県立羽咋高等学校 校長  井上 政人