校長室ブログ

2024年1月の記事一覧

鉛筆 漢字の性格??

 今日は漢字検定の日。教室の後ろからそっと覗くと、皆さんは、目標とする級に向けて勉強してきた力を一心に振り絞って答案を書き上げていましたね。漢字検定の場合は読み書きだけではなく、部首名や送り仮名、対義語に類義語、同音異字に同訓異字、四字熟語に熟語の構成、誤字訂正まであって、本当に日常使っている漢字のあらゆる側面からの出題がなされます。そして、今、あなたが身につけている総合的な漢字の力を「〇級」として認定されるのです。

 以前、国語の教科書に「漢字の性格」という金田一春彦さん(国語学者)の短くてとてもわかりやすい文章が載っていました。(えっ?漢字なのに性格があるの?)——そうなんです。漢字は表意文字という性格を持っていて、発音と一緒に意味を表す文字なのです。世界の文字の多くが音だけを表す表音文字なので、漢字って複雑とも言えるし、世界に類を見ない凄い文字なのです。だからそれを使いこなすことのできる私たちは相当に優秀な民族と言えるのですよ。(なぜなら私たちは漢字以外にひらかな・カタカナという表音文字も使いますし、ローマ字まで使っちゃう。これらが全てミックスされた文章もすらすらと難なく読めてしまうのですから素晴らしすぎる!!)

 話がそれましたが、その文章の大まかなあらすじは、漢字は意味も持っている字なので、見た目のインパクト、力がすごいし、組み合わせて色々な言葉を作ることが可能なんだというものでした。確かに「き」とか「キ」と書いてあっても(…?)という感じですが、「危」と書いてあったら近づかないようにしますよね。あと、「校」という漢字には「学校」という意味があるので「登校」「下校」「来校」「校舎」「校則」などその意味を使って幾つも熟語が生まれていきます。英単語だと一つ一つ覚えていかなくてはいけない表現を、漢字は3級ぐらいまでのものを一通り覚えてしまうと、世の中の色々な文章や言葉の意味が小学生でも理解できる場合があります。まさに万能選手の文字なのです。

 漢字が大嫌い…という人はたくさんいると思います。でもその多くは小学校からの漢字ドリル・漢字テスト・漢字練習帳の経験がトラウマになっているのではないかと想像します。同じ漢字を何度も書きなぐって勉強してきた人も多いと思いますが、そんな勉強の仕方を少し変えるだけで世界が広がっていきますよ。今日の検定の結果は結果として、使いこなせる漢字の数を少しずつ増やしていくことで、自分の中の言葉や表現の範囲を広げ、世界を大きくしてみませんか?

 最後に、漢字検定、お疲れさまでした。少しでも多くの人が合格していますように!そして、向陽高校の校舎で一緒に受検していた金沢北陵高校の生徒の皆さんも、たくさん合格していますように!!

    

         

雪 大寒の日に頑張る向陽生

 1月20日 大寒。1年で最も寒くなると言われている日です。

 校長室ブログは本日30本目となります。4月26日に「初つぶやき」をしたときに、私は、「気がつくとあっという間に過ぎてしまう大切な毎日の『キラリ』としたものを、できるだけ心に繋ぎとめることができれば…そんな思いで綴っていきたいと思います。」と述べています。そして、この日は、部活動後に必ず校長室前で挨拶をしてくれるサッカー部さんを「初キラリ」さんとして掲載しています。

 あれからあっという間に時が流れ、この9か月の間に、たくさんの「キラリ」さんたちに出会いました。「青春(アヲハル)」って本当に素晴らしい。どんな場面を切り取ってもあなたたちはキラリと輝いて見えます。そのことに気づかないまま走り抜けてしまった自分の「青春(セイシュン)」に対するregretがそんな風に感じさせるのかもしれません。

 大寒の今日は、朝から学校で頑張っている「キラリ」さんたちがいました。「土曜補習?ありえん!めんどくさ~い」そんな声が聞こえてきそうですが、自分の夢に少しでも近づくために、土曜補習の受講を希望して頑張って受けている人たちがいます。土曜日の学校ですから、暖は丸ストーブのみ…それでも先生と言葉を交わしながら勉強に取り組んでいます。

 地震の影響で学校や自宅で勉強できなくなった高校生や中学生が、親元を離れて、受け入れ先の施設や学校で頑張っています。学ぶことが何よりも楽しいという人は多くないかもしれません。でも学ぶことを突然取り上げられた時、「学ぶ」という行為に打ち込めることの価値というか、かけがえのなさというか、そういうものを感じている中高生は多いのだろうと思います。学べる場がある。共に学ぶ友達がいる。本当に素敵なことですね。

 来週も続けて行われる土曜補習は、1年生が今年7回目。2年生は12回目の補習になります。本当によく頑張ってきた本校の「キラリ」さんたちです。

Eメール 2枚の年賀状

 昨日(1月15日)は被災から2週間目でした。本校でも生徒会主催の募金活動が始まり、能登の高校生を思いながら多くの生徒が募金に協力する姿が見られました。

 帰宅すると、年賀状が2枚届いていました。どちらも私にとってとても大切な、人生を導いてくれたと言っても過言でない2人の女性からの便りでした。お一人は年末に風邪をひいたまま羽咋市で被災されたとのことで、消印が12日になっていました。もうお一人は、珠洲市の方です。地震のことには全く触れられていない文面に首をかしげながら表面を見ると、消印が押されていませんでした。

 そうです。年末、まだ地震が起きる前に投函された年賀状が、2週間たってようやく私のところに届いたのです。彼女の年賀状がきれいなまま残っていたこと、郵便局の方々が復旧作業に励んで、能登からの便りを届けてくれたことに、本当に胸が熱くなり、思わず涙がこぼれました。

 能登は頑張りすぎるほど頑張っています。疲れもたまってきているでしょうに、励まし合い、支え合って過ごしている様子が、毎日ニュースや新聞に見受けられます。共感疲労ということもあって、つらく感じている人も多いかもしれないけれど、私はこの報道がなくならないでほしいと思っています。被災地にいる方々にとっては、報道が続いていることが、社会が被災地のことを考えている証になって、勇気づけられることがあるのではないかと思うからです。だから、私も、情報を追い続けます。何もできなくても心を寄せている者の一人として、せめて今起きていることを毎日きちんと見届けたいと思います。 

 珠洲の友人はあの日からずっと珠洲市にとどまり、地域の皆さんのために24時間頑張っています。昨日も「能登方面への不要不急の移動は控えてほしい」と、石川県からメールがありました。自分の中では「要」であり「急」でもあるのですが、大きな支援が滞っては困るので、許可が出るようになったら、必ず、すぐに駆け付けたいと思っています。

笑う 友達の笑顔

 学校が始まりました。

 昨日の始業式は視聴覚室で行いました。一人一人の顔を見ながらお話ししていると、色々な思いが胸にこみあげてきました。真剣に耳を傾けてくれている皆さんのまなざしに、ここからの1日1日を、一つ一つを大切に過ごしていきたいと、強く思いました。

 毎日、地震に関する多くの情報が流れます。5日目頃からは学校や子供たちに関するニュースも増えてきました。どれも涙なしには読めないものばかりです。それでも今朝は少し違っていました。能登の学校の多くは全員での始業式が行えない状況ですが、一部開放された教室で勉強している高校生の記事がありました。被害が大きくなかった校長室で英語を学ぶ中学生の記事もありました。学べる環境をほとんど奪われた中で学んでいる彼らの隣には、共に学ぼうとする友達の笑顔がありました。

 昨日、視聴覚室を出ていく皆さんの隣にも友達の笑顔がありました。中には、今、友達の前で笑顔でいることが、実は少しつらいんだという人がいるかもしれません。それでも、人は人の中で支えられている…ただ一人の友達が隣にいてくれる、隣で笑ってくれていることが、私という人間を支えてくれているのだなぁと思います。県内のすべての高校生が心からの笑顔で過ごせる日が、1日でも早く訪れますように…。

学校 1月9日から学校が始まります

 1週間が経ちました。5日にもメールでお知らせしましたが、向陽高校は予定していたとおり9日から学校を始めます。この1週間、長く避難所にいた人や、家には帰れたけれども電気や水に不自由した(している)人、自宅近くに被災した家屋や道路があって見るたびに心がつらくなっている人、何よりも、能登にいる親戚や知り合いの人を心配している人、また心配している家族をそばで支えている人など、多くの人が、今もなお重い心を抱えながら毎日を過ごしているのではないかと心配しています。

 9日から学校は始まりますが、授業を受けていても胸がふさがるような思いになったりしたときには、我慢をせずに相談室や保健室に心を休めに来てください。被災された方々の無事を祈る私たちが、ここで元気でいること、それは立派な復興支援です。一人で涙していたりせずに、そのしんどさを先生にも背負わせてくださいね。

 2011年3月11日、今から13年前に起きた東日本大震災の時、外国の方々は日本人の様子を見て驚愕しました。1月2日に起きた旅客機の火災事故もそうです。私たち日本人は、危機に直面したとき、自分だけ助かろうとせず、指示を聞き、順番を守り、迷惑をかけないように行動します。自分のためよりも周りの人たちのために何倍も気を配り動くことができる国民、それが日本人であるとも言えます。それほどに口に出さなくても共感性の高い人々でもあるわけなので、前段のように哀しみやつらさも感じとってしまうのですが、思いやりの心をもって、今、自分たちがここでできることを考える、そんな1年の始まりにしていきましょう。

 3年生の皆さんとは2月の最終登校日まで24日しか顔を合わせるチャンスがありません。また、1・2年生の皆さんも、4月からここまでがあっという間だったように、のんびりしているとすぐに月日が過ぎていきます。皆で支え合いながら、向陽高校で過ごせる1日1日を大切にしていきましょうね。

昼 とにかく無事で…

2024年元日。家族や親戚が集まって楽しく迎えていたことと思います。

まさかこれほど不安な夜を過ごすことになるとは誰も想像していなかったですよね。

生徒の皆さん、そしてご家族の皆さん、大切な周りの皆さんが、無事であることを心からお祈りしています。

昨夜は避難所で一晩を過ごした人もいると思います。能登では震度3、4の余震が何度も何度も続いています。

とにかく皆さん無事で、安全確保に努めてください。