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2022年10月の記事一覧

【100周年記念誌】津高探訪⑭「ソフトボール部」

令和4年10月23日(日)、専光寺のソフトボール場で石川県高等学校新人体育大会ソフトボール競技の決勝戦が行われた。津幡高校vs金沢高校の戦いは0-6で金沢が制し、津幡は準優勝となった。

 津幡高校ソフトボール部は昭和41年「クラブ全入制」を機に新設された。42年度に赴任された長島健治監督のもと、昭和44年より頭角を現し、45年には県内の大会のうち新人大会を除く他のすべての試合で勝利し、全国高校選手権大会ならびに国民体育大会出場という輝かしい成績を収めた。その当時、作成されたアルバムが長嶋監督直筆の巻頭言から始まる。

○ソフトボール部記念アルバム 長嶋監督直筆の巻頭言

 「このアルバムは昭和45年度(1970年)津幡高校ソフトボール部の輝かしい活躍と貴重な体験を記録した

ものである。華やかな栄誉を勝ちとるために先輩たちが乗り越えてきた幾多の困難や挫折は記録として残すこと

はできない。しかし、勝利の栄冠はそうした先輩たちの苦しさに耐え抜いた汗と涙の結晶であることを忘れては

ならない。

 この記録の数々は先輩たちにとって青春を燃やしてクラブ活動に打ち込んだ過ぎし日のよき想い出になり、あと

に続くものにとっては良い刺激となれば幸いである。

                                  ソフトボール部顧問 長島健治

 ○インターハイ初出場

 

○国民体育大会初出場

 

 

 

 

 昭和46年度国民体育大会にも連続出場を果たし、活躍は続いていく。シーズン中は厳しい練習で実力を伸ばしていくが、冬季の練習について「冬季トレーニング」として、図説とともに生徒の配付したプリントが残る。

(冬季トレーニング)

1 トレーニングの原則

 イ どんなねらいで、どのように行い、なぜそうするのか。知識や理解を深め、自己

のトレーニングに常に反省を加えることが必要

  ロ 徐々にトレーニングの強度を増やしていく

  ハ 体力と技術を並行して高めていかなければならない

  ニ 長期にわたって続けてこそ、はじめて大きな効果が得られる

  ホ 個人的条件に即したトレーニング処方を工夫していくことが望ましい

  ヘ 専門種目に要求される重要な面を重点的に高める

 

 2 トレーニングを行う前に、行っているとき、終わってから

   (省略)

 

※     ・毎日やるのが望ましいが、一日おきでも効果はそんなに変わらない

・能力の高い者は負荷の大きい種目を選ぼう

・冬季に限らず、いつでも、どこでもやろう

・ランニングがあらゆるトレーニングの基礎であることを忘れずに

○昭和46年度 北信越大会

  ここから50年の歳月が流れているが、現在もソフトボール部は毎日の練習に頑張っている。12年前から「津幡家族」という手製の新しい横断幕を作り、そこには歴代部員たちの手形が色とりどりに押されている。「津幡家族」としたのは「練習内容、時間の長さは家族以上のつきあい」とのことである。

  「津幡家族」 全国大会での活躍を期待している。

【100周年記念誌】津高探訪⑬「同窓会館」その2

○『津高同窓会報』第7号より

 

創立70周年記念事業(平成5年)の一つとして、現在の「同窓会館」が建設された。平成3年10月19日発刊『津高同窓会報』第7号に会計報告がある。

●会計報告

同窓会館建設寄付金収支決算書

 ○収入の部

   同窓会寄付金  43,227,740円  一口5,000円

   企業寄付金   33,603,970円  企業274社

   全・定・PTA 20,190,000円

   河北五町寄付金 20,000,000円

   同窓会財産   10,950,388円

   その他      7,145,244円  現・元・職員有志

   雑収入      1,204,345円  預金利息

 

        計 136,321,687円

 

 ○支出の部

   同窓会建設費 127,974,249円  工事費、備品購入費含む

   冷房工事費    3,003,480円  2階広間、3階広間7機

   事務費      465,789円   コンピューター用品代

   印刷費      1,034,793円  趣意書印刷、宛名シール

   記念品式典費   1,848,097円  記念品代」、式典パーティ費

   通信費      1,048,183円  郵送料

   雑費        947,096円  会合弁当代、振込手数料

 

        計 136,321,687円

 

 当時の同窓会長である中田健二氏より「ご挨拶」がある。

「会員の皆々様には益々ご健勝の事と存じます。

 さて創立70周年記念事業の中で最大の同窓会館建設に当たり多大なご協力を賜りお陰様ですばらしい会館が完成することができました。これひとえに皆様方の会員意識の高さと母校愛のしからしめるところと思います。

 募金活動に際しましては役員はもとより、会員の皆様、PTA・PTA役員、学校職員の一丸の協力の結果でありました。また企業の方々の大きな大きなご理解とご協力があったらこそと心より感謝申し上げます。 (以下略)」

 

 建設に当たって実に大きな協力があって完成までこぎつけたことがうかがえる。当時1億を超える募金を集めた関係者の熱意とご苦労がいかほどのものであったか。『北斗』31号には藤井同窓会事務局長が会館設立について語っている。

  「念願の同窓会館設立」

 部活動振興を標榜する本校に、合宿施設が欲しい、との声があがりました。昭和63年9月同窓会理事会で話し合いがもたれました。それは5年後に津幡高等学校が創立70周年を迎える記念事業として、合宿施設建設を10月の総会に正式議件として提出してはどうか、ということでした。(中略)

 趣意書作成段階で募金期間が一年を超えてはならないことが判明し、この事業は前倒しか、後送りかの決断を迫られました。諸般を考慮し、すぐ実行すべしの中田会長の一声で、平成元年8月1日同窓会建設募金活動がスタートしたのです。

  目標額 1億3千万円

 平成2年4月26日の起工式から6ヶ月を経て、見事同窓会館が落成しました。難事業が同窓生の母校に対する熱い思いと関係各位の絶大な支援により実現したのです。(中略)

 この同窓会館は同窓生の心のふるさとです。創立70周年は平成5年、どうかたいせつに使って欲しいと念願します。

 

○同窓会館設立に向けた「募金趣意書」

  かくして建設された「同窓会館」であったが、1億3千万の募金を集めるのに、どれほどの労力があったかは段ボール1箱分にもなる当時の資料が物語る。

 また、同窓会館設立を待ち望む生徒の声もあった。『同窓会報』第6号で、当時の柔道部主将の吉田幸一さんがこう話す。

   「うれしい同窓会館建設」

 私たち柔道部は毎年夏季にインターハイ前の強化合宿を行っています。しかし泊まる場所が道場でごろ寝という具合に毎晩、開放された窓から入ってくる蚊との戦いでした。また冬季には寒稽古があり、雪降る中朝6時半から集まって練習します。電車がストップしたときは全員そろわず練習にも影響が出ました。そういうことで私たちが会館完成にかける思いもひとしおです。

  更に『北斗』31号に、31H中島紀代美は、建設に感謝を語っている。

   「同窓会館設立のよろこび」

 今年、70周年創立記念事業である同窓会館が設立されました。同窓会館を建てるまでは、寄付金を集めることは難しいと考えられていました。生徒はもちろん、本校卒業生にまで、大変多くの寄付金をいただき、見事に今年の秋に完成しました。本来ならば、平成5年に設立される予定であったのを三年早く完成しました。

 同窓会館の利用については、石川国体に向けた運動部の強化合宿や、進学者のための勉強合宿などがあります。今後、私たち生徒は、津幡高校の活性化のため、主旨にご賛同いただいた方々に感謝し、大切に利用していきたいと思います。

○同窓会館平面図

 

 現在、完成から30年以上経った同送会館、所々で修理を必要とするところがあるが、入った人は皆驚く立派な建物である。コロナ禍で2年、合宿使用ができなかったが、この夏久しぶりに柔道部が一日練習の期間、昼食、休憩に使った。このあとも再び合宿などで同窓会館は使用され、生徒の思い出になっていく。

【100周年記念誌】津稿探訪⑫「同窓会館」その1

 現在、購買、授業、部活動、合宿、同窓会などで使用する「同窓会館」は70周年記念事業として建設されたものである。50歳後半の卒業生から話を聞く「旧同窓会館」は今は記憶にしか残っていない。構造の違いはあるものの、かってはそこに今の「同窓会館」と同じ光景があった。

○旧同窓会館 昭和38年10月20日完成

 

創立40周年の中心事業は「同窓会館」の建設であった。昭和40年3月10日発刊『津高新聞』(第49号)に「同窓会記念館落成」について

 「本校の同窓会員諸氏が創立40周年を迎え何か記念なるものを、との意向により、旧北校舎跡(現在の図書館棟

 グラウンド側横)に同窓記念館(同窓会館)が一昨年(昭和38年、10月20日)完成した。

  記念館は平屋建て総面積320㎡。建設費370万円(現在なら1500万)、うち同窓会員(6千人)が300万円、郡町村

 と農協長会が50万円、残りはPTA関係者が寄付してくれた。内部は大ホール、大和室、小和室、同窓会事務室

 の各室がある。(写真は記念館を正面に望む)

とある。新聞には「創立40周年事業経過」として、事務局の高木徳久が述懐する。

 「昭和35年度の総会において母校創立四十周年記念事業推進のため記念事業募金として5千円を予算化してから

 二カ年、如何にして四十周年にふさわしい事業計画を、そして遂行する方法について、機会あるごとに話し合い

 をいたして参りました結果、昭和37年8月の総会において、記念誌の発刊、記念館の建設、同窓生の追悼法要をす

 ることにまとまり、各位に配布いたしました趣意書の通り、募金に着手しました。(中略)

  しかしながら300万円の記念館建設基金は、各位のご芳志にもかかわらず思うにまかせず、再三にわたり格別の

 ご芳志を得て、去る12月24日銀行から借り入れたものを漸く返済することができました。(中略)

  記念館は、図書館、茶室、同窓会事務室として活用されており、在校の生徒諸君も感謝しながら喜々として読

 書にいそしんでおります。」

 その後、同窓会館は生徒会館として親しまれ、主に休暇中(春、夏)のクラブ合宿、購買部、茶道部、生徒議会、種々のレクリエーションや集いの場として幅広く利用される。

 70周年記念事業で建設された新同窓会館の完成とともに役割を譲り、老朽化もあって平成3年に取り壊された。生徒会館として購買の利用、合宿など思い出として話は聞くが、内部の写真や使用の様子など写真は残っていない。

 

○県立津幡高校40周年記念事業「同窓会館建設会計決算」

 ●収入の部

  一般賛助金        764,000円

  同窓会一般会計より      70,000円

  会員寄付金        2,196,300円

  利子             9,605円 

  収入総額         3,039,905円

 

 ●支出の部

  建築費            3,000,000円

  借入金支払利息        35,225円

  支出総額           3,035,225円