校長室ブログ

2023年7月の記事一覧

イベント 7月20日の記事より

 7月20日(木)、1学期が終了しました。皆さんに大きな事故なくこの日を迎えられたことをまずは喜びたいと思います。

 今朝、新聞に目を通していたとき、「健常者優位の読書文化に一石」という記事が目に飛び込んできました。昨夜からニュースでも見ていた市川沙央さんの芥川賞受賞に関する記事でした。

 「重度障害者の受賞者も作品もあまりなかった。今回、初だと書かれるんでしょうが、どうしてそれが2023年にもなって初めてなのか、みんなに考えてもらいたい。」

 市川さんが昨日のインタビューの最後に話したことです。気管に開けた穴を手でふさぎながら、一言一言力を込めて話していました。この言葉は私の中に重く沈んでいきました。実を言うと、今日の終業式の挨拶で触れようか、ギリギリまで悩んでいたほどです。

 受賞作「ハンチバック」(=背骨が曲がった人という意味)の主人公は、市川さんと同じ難病を患う重度障害者です。そのために、読書姿勢を保つこと、ページをめくること、本屋に自由に買い求めに行くことができません。紙の本が読める健常者を標準にした読書文化の特権性の存在とその不条理を訴えます。

 市川さんがこのことを書いてくれていなければ、私は、さらに数年間このことに気づかないまま生きていたと思います。バリアフリーはもう耳慣れた日常語になりましたが、市川さんが「読書バリアフリー」が世の中に広まっていくことを切望してこの本を書いたように、他にもまだまだある「〇〇バリアフリー」に気づいて推し進めていかなければならないのだと痛感しました。6月にいしかわ特支の先生方に教えていただいたことと通ずるものがありました。

 この夏休み、読みたい、そして考えたい本が1冊増えました。40日間は本当にあっという間だと思います。生徒の皆さんも色々なものに触れて考えて、心豊かな人になってくださいね。