副題について

第53回石川県理科教育研究大会 輪島・鳳珠・珠洲大会

大会主題  「小・中・高をつなぐ理科教育のあり方」

副題  ~主体的・協働的に科学を学ぶ力を育む理科学習~

〔副題設定の理由〕
 平成27年10月,昨年に続き2名の日本人がノーベル賞を受賞した。医学生理学賞の大村さんは,年間数千という微生物を採取するという,地道な取組から成功を導きだした。その経験から失敗を恐れず,人のまねごとでない研究を進めることの大切さを強調している。 また,梶田さんは,先輩たちが始めたニュートリノ研究を通じて,いくつもの画期的な成果を上げながら,物質や宇宙のなりたちといった「根源的な謎」に一歩ずつ迫り続けている。
 こうした研究が,これからも日本で引き継がれるとともに,新たに生まれる研究の芽が目先の成果の有無だけで切り捨てられることのないような社会であることが求められている。そして,研究者の側についても,真摯な姿勢で研究テーマに取り組むことが,いかに大切であるか,今回,あらためて感じさせられた。
 平成27年度全国学力学習状況調査によると,平成24年度の全国調査と比較して,「理科の勉強が好きですか」「理科の勉強は大切だと思いますか」などほとんどの質問で,「当てはまる」と回答した割合が小学校・中学校ともに高くなっている。しかし,小学校と中学校を比較すると「理科の勉強が好きですか」に「当てはまる」と答えた小学校の割合55%に対して,中学校では29.8%とほぼ半減している。他の質問項目でも同様な傾向が見られ,中学校での理科離れが改めて浮き彫りとなった。また,「将来,理科や科学技術に関係する職業に就きたいか」の質問では,平成24年度と比べて「当てはまる」の回答が減少していることからも,「技術立国日本」を支えていく将来の人材育成の面が危惧される。
 クロス分析からは,「予想をもとに観察や実験の計画を立てている」,「自分の考えや考察をまわりの人に説明したり発表したりしている」,「結果をもとに考察している」,「考え方が間違っていないかを振り返って考えている」と回答している児童生徒の正答率が高い傾向が見られる。これらは,見通しをもち,必要な条件を整え,粘り強く取り組み,実践する力である『主体的な課題解決』と,様々な知識や技能,経験や願いや価値観をもつ他者と連携,協力『協働』して取り組むことが,活用力を高める授業づくりの証として捉えることができる。そこで,自ら課題を発見し,主体的・協働的に課題を解決する力の育成をめざしていくことが,重要な課題と考え上記の副題を設定した。


児童生徒が主体的・協働的に科学を学ぶために

①自然の事物・現象から,一人一人がまず気になること,違和感があること,よりよくしたい こと,実現したいことなどを問題として取り出し,解決すべき課題を明らかにする。(課題 発見)
②課題解決に向けて,予想や仮説を設定し,検証のための実験計画を立て観察・実験を行い, 粘り強く取り組めば解決に至ることができる見通しと,達成感や有用感を育む。(主体的な 課題解決)
③他者と連携,協力して計画立案や観察・実験を行い,根拠を明らかにして自らの考えを説明 したり議論したりするなど,対話的な学びを通して思考力・表現力を高める。(協働)

   公開授業と4分科会では,上記の3点から何を重点項目にしたかを明確にし,小・中・高等学校での体系的な学びを意識した実践につなげていきたい。