日誌
第65回 卒業証書授与式が挙行されました
令和6年3月1日(金)午前10時より、多くの来賓の方々や保護者の皆様に見守られながら、石川県立金沢商業高等学校「第65回 卒業証書授与式」が挙行されました。
卒業生は金商で過ごした3年間で心身ともに大きく成長した姿を見せてくれました。
在校生代表の2年生の中村 透和さんは送辞の中で卒業生へ「先輩方がつないできた伝統をより良いものにするために、私たちがしっかりとバ トンを受け取る」との決意を伝えた。
卒業生代表の藤岡 梁子さんは答辞で、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で3回とも違った形での開催となった「金商デパート」などの3年間の思い出や、一番感謝したいお父さん・お母さんへは「照れ臭くて 誤魔化してしまうけれど、本当に感謝しています」と伝えた。
最後に皆で校歌斉唱し、卒業生たちは未来へ向けて飛び立って行きました。
色々と難しい時期を乗り越えてくれた卒業生ですが、これから始まるそれぞれの新しいステージで、活躍されることを楽しみにしています。
卒業おめでとうございます (*'∇')/゚・:*【祝】*:・゚\('∇'*)
卒業証書授与 式 辞
送 辞 答 辞
【卒業式 式辞】
弥生三月が間近となった今週火曜日、思いがけない雪に見舞われました。まさに「名残の雪」と呼ぶにふさわしい雪でしたが、今は、一雨ごとに、春の息吹を確実に感じとることができます。厳しい冬がどれだけ長く続こうとも、春は必ずやってきます。
本日ここに、PTA会長 青木様、同窓会会長 吉田様をはじめ、ご来賓のかたがたのご臨席、また、たくさんの保護者の皆さまがたのご列席を賜り、第65回卒業証書授与式をこのように盛大に挙行できますことは、本校職員一同にとって大きな喜びとするところです。
保護者の皆さま、本日は誠におめでとうございます。お子様が、高校卒業という大きな節目を迎えられましたこと、心よりお祝い申し上げます。ときに悩み、揺れ動く思春期のお子様にそっと寄り添い、あるときには叱咤激励し、支え続けてくださった三年間に敬意を表します。またその間、本校の教育活動に対し多くのご理解とご協力を頂戴いたしました。重ねて御礼申し上げます。
ただいま卒業証書を授与いたしました269名の皆さん、おめでとうございます。本校の教育課程を修了し、未来へ向かって新たな一歩を踏み出す皆さんを、心から祝福いたします。
さて数年前、我が国では次のような言説がマスメディアほかさまざまな場で語られていました。ご記憶にあるかたもいらっしゃると思います。「2011年に小学校に入学した児童が大人になる頃には、今ある仕事の三分の二がなくなっている(AIにとって代わられている)」というものです。この言説に、不安を掻き立てられた人も少なくありませんでした。
しかしこれは誤って訳された表現です。この言葉は、もともとはアメリカ合衆国・デューク大学の研究者が、インタビューに答えて語った言葉の引用で、原文に忠実に訳すとこうなります。「アメリカ合衆国で、2011年に小学校に入学した児童の65%は、大学卒業時、今はまだ存在していない職に就くだろう」
いかがでしょうか?「今はまだ存在していない職に就く」、つまりAIの発達によって、新たな仕事が誕生すると言っているのです。もちろん、AIの発達によってなくなる仕事もあるでしょう。でも考えてみてください。例えば百年前、誰が「コンピュータープログラマー」という職業の誕生を予想したでしょうか。百年前、日本国内の石炭鉱山が採掘の歴史に幕を下ろす日が来ると、誰が予想したでしょうか。
保護者の皆さま、「全体の65%の人間が、今はまだ存在していない職に就く」ということは、親世代の経験を助言として活かすことができない世の中でお子さんたちは生きていく、ということなのです。生徒の皆さん、親御さんの世代よりもはるかに将来の予測が難しい世の中を、皆さんは生きていかねばなりません。
現在、ちまたには情報があふれています。いたずらに不安を煽り立てる情報に惑わされることなく、自分に都合のよい情報だけを受け止めるのではなく、ものごとの本質を見抜く力が必要となります。
AIの発達を必要以上に恐れることはない、と私は思っています。どれだけAIを導入している企業であっても、核となる部分は人が携わります。人でなければだめなのだそうです。精密機器工業の分野では、機械が見抜けないわずかな違いを、人の手、人の目が見抜きます。
何よりも、人がAIに勝っている部分は、自ら考えることができるという点です。たとえ予測不能の事態に陥ったとしても、初めて体験する場面であったとしても、過去に学んできたことを参考にしながらそのときどきの最適解を導くことは、人にしかできません。ですから、どのような困難な状況にあっても、「考える」ことを放棄しないでください。なかには「考える」ことそのものをAIに任せてしまえばよいという極論もありますが、「自ら考える」ことをやめたとき、人は人としての存在意義を失うことになるのではないでしょうか。どうか、本校での三年間で身に付けたスキルやものの考え方に自信をもって、AIに使われるのではなく、AIを使いこなしてよりよい職業生活に活かす、そんな生き方をしてください。
今年1月1日に発生した能登半島地震は、自然の力を、我々人間の想像を絶することを起こしうるものが自然なのだということを否応なく再認識させられるできごとでした。被災された皆さまに、この場をお借りして、謹んでお見舞いを申し上げます。
本校は地震発生の一時間後から、担任の先生をとおしてグーグルクラスルームで生徒の皆さんの安否確認を開始しました。親御さんの故郷である能登地区を訪問中であった生徒も少なくありませんでした。安否確認に添えられた皆さんからのひとことひとことには、その場に居合わせた者の不安が正直に綴られており、今、読み返しても胸がふさがれる思いがします。
そんななかでも、3年生からの返信では、メッセージの最後に「先生もお気をつけて」といった、気遣うひとことを添えてくれる人がいました。自分が大変なときに他者を思いやる言葉が出てくるとは、「さすが3年生」と、その成長ぶりに心が熱くなりました。
どうか皆さん、本校の特色ある授業を通して培ってきた素養や地域とのつながりをこれからも大切にしてください。能登半島地震後の復興には、まさに皆さんの若い力や柔軟な発想力が求められることでしょう。皆さんのあとに続く後輩たちが、皆さんを人生の先達と慕い、目標とする存在となるべく、今後も力を尽くしてご活躍されることを祈念し、式辞といたします。
令和6年3月1日
石川県立金沢商業高等学校長 山崎しのぶ
~高校生が運営する株式会社~
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