第59回 石川県理科教育研究大会 羽咋大会
大会主題 「小・中・高をつなぐ理科教育のあり方」
副題 ~資質・能力を育成する探究の過程を重視した理科学習~
〔副題設定の理由〕
新型コロナウイルスの猛威により、世界中が、未曾有の大惨事に見舞われた。感染者や死者が増大する報道に、人々は大きな不安や悲しみで心を痛めることとなった。一方、新型コロナウイルスに立ち向かう、偉大な科学の力を目の当たりにする機会にもなった。ウイルスの遺伝子解析、前例を見ない速さで行われたワクチン開発、日々変化しながら増加するデータの解析と科学的な根拠をベースにした感染予防対策の構築など、まさに新型コロナウイルスと科学とのせめぎ合いの日々であった。社会を豊かにするのが科学の力であると同時に、危機に直面した社会を救うのも科学の力である、ということを次世代を担う子どもたちにしっかりと伝えていかなければならない。
さて、令和2年度から段階的に始まった、新学習指導要領は令和4年度の高等学校で、小・中・高における完全実施となる。資質・能力のとらえ方の整理や具体的な指導方法の見直し、全教科共通となった評価観点の考え方など、随所に改変された事項が見受けられるが、その中でも特に理科教育において重視すべきことは、「理科の見方・考え方」のとらえ方であり、「探究の過程」と称される学習過程をベースにした授業の流れであろう。また、その流れの中で育成されるべき資質・能力の整理も、理科を教える指導者にとって大変重要である。
児童生徒が「理科の見方・考え方」を発揮するためには、有効な場の設定が必要であり、そのためにも「探究の過程」を適切に理解し、高い意識を持ちながら、日々の授業に反映させていくことが大変重要である。そうした観点から、「探究の過程」を基盤とした単元構成や日々の授業づくりに関する研究実践を推進したいと考えた。
新学習指導要領の「探究の過程」の場面には、「課題の把握(発見)」、「課題の探究(追究)」、「課題の解決」が示されている。これらの3つの場面において、理科の「見方・考え方」を働かせながら、児童生徒に育成すべき「資質・能力」を整理して研究実践を重ねることで、目指する理科教育に迫りたいと考えている。
〔研究の重点〕
①課題の把握(発見)の場における資質・能力の整理
ア 探究しようとする態度
イ 情報を抽出・整理する力
ウ 関係性を見いだす力
エ 課題を設定する力
②課題の探究(追究)の場における資質・能力の整理
ア 仮説を設定する力
イ 観察・実験を計画・立案する力
ウ 観察・実験の計画を評価・選択・決定する力
エ 観察・実験を実行する力
オ 観察・実験の結果を処理する力
③課題の解決の場における資質・能力
ア 結果を分析・解釈する力の整理
イ 仮説の妥当性を検討・考察する力
ウ 振り返って推論したり、改善策を考えたりする力
エ 新たな知識やモデルを創造したり、次の課題を発見したりする力
オ 新たな知識を再構築したり、獲得したりする力
カ 学びを次の課題や日常生活等に活用しようとする態度
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