第52回 七尾・鹿島大会 副題

第52回石川県理科教育研究大会 七尾鹿島大会

大会主題 「小・中・高をつなぐ理科教育のありかた」

副題 ~ 科学を学ぶ意義や有用性を実感させる理科教育 ~

〔副題設定の理由〕

  平成2610月,赤崎勇氏・天野浩氏・中村修二氏の日本人3名がノーベル物理学賞を受賞した。授賞理由は「高輝度・低消費電力白色光源を可能とした高効率青色LEDの発明」であり,日本の科学水準の高さを改めて国内外に知らしめた快挙である。青色LEDの量産開発により,白色照明や大型ディスプレイ等が実現した。このように我々は科学の恩恵を享受しており,次代を担う人材を育成してきた理科教育が社会活動を支え続けてきたといえる。

ところが平成26年度石川県基礎学力調査によると,「授業で学習したことが,将来の生活を豊かにしたり,社会に出たときに役立ったりすると思いますか」という設問に対して理科で「そう思う」と回答した割合は,小学校6年生が45.7%,中学校3年生が27.4%であった。英語科(外国語活動)と比較すると,それぞれ35.8ポイント,29.6ポイントも低くなっている。「理科嫌い」「理科離れ」が指摘されてから久しいが,科学を学ぶ意義や有用性を実感できていない児童生徒が多いことが改めて浮き彫りになったといえる。

  ものづくりで世界をリードしてきた日本であるが,いわゆる「知識基盤社会」を実現させていかなければその地位から転落しかねない。科学を学ぶ意義や有用性を実感できる理科教育を推進していくことが,喫緊の課題と考え上記の副題を設定した。

〔研究の重点〕

  学習指導要領の改定の要点には,「科学技術が日常生活や社会を豊かにしていることや安全性の向上に役立っていること,理科で学習することが様々な職業と関係していることなど,日常生活や社会との関連を重視して改善を図る」とある。

  身近な事象と関連付けながら,観察・実験を通して科学を学ぶ意義を実感させることの必要性は,従前から求められてきた。また優秀な技術者や研究者の輩出のみならず,「知識基盤社会」を支える人材を広く育成するためには,系統的な学習による科学の知識や概念を身に付けさせなければならない。そのためにも,社会への関心や将来の目標を児童生徒一人一人に持たせつつ,小・中・高等学校における密接な連携とスムーズな接続が重要だと考えられる。その上で,次の3点を研究の重点に設定した。

  児童生徒に科学を学ぶ意義や有用性を実感させるために

   自然の事物・現象から児童生徒自らが問題を見出し,日常生活や社会活動と関連付けながら科学的に探究する意欲が高まる教材を工夫する。

   科学的な知識や概念に基づき,観察・実験の結果を多面的に分析し解釈して,児童生徒が主体的に説明できる力を育む活動を計画的に実施する。

   児童生徒の具体的な体験を通して,一人一人の個性や能力を伸ばすため,発達段階を考慮しながら効果的なICTの活用の促進を図る。

公開授業と4分科会では,上記の3点から何を重点項目にしたかを明確にし,小・中・高等学校での体系的な学びを意識した実践につなげていきたい