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ほりほりの部屋Vol.98「Spread your little wings and fly away!~卒業生に捧ぐ~」

風雪に耐え咲く梅の花のように

元気で、明るく、たくましく!

 皆さん、こんにちは。堀です。今日は本校第57回目の卒業(証書授与)式です。校舎前のしだれ梅も諸君の門出を祝ってます!高校生活最後の日も、やっぱ、GAT!!!     

 コロナ禍のための「異常な」卒業式も3回連続となりました。生徒会長以外の在校生不在、1家族2名様までの参列、国歌・校歌を心の中だけでの斉唱等々・・・出席者全員マスク姿という光景も、(不本意ながらも)ずいぶん見慣れたものとなりました。今できる範囲で、最高の式典にすべく、全職員一丸、いろいろと取り組んでみました。卒業生諸君、保護者の皆様、ご満足いただけたでしょうか?以下に、堀から卒業生諸君へのラストメッセージ、「式辞」全文を載せます。ご参列適わなかった、卒業生のご家族の方々にもご覧いただければ、と思います。

石川県立金沢錦丘高等学校

第五十七回 卒業証書授与式

式  辞

 校舎正面のしだれ梅が花をほころばせ、伏見川の川辺にも春の気配が感じられる今日のよき日、同窓会長 宮川外志様、PTA会長 井波秀俊様をはじめ、ご来賓の皆様には、公私ご多忙の中、お祝いに駆けつけていただき、誠にありがとうございます。

 ご列席の保護者の皆様、本日はお子様のご卒業、誠におめでとうございます。高校に入学したての春から、今日のこの日まで、すべてが順調に来ましたでしょうか。そういうご家庭もおありでしょうが、大半のご家庭においては、もがき苦しむような事もあったのではないかと推察いたします。あたかも、頭の上を嵐が過ぎ去るのをただひたすら待つだけというようなご経験も、人知れずあったのではないでしょうか。いずれにせよ、この三年、いや、十八年にも及ぶ子育て、本当にご苦労様でした。今日くらいは、自分自身を褒めてあげて下さい。手塩にかけて育ててこられたお子様たちは、いよいよ皆様の手から離れ、今まさに飛び立つ時を迎えました。本校の全教職員と共に、今日のこの巣立ちを祝福しませんか?返す返すも、保護者の皆様、本当にお疲れさまでした。

 卒業生諸君、卒業おめでとう。錦丘高校での三年間はいかがでしたか。二年前の三ヶ月にもわたる一斉休校に始まり、今もまだ、コロナ禍は完全に収束したというわけではありません。紫錦祭をはじめとする様々な学校行事も、中止や規模縮小、内容変更を余儀なくされました。しかし、諸君はこのような試練を、二年間にわたり、見事に耐え抜いてくれました。それはあたかも、本校のシンボルツリー、梅の花のようでした。冬の寒さに耐え忍び、春に見事に咲くのが梅の花。その梅の花がデザインされた錦丘の校章が今、入学式の時と同様、諸君の左胸で満開です。錦丘高校生を象徴する花だと思います。梅の花のように耐えて咲く、どうか、生涯、忘れずにいてください。スクールカラーの紫色・すみれ色とともに、プライドを持って、心に留めておいてください。

 さて、諸君、日本を代表する、次の三人の若きアスリートに共通する事は何でしょう?大谷翔平、平野歩夢、髙木美保。三人とも、諸君が高校の最終学年を過ごしたこの一年の間に、それぞれの競技において、グローバルな舞台で、世界中の人々を驚かせる結果を出したということは言うまでもありません。それ以上に、今後八十年続く諸君の人生において、是非とも実践し続けて欲しい、ぶれない「羅針盤」とでも言うべき、共通した教訓が込められていると思うのです。それは、従来、絶対に不可能とされていたことに疑問を持ち、自身の力を信じて、新たな価値観を作り出したということ、つまり、価値観を書き換えた、アップデートした、ということなのです。「今まで、誰もやった人がいないから」ということを、挑戦をあきらめる理由、とはしなかったのです。

 野球の世界最高峰、メジャーリーグで投打の二刀流、ツーウェイプレイヤーを高度なレベルで実践し、MVPを取ること、オリンピックにおいて、炎天下、スケートボードを操って世界と渡り合った半年後に、氷点下、スノーボードで金メダルを取ること、コンマ何秒で一発勝負を競うスピードスケートにおいて、競技特性の全く異なる、短距離でも長距離でも、世界のトップ選手と互角に戦い、複数のメダルを獲得すること。いずれも、彼ら以前の価値観では否定され続けてきたことばかりです。

 「メジャーで両方は無理。現代野球では、どちらかに集中しないと失敗する」とか「他のトップ選手は皆、夏は南半球でスノーボードに乗ってる。半年前に他競技で夏季オリンピック出場なんてあり得ない」とか「そもそも、短距離で勝つための瞬発力と長距離で勝つための持久力の両方を兼ね備えたメダリストなんていやしない。求められる筋肉の質が全く異なるのだ」などと言われていました。冬季オリンピック日本選手団主将も務めた高木美保選手は、オリンピック初挑戦種目の五百メートルでの銀メダル獲得について、「挑戦した証。誇りたい。」とインタビューで答えていました。諸君にも、前例がないからといって、あきらめて欲しくはないのです。

 諸君の修学旅行についても、私自身、決断まで相当悩みました。しかし、「前例がなくても必ずブレイクスルーできる。実施を前提に突破口を探すのだ」と自身に言い聞かせ、感染症対策を配慮しつつ、保護者の皆様のご助言や同意を得て、完全実施に踏み切ったことは、諸君と共有できる、素晴らしい思い出のひとつであり、校長としての「誇り」です。

 こういったこと全てをまとめ、英語の教員らしく、英語で、メッセージを送りたいと思います。

Leave the beaten track, dive into the woods,

and you will find something that you have never seen before.

(舗装された道を離れなさい!未開の森に飛び込のです!そうすれば、今まで見たこともないものを発見することになるでしょう。)

 さあ、羽ばたく時がきました。きっと、いつの日か、ここに戻ってきてください。何もかもがなつかしい、そう思える日が必ず来ます。それは、ここが、諸君のふるさとだから。錦丘は諸君の母校だから。

 最後に、諸君全員が、元気で、明るく、たくましく、生き抜いていってくれることを、心より祈念し、私の式辞といたします。

     令和四年三月二日

     石川県立金沢錦丘高等学校 校長 堀 義明

  この式辞に目を通す際のBGMとして、1曲、オススメしておきます。それは、Queenの“Spread your wings”「永遠の翼」です。You Tubeで「元気になれるジョンの名曲(3)永遠の翼 Spread your wings / Queen」を探してみてください。カラオケのように、英語の字幕スーパーと日本語対訳が流れてきて、堀からのメッセージがより鮮明かつ正確に伝わるのではないか、と思います。この曲、1977年発売のQueenのアルバム「世界に捧ぐ」(諸君おなじみの“We are the champions.”や「ドンドンぱっ、ドンドンぱっ」のイントロが印象的な“We will rock you.”収録)に収められていた名曲。クイーンのベーシスト、ジョン・ディーコンの作品。彼が創った作品の多くは、派手さはなく、シンプルだけど力強い歌詞が特徴的。45年前、堀が今の諸君のように、閉塞感と劣等感にさいなまれ、悩み多き高校生だった頃、この曲の主人公、Sammyの姿に、自身を投影していました。諸君の中にも、この歌詞に共感する人がきっといると思います。1人1人が皆、Sammyなのです。当時、堀は、このサビの部分の歌詞にずいぶんと勇気づけられました。

Spread your wings and fly away! Fly away, far away!

 Spread your little wings and fly away! Fly away, far away!”

 3年生諸君の、これからの人生に幸多からんことを!どこへ行こうとも、GATで、乗り切らんことを!!その小さな翼を、大きく広げて、飛び立つのです!!遠くへ、遠くへ、もっと遠くへ!!!ではでは。今日はこの辺で。CU ASAP!

P.S.堀が飛べない鳥、「ペンギン」になるのも、今回でちょうど10回目。燕尾服は、入学式と卒業式にのみ、着用してきました。(我が子の結婚式はハワイでのリゾ婚だったので、着用せず。ハワイではアロハシャツが正装。オススメ。)校長としての最後の正装も無事終了ということになります。The first penguinならぬ、ふとっちょのthe last penguinでした。見納めナリよ。

P.P.S.

堀が先週から校長室前に持ち込んだ紅白の桜。良いタイミングで咲かせることができました!めでたし、めでたし。