2024年4月の記事一覧
静かな被災地では
93日目
金沢方面へ避難している生徒の
学習環境を確保するため
内灘高校の施設の一部を
お借りできることとなりました
内灘高校では
被災した能登地区の高校から生徒が集まり
それぞれの学校からの
オンライン授業を受けるほか
体育の授業や部活動にも
参加できます
内灘高校では
退職された校長先生方が
寄り添ってくださることとなり
安全面が確保されるほか
学習面でもご指導いただけ
心強い限りです
金沢駅からのスクールバスの運行や
公共交通機関の交通費負担の
準備も進められています
石川県教育委員会が全力をあげ
バックアップしてくださっています
新学期からは
町野や門前方面からのバスも
ルートを変えながらではありますが
運行できるとの話も聞いています
東日本大震災の際には
2ヶ月で20万人動員された
全国からのボランティアも
今回は7000人
「静かな被災地」と例えられるほど
遅々として進まぬ復興ではありますが
現場の人間は
できることから工夫を凝らし
着実に前へ進んでいます
オンライン授業に対応するための
新しいオンラインシステムを
県教委が準備してくださいました
今日は先生方への研修会です
これまでのオンラインでは
黒板の字が見えにくかったり
先生の声が聞きとりにくかったり
今回導入したのは
先生を自動追尾しながら
黒板のアップもしてくれたりする
最新のデバイスです
コロナのときは
全国的に一気にオンライン授業が
すすみましたが
今回も同じです
全国に先駆けた
いろんなチャレンジができそうで
逆にチャンスです!
また午後には
新入生オリエンテーションを行いました
みなさん親元を離れ
集団避難所での受験勉強を
乗り越えて入学してきた
逞しい
そして凛々しい顔をしていました
校長挨拶では
先日来て下さった Keisuke Honda の
サインボールを見せ
「辛い思いをした者は
きっと誰よりも強くなれる」
のことばをそのまま伝えました
そのときの Keisuke Honda の様子はこちら
杉原千畝 命のビザ
92日目
杉原 千畝は
第二次世界大戦中のリトアニアに赴任していた
日本領事館領事代理で
ナチスドイツに迫害されていた
ユダヤ人を救うため
大量のビザを発行したことで知られます
ユダヤ人が脱出するルートは
日本を経由して第三国に航るしかない状況下でしたが
日本政府はそれを認めていませんでした
助けを求めて押しかける大量のユダヤ人
千畝は自らのクビをかけて
独断で6,000通ものビザを書き続けたのでした
今日は発災からちょうど3ヶ月
そして新年度の始まりの日です
現時点でおよそ30名の生徒が
転学の手続きを提出しています
全校生徒のおよそ15%にあたります
住む場所を失い
転学を余儀なくされた生徒たち
教務主任の橋場将之先生を中心に
1月からずっとその書類作成に追われていました
今回は震災という特殊な状況下のもと
本来ならば認められにくい公立高校どうしの転学について
柔軟な対応を迫られています
高校を転学するには
(1)在籍校に転学希望を申し出る
(2)高校は教委に打診する
(3)教委は転学先の高校について定員やカリキュラムを調べ
条件がそろっていれば
(4)転学先高校と在籍校に話を進めるよう指示する
(5)当該校の校長同士で協議し
(6)在籍校は成績等の資料を転学先へ送付する
(7)転学先は成績やこれまでの履修科目を調べ
卒業の可能性があるか判断する
特に未履修にならないか慎重に調べ上げる
(8)転学試験を課す場合もある
(9)転学が認められたらさまざまな書類作成
(10)健康診断票や制服や体操服の手配なども
このような手順で一人ひとり丁寧に手続きをします
多くの生徒は4月1日付けで転学します
現在 そろそろ日をまたごうとしています
一人ひとりの書類に
最後のはんこを
たった今捺し終えました
「新しい学校でうまくやっていけるかな?」
「友達できるかな?」
「みんなに受け入れてもらえるかな?」
一人ひとりの顔を思い浮かべながら
一枚捺すごとにさみしさがこみ上げます
杉原千畝もきっと
ユダヤ人の避難先での幸せを祈りながら
一枚一枚ビザを書き続けたのだろうな
そんなことふと考えました