廃棄果皮0システム(事例)

廃棄果皮0システム(事例)

廃棄果皮0システム商品一覧

―廃棄果皮0システム商品一覧―


金沢ゆずピール煮(製菓材料)

 金沢ゆずの搾汁後廃棄果皮をピール煮に加工し、製菓材料として焼き菓子に利用しています。

販売先:金沢ゆずクッキー…㈱六星本店、長坂店

    その他…イベントなど



金沢ゆずピール煮(そのまま食べるピール煮)

JA金沢市金沢柚子部会と翠星高校のコラボ商品。ピール煮の果皮を粉砕せずに個包装し、そのまま食べるお菓子として販売しています。

販売先:㈱六星本店、長坂店



業務用ゆずピール煮

搾汁後廃棄果皮をピール煮に加工することで、業務用として販売することができます。

企業に販売することで大量消費を可能にし、利益を生み出すことができます。

―金沢ゆずの場合…金沢ゆず大福用業務用ピール煮―

㈱六星から餅用は8mmに粉砕したもの餡用は煮汁を切り1mmに粉砕した金沢ゆずピール煮の注文を受けました。昨年は私達が製造し120㎏を納品しました。今年は金沢ゆず生産者田中さんは800㎏のピール煮を製造し273㎏を㈱六星へ納品しました。残りのピール煮は六星の新商品に使用されます。



―国造ゆずの場合…国造ゆず餡団子―

 大松庵から餡と糖度をそろえるためピール煮の糖度を53度に揃えてほしいと注文を受け糖度53度の国造ゆずピール煮を製造しました。国造ゆず餡団子用ピール煮を国造ゆず生産者見習い地域おこし協力隊阿部さんと製造し、国造ゆずピール煮5kgを大松庵に納品しました。国造ゆず餡団子の売れ行きが好調だったためピール煮の追加注文を頂き7㎏のピール煮を大松庵に納品しました。


金沢ゆずシロップ(煮汁)

ピール煮製造時に出る煮汁をざるでこすことで、シロップとして使用することができます。企業に販売したり、ドリンクに加工して利用できます。

 

企業に販売…金沢ゆずピール煮製造時に出る煮汁は金沢ゆずシロップとして、㈱六星に販売予定です。

金沢ゆずねーどに加工…シロップにレモン汁を加え、水で薄めることで「金沢ゆずねーど」(ドリンク)を商品化しました。金沢ゆず香るん祭り、㈱六星で販売しました。


アロマオイル

―金沢ゆずの場合―

汚れの多い金沢ゆず搾汁後果皮からアロマオイルの抽出に成功し、金沢工業大学谷田先生により、抽出したオイルにD―リモネンが含まれていることが確認されました。㈱アロマギフトの市井さんと協働で金沢ゆずアロマオイルの商品化に成功しました。
 
アロマオイル抽出は「障がい者就労施設リハス」に委託し、障がい者就労支援を可能にしました。リハスは大型オイル抽出機を導入したもののゆず果皮からアロマオイル抽出がうまくいかず現在は停滞しています。



金沢ゆず大福

金沢ゆず大福は㈱六星、金沢ゆず生産者、翠星高校の共同開発品で金沢ゆずピール煮が使用されています。餅には8mm粉砕のピール煮、餡には1mm粉砕のピール煮が入っています。餡用のピール煮は汚れの多い果皮でも汚れが目立たず使用できます。

昨年は㈱六星の金沢駅店を除く3店舗で販売され、3ヶ月で13,000個が完売しました。第二回金沢ゆず香るん祭りでは、一時間で1,000個売し、商品力の高さが証明されました。今年も販売が決定し、売れ行きは好調です。

販売先:㈱六星本店、長坂店、近江町店、金沢駅店


国造ゆず餡団子

石川県内の和菓子店「大松庵」と国造ゆず生産者、翠星高校の協働開発品で国造ゆずピール煮を餡に練り込んだ国造ゆず餡が使用されています。お花見シーズンから販売を開始し兼六園店、本店で販売され好評でした。国造ゆず餡は団子のほかに、おはぎにも使用され国造ゆずおはぎも商品化されました。

販売先:大松庵本店、兼六園店



国造ゆず和紙

 アロマコーディネーターの伊藤さん、加藤和紙店、翠星高校の共同開発品です。石川県内の化粧品会社㈱ケイズはアロマコーディネーターの伊藤さんと協働で国造ゆず搾汁後果皮で化粧品開発をしています。活動を行う中で関わりを持った伊藤さんから製造時に出る黄色の乾燥残渣の活用法について相談を受けました。ケイズは食品製造業免許がなく残渣を食用に利用することができないため、食用以外の活用法を模索しました。

 国造ゆずの生産地である能美市内の小学生は、ふるさと学習として国造ゆずを学んでいます。近隣に江戸時代から続く日本唯一の雁皮紙専門店「加藤和紙」があり、残渣を和紙に混ぜ込み、卒業証書にすることで地元小学校で活用できないかと考えました。「加藤和紙」にゆず和紙が作れないか相談し、乾燥残渣を粉砕し紙漉き液にとかし漉いた和紙にかけることで「国造ゆず和紙」の試作に成功しました。


~国造ゆず和紙の地域での活用~

・国造ゆず生産者

国造ゆず生産者塚田さんは、国造ゆず和紙を大変気に入って下さり、名刺として活用したいと自分で紙漉きを行い、福祉就労施設「はまかぜ」で印刷を行いました。


・能美市井出市長

能美市の長寿の表彰状への使用が決定しました。他の使い道も一緒に考えましょうと前向きに検討してくださいました。

・能美市農林課村本さん

ゆず和紙の紙すき体験を県外や海外向けの能美市ツアーへの取入れを検討しました。

・能美市主催「サイエンスフェスタ能美’19」

限定20名の子供達と国造ゆず和紙の紙すき体験を実施しました。参加した子供達は国造ゆずや紙漉きに興味を持ってくれました。

「廃棄果皮0システム」構築までの経緯

○平成23年

平成23年、金沢ゆず生産者から「搾汁後のゆず果皮の廃棄に困っている。捨ててしまう果皮の再利用が出来ないだろうか?」と依頼を受け、搾汁後果皮(廃棄果皮)から金沢ゆずマーマレードを開発・販売し、生産者に喜ばれました。



○平成25年

平成25年、廃棄果皮から、ゆずピール煮(砂糖煮)を開発しました。ゆずピール煮を製菓材料として、クッキー・シフォンケーキ・パウンドケーキ・マフィン・パンを開発しました。「金沢ゆずクッキー」はコンテストで奨励賞を受賞。

各商品は地域イベントを始め、常設売り場で常時販売しており、平成29年8月までにマーマレード1,373個、クッキー2,898個、シフォンケーキ1,536個、パウンドケーキ734個、マフィン644個、パン339個の合計7,524個を販売してきました。



○平成29年度

平成29年4月、金沢ゆず生産者の田中さんが来校し「金沢ゆずをブランド化して地元を盛り上げたい。第1回ゆず香るん祭りを開催したいので、出店してほしい。」と依頼を受けました。さらに話を聞くと、金沢ゆずは現在、搾汁後果皮の50(4,650kg)が1kg90円で食品加工業者に販売されているが、残りの50(食べられる果皮30%、汚れなどで食べられない果皮20)は引き取り手がなく、廃棄しているとのことでした。そこで私達は、廃棄果皮を使った6次産業化を生産者に提案し、廃棄果皮ゼロを目指しました。

―きれいな果皮の利用―

お菓子のピール煮をJA金沢市金沢柚子部会にスイーツでの6次産業化を提案し、本校でゆずパウンドケーキの講習会を実施しました。しかし製造技術が難しく、ゆずパウンドケーキでの6次産業化は出来ませんでした。しかし講習会の際に、製菓材料として使用していたゆずピール煮に興味を持ち、「製菓材料としてではなく、そのままお菓子として食べたい」という意見があったため、お菓子のピール煮をJA金沢市金沢柚子部会とともに開発しました。

ピール煮での6次産業化を再度提案し、ゆずピール煮講習会を田中さんが製造免許を取得している自宅ガレージで実施したところ「これなら自分たちでも製造ができる」とピール煮での6次産業化を行うことが決定しました。


―汚れの多い果皮の利用―

汚れの多い果皮は食用には適さないため、なにか利用法がないかと考えたところ、ゆず果皮の油胞組織は香気成分D-リモネンを主体とする精油成分を含んでおりオイルの抽出が可能であると考えられ、アロマオイル抽出試験を行いました。オイル抽出装置(蒸気蒸留法)を自分たちで組み立て、何度も抽出試験を行いました。アロマデザイナーの市井さんにもアドバイスをいただき、アロマオイルの抽出に成功しました。金沢工業大学谷田先生の協力により、私達の抽出したオイルにD-リモネンが含まれていることが確認できました。抽出したオイルは市井さんに高い評価を受け、市井さんが東京で経営する会社「AromaGift(アロマギフト)」との共同開発品として「金沢ゆずキャンドル」「金沢ゆず石鹸」の商品化ができました。

アロマオイル抽出後の残渣は、地元企業の明和工業()に委託して炭化し、畑に還元することで循環型農業にもつながると考えました。成分分析を行ったところ、窒素1.9%・リン0.8%・カリウム2.8%を含んでいることがわかりました(大和環境分析センター調べ)。このことを生産者に提案すると、「ぜひゆず園に撒きたい」と散布しました。



○平成30年

この一連の流れを生産者が行うことにより、生産者の利益向上や知名度向上につながると考えた私達は、「廃棄果皮0システム」と名付け、システム化しました。このシステムは廃棄果皮が出る柑橘類産地ならどこでも導入可能なので、現在は廃棄果皮0システムを全国の産地へと発信するため、普及活動を行っています。

金沢ゆずの場合

☆マーク:主に生産者の活動内容です


平成31年2月

☆生産者の田中さんが2tの果皮から800kgのピール煮を製造。


平成30年11月

☆第二回ゆず香るん祭り開催。(ゆず大福が一時間半で1,000個販売!)


平成30年10月

☆生産者の田中さんがピール煮製造に向けて、冷凍庫などの機材購入。


平成30年8月

・金沢ゆずねーど販売。

・金沢ゆず大福販売開始。


平成30年7月

☆本校にて田中さん親子へ技術指導を実施。(必要な機材など詳しく説明)

・金沢ゆず大福用ピール煮120kgを六星に納品。


平成30年6月

・金沢ゆず大福商品化に成功。


平成30年2月

☆金沢ゆず大福開発スタート。(六星、生産者、翠星高校の三者で会議)


平成29年12月

・六星から金沢ゆず大福の共同開発依頼を受ける。


平成29年11月

・障がい者就労施設リハスが大型オイル抽出機を導入。試運転開始。

☆第一回ゆず香るん祭り開催。


平成29年8月

・アロマオイル抽出(障がい者就労施設リハス)

☆生産者の田中さんが畑に炭を散布。

・明和工業()でアロマオイル抽出後残渣の炭化に成功。


平成29年7月

☆生産者田中さんのガレージにてゆずピール煮講習会を実施。

☆お菓子としてのピール煮を生産者自ら製造販売(よこっちょファーマーズマーケット)


平成29年6月

☆金沢ゆず生産者13名にゆずパウンドケーキ講習会を実施。

・本校で10.5㎏から3㎖のアロマオイル抽出。ゆずアロマオイルの抽出に成功。


平成29年5月

・本校でゆずアロマオイル抽出試験開始。

・JA金沢柚子部会から「ゆず香るん祭り」への出店依頼を受ける。

・廃棄果皮全体のうち、まだ半分を廃棄していることを生産者の方から聞き、廃棄果皮0システムを構築。