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『ハッ』とする詩と出会って
「第3波」とか「ワクチン予防接種」などのコロナ関連の報道に、気持ちが下がったり上がったりする中、先日、話題の映画『鬼滅の刃』を友人と鑑賞してきました。まずは、映像の美しさに目を見張り、特に風景描写がリアルですばらしかったです。ストーリーはシンプルですが、心理学的に解釈すると、なかなか興味深い内容でした。
ところで、4月からコロナ禍におけるストレスマネジメント(ストレスの自己管理)を意識して、さまざまな情報を収集し、その中からいくつかをピックアップし、アレンジして紹介してきました。今回は、図書室からお借りした詩集で「ハッ」とする一編の詩と出会いましたので、ここに引用します。
自分の感受性くらい 茨木のり子
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難(きむずか)しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立(いらだ)つのを
近親(きんしん)のせいにはするな
なにもかも下手(へた)だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった
駄目(だめ)なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ 出典:『名詞の絵本』川口晴美 編 ナツメ社 (藤森)