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畏敬の念を抱く
畏敬の念とは、「超越した存在・崇高な存在に対して、無条件に敬う気持ち」のことをいう。日常の生活ではそのような場面に出会うことはまずないだろう。ところが先日、まさにそんな場面に出会ってしまった。初代斜男と関係のある古寺が老朽化のため建て替えることになった。古寺の本堂にある仏像や仏具などすべてを仮の本堂に移す作業を手伝うことになったのである。そしてあろうことかその古寺のご本尊である400年以上も前に作られた阿弥陀如来像を初代斜男が運ぶことになったのだ。
ご本尊様を赤ん坊のように胸に抱えて一歩一歩慎重に足を進めた。もしものことがあったら(ただでさえ長い年月でもろくなっている)…。そんな恐怖心よりも頭の中を占めていたのは、「自分ごとき煩悩と邪念と欲に固まった人間が崇高なご本尊様を抱えていいものなのか」ということであった。まさしく畏敬の念を抱くとはこのことだ。このときほど自分の不浄な人生を呪ったことはなかった。ご本尊様にただひたすらお許しくださいと、ご宝号を唱えながらお運びした次第です。
誰からも後ろ指を指されず、正道を歩むことがいかに大切か。齢60を過ぎて遅きに失するが、精進していきたいと思う今日この頃です。
【初代斜男(ななお)でした】