第57回 石川県理科教育研究大会 能美・川北大会  副題について
 第57回 石川県理科教育研究大会 能美・川北大会      
 大会主題「小・中・高をつなぐ理科教育のあり方」             
 副題 ~「深い学びを実現する主体的・対話的な理科学習」       


〔副題設定の理由〕

 新学習指導要領が、2020年度の小学校を皮切りに、中・高と順次全面実施されていく。今期の改訂が目指す大きな方向性は、実社会で活用できるような資質・能力を確かに育てていくことにある。

 連日報道される人工知能(AI)、超スマート社会(Society5.0)からも明らかなように、目の前の子どもたちが活躍する近未来の社会においては、想像以上の変化が起きることが現実味を帯びてきた。そうした変化の激しい社会においては、ただ単に、一方的に知識を教えるだけの教育を行っていても期待される人材を育成することはできない。知識の習得はもちろん重要であるものの、これからの社会においては、身の回りに生じる様々な問題に自ら立ち向かい、その解決に向けて異なる多様な他者と協働して力を合わせながら、それぞれの状況に応じて最適な解決方法を探り出していく力を持った人材こそが求められている。また、様々な知識や情報を活用・発信しながら自分の考えを形成したり、新しいアイディアを創造したりする力をもった人材こそが求められている。

 これらの状況から、育成を目指す資質能力は、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力・人間性等」の三つの柱に整理された(中教審「答申」補足資料2016年より)。これら三つの資質能力をバランスよく育むための授業のあり方として、主体的・対話的で深い学びによる授業改善が求められている。

 副題を『「深い学び」を実現する』とした。「主体的な学び」や「対話的な学び」についても、それ自体に意味があり価値がある。しかし、それらが、「深い学び」の実現に向かうような確かな学びになっているかが極めて重要になってくる。「深い学び」の実現のためには、身につけた知識・技能を活用したり、発信したりして関連付けることが大切になる。だからこそ、明確な課題意識を持った上で、主体的で理科の見方・考え方の学びの文脈の中、知識・技能のつながりを生むことが必要であり、情報としての知識や技能を対話によってつないで再構成する処理場面の活性化なども重要になる。そういった意味においては、主体的・対話的な理科学習こそ「深い学び」を実現させるものとなっている。さらに、学習活動を振り返り、観察・実験で得られた情報を既有の知識や日常と関連させ、自分の考えとして整理し意味付けたり、それを自覚したり共有したりすることによって、理科を学ぶことの意義や有用感が得られることとなる。そのような理科学習によって、よりねらいにせまり、より高い評価基準を達成する「深い学び」が実現されるものと考え、副題を~深い学びを実現する主体的・対話的な理科学習~とした。

【研究の重点】

①「主体的な学び」
 自然の事物・現象から問題を見いだし、見通しを持って課題や仮説の設定や観察・実験を計画し、結果を分析・解釈し、全体を振り返って、新たな視点で自然事象を把握する学習活動の充実

②「対話的な学び」

課題や仮説の設定、観察・実験の処理や考察・推論の場面において、あらかじめ個人で考え、その後、意見交換したり、議論したりして、自分の考えをより妥当なものにする学習活動の充実

③「深い学び」

 課題解決の過程を通して、理科の見方・考え方を働かせて科学的思考が出来る場面および次の学習や日常生活と結びつける場面を設定し、理科を学ぶことの意義や有用感が得られる学習活動の充実


 

公開授業と4分科会では、これらの中から何を重点目標としたかを明確にし、小・中・高の児童・生徒の学びが、発達段階に沿った連続した「深い学び」につながるようにしたい。