校長のつぶやき

伝えるスキル

「そんなことじゃダメだ。もっと頑張れ」「社会に出たら役に立たないぞ」「大人になってからだと間に合わないぞ」。学校で、先生が生徒にしばし発する言葉。私もよく使っていた。

しかし、何かモヤモヤ感が残ってしまう。こうした言葉で相手を変えられるのだろうか?

周りの先生からは「校長、熱意があれば伝わりますよ」とも言われた。でも、私は伝えるスキルにもこだわってみるべきだと思う。「何をどう伝えれば、行動を変えてもらえるか」。北陵高校の後半はテーマ研究発表やライフプラン発表など、生徒自身がプレゼンをする機会が格段に増える。相手にうまく伝えるスキルを、この時期、先生や生徒、皆で共有しておきたい。

 そこで見つけたのが『実践 行動変容のためのヘルスコミュニケーション』(奥原剛著 大修館書店)。保健医療従事者が患者さんや市民の方々に対して健康・保健指導を行う際に用いる本であるが、学校現場でもかなり役立つ。具体的には、人の行動を変容させる10原則があるという。

「お・く・す・り・し・め・じ・し・ち・う」(お薬、シメジのシチュウ) 

(お)驚きを与える (く)クイズを使う (す)数字を使う (り)ストーリーを使う (し)視覚に訴える (メ)メリ・デメで感情に訴える (じ)情報を絞る (し)シミュレーションしてもらう (ちゅ)中学生にも分かるようにする (う)受け手の視点で考える

 これから伝えようとする中身に、この10個の内どれくらいの要素が入っているか、吟味していこう。生身の人間と触れている現場感覚としては、「伝えた」という実績で満足するのでなく、相手の行動が少しでも変わったかどうかで評価したい。

 ということで、本校の、秋の景観の素晴らしさを(し)を使って、私も表してみる。