癒しのお部屋

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時計のない生活



 教師にとって腕時計は大切な商売道具である。特に授業の終わりはなくてはならない。チャイムが鳴るまで秒刻みで時間を管理しなければならないからだ。時間の調整に失敗し、うまくいかなかった授業も数知れず……。そんな日は夢の中でうなされることもあった。1秒も狂わない電波時計が発売された時は、待ってましたとばかりすぐ買いに行ったことも。
 そこまで時間にこだわっていた初代斜男(ななお)が、今は時間を気にしなくなった。授業をしなくなったからだ。腕時計すらはめていないのだ! 時間を気にしない生活は、なんと気楽なことか。でも数十年、時間に縛られる生活が染み付いた体なので、すぐ何もはめていない腕を見てしまうところが悲しい……。
 人間、時間に縛られる生活が一部にでもあった方が、リズムがとれ、調子がいいのかもしれない。学校のチャイムが鳴る生活もまんざら悪いものでもないなぁと掛け時計を見ている初代斜男でした。

            【初代斜男(ななお)でした】