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『〇〇ロス』 って?

 いつも、はつらつとして挨拶をしてくる友人が、しょんぼりと落ち込んで表情がくもっています。しばらくは、ワイワイ飲食したり、とても元気がでそうにないと伝えてきました。先日、大切に可愛がっていたペットを亡くし傷心の日々なのだと言うのです。ペットロス症候群という言葉が思い浮かびました。ペットが行方不明になったり、ペットと死別したりしたことがきっかけで病気になったり、心や身体の不調が症状に現れる状態をいいます。この場合、当人の精神的痛手は、かなり大きいと言えるでしょう。

一方、『◯◯ロス』をもっとカジュアルに使う場合もあります。例えば、夢中になって見ていたドラマが終わった時、気が抜けたようになり、『◯◯(番組の略称)ロス』とか、お気に入りの俳優がいれば、『◯◯(役名の名字)ロス』という使い方もあります。

おわかりのように、『◯◯ロス』とは、何か大切なものや大好きだったもの、夢中だったもの、懸命に取り組んでいたものなどを失くした時の喪失感を言い表します。そして、そのような時は、寂しさや気分の落ち込み、力が入らない、元気が出ないなどのうつ的な状態に陥りがちです。喪失感の深さは、その対象が、当人にとって、どれだけのウエイトを心的世界で占めていたかに関わりがあるようです。となれば、ふだんの生活でも、ありそうです。例えば、大好きなお菓子が製造中止になったとき、『◯◯(お菓子の名前)ロス』となります。そうそう、コロナ禍でお祭りがのきなみ中止になっていますが、これまで情熱を注いできた人たちにとっては、『お祭りロス』って感じでしょうか。

『◯◯ロス』って、喪失を自覚して言葉に出すことで、寂しい気持ちや悲しい気持ち、ショックを和らげているのかもしれません。そして、喪失感と向き合うには、自分の気持ちをそのまま受け止めて、表出したり、浸る時間がそれなりに必要だろうとしみじみ感じます。(藤森)