白山・野々市大会  副題とその設定理由

        第55回 石川県理科教育研究大会 白山・野々市大会
          大会主題「小・中・高をつなぐ理科教育のあり方」
       副題
 ~「主体的
・対話的で深い学び」を実現する理科学習~

〔副題設定の理由〕
   平成28年12月21日に中央教育審議会では、「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策について(答申)」が取りまとめられ、平成29年3月31日に小学校及び中学校の学習指導要領が告示された。また、その直前に公表となった2つの学力調査であるTIMSS2015とPISA2015、全国学力・学習状況調査等を受け、改訂の方向性が示された。TIMSSでは、1995年以降の調査において最も良好な結果となっていること、PISAの科学的リテラシーの平均得点は国際的に見ると高く、引き続き上位グループに位置していることなどの成果が見られた。質問紙調査などからは、理科を学ぶことに対する関心・意欲や意義・有用性に対する認識についても改善が見られる一方で、諸外国と比べると肯定的な回答の割合が低い状況にある。また、全国学力・学習状況調査の結果から、実験を計画すること、実験の結果を数値で表した表を分析して解釈し、規則性を見いだすことなどに課題が見られた。
   次期学習要領では、育成を目指す「資質•能力」を「知識及び技能」、「思考力、判断力、表現力等」、学びに向かう力、人間性等」の3つの柱で再整理し、「何ができるようになるか」を明確にしている。そして、そのためには、「主体的•対話的で深い学び」の視点からの学習過程の改善が求められている。
   主体的な学びとは、見通しをもって粘り強く取り組み、次につなげる学びである。自然の事物•現象に興味や関心をもち、問題を見いだし、見通しをもって課題や仮説の設定、観察•実験の計画を立案し課題解決し、自らの問題解決の過程を振り返って次に生かしていくことが大切である。
   対話的な学びとは、自分の考えを他者との対話によって広げ、深める学びである。課題の設定や検証方法の立案、観察•実験結果の処理、考察、推論する場面などで、個人の考えをもとに、互いに意見を交換したり、議論したりすることを通して、実証性•再現性•客観性のある科学的なものにすることが大切である。
   児童•生徒は、自然の事物•現象について、自分の見方•考え方を用いて、問題解決の過程を通して対話的•主体的に学ぶことにより、資質•能力を獲得するとともに、見方•考え方も成長する。さらに、獲得した資質•能力や成長した見方•考え方を、次の学習や日常生活などに活用することによって、「深い学び」を実感できる。
   私たちは、小学校から高校までの12年間のスパンで理科教育を捉え、「理科が好き」「理科の勉強は大切」という興味や関心を持続させ、理科や科学技術への意欲を高めていきたいと願っている。そして、新たに生まれる研究の芽を育て、「技術立国日本」を支える将来の人材育成に取り組んでいくことが重要であると考えている。そこで、本大会の副題を「『主体的・対話的で深い学び』を実現する理科学習」とし、以下の重点を設定した。

【研究の重点】

①課題の解決に向けて、見通しをもって仮説の設定や観察•実験の計画を立案するなどの学習場面を工夫する。
②課題解決の共通のゴールを明確にし、考えを比較したり、共有化したりしながら話し合う工夫をする。
③学びの過程を振り返りながら、解決策を考えたり、自分の学びを改善したりする学習方法を工夫する。
④これまでに獲得した知識を相互に関連づけ、課題解決を図る学習方法を工夫する。


  公開授業と4分科会では、これらの中から何を重点目標としたかを明確にし、小・中・高の児童・生徒の学びが、発達段階に沿った連続した深まりとしてつながるようにしたい。