副題と設定理由
第50回 石川県理科教育研究大会 金沢大会
  大会主題 「小・中・高をつなぐ理科教育のあり方」
 副題 ~ 生活との関連を重視し,活用力を育む理科学習 ~
   
〔副題設定の理由〕
    平成23年3月11日14時46分に発生した東北地方太平洋沖地震によって引き起こされた東日本大震災。その大災害によって,我が国は甚大な被害を被り,今もなお復興の途中である。 そのような中で平成24年12月,京都大学の山中伸弥教授のiPS細胞の研究にノーベル生理学・医学賞が授与された。日本国中がその快挙に湧き,大いなる希望と勇気を与えられたと言えるだろう。
  医学の分野も学びの最初の段階は小・中・高で学習する理科である。現在の指導要領における理科の改善の基本方針の中にも
「理科を学ぶことの意義や有用性を実感させる機会をもたせ,科学への関心を高める観点から,実社会・実生活との関連を重視する方向で改善を図る。」とされている。科学の有用性を体感できた児童・生徒は社会人になってもなお,さらなる有用性を求めるための工夫や方策を考えられるのではないだろうか。我々,理科教師はそのような児童・生徒を育て,上級学校へ送り出す役割も与えられている。理科教育において『自然科学と生活との関連を重視し,そこから活用力を育成する。』取り組みを通して,科学に興味を持ちその有用性を感じ取れる児童・生徒を育成する観点から,上記の副題を設定した。
    
〔研究の重点〕
     このように考えたとき,学習内容を実生活にフィードバックさせたり,生活での利用や活用方法との関連を考えることで知識を知恵に換えることができると考えられる。意欲を持って生活との関連を重視し,活用力を育むことで,社会人になったときに「こうすればできるのではないか」という工夫や発想を生み出す創造性を育成することができるものと考える。
  理科では様々な原理や法則を学習するが,これらは日常生活や社会と深くかかわりを持っており,科学技術の発展を支える基礎
となっている。科学技術の発展は様々な新製品の開発や作業の効率化をもたらすとともに,医療技術や情報化社会,防災技術,環境問題などへも応用されている。さらに近年では,エネルギーを含む様々な資源の有効利用に貢献する技術や工夫,汚染物質や廃棄物を減らす技術やシステムなどが私たちの生活に浸透し広がりつつある。このことは,ただ利便性や快適性を求めるだけでなく,次世代への負の遺産を残さず,持続可能な社会をつくっていくことの重要性を認識してきた証拠と言えるであろう。
    
 児童・生徒が科学と実生活・実社会との関連を強く意識し,持続可能な社会をつくり出す力を育むために,以下の3点を研究の重点とする。
児童・生徒が科学の有用性と実生活・実社会との関連を深く考えるために…
①児童・生徒がレポートの作成,論述などの言語活動を通じて,学習の対象に対して感じている生活との関連性を把握し,意欲的に表現で
きるような適切な課題設定を行う。
②実生活や実社会との関連から,予想や仮説を立てて観察や実験を行い,科学的な思考力や表現力の育成を図る。
③観察や実験の結果から,自分の身の回りの実生活や実社会に科学技術が深くかかわっていることの認識を持たせ,科学の有用性に気
づかせる。 
  公開授業と4分科会では,これらの中から何を重点目標としたかを明確にし,小・中・高の児童・生徒の学びが,発達段階に沿った連続した深まりとしてつながるようにしたい。