2025年12月の記事一覧
初冬の伊予路へ
地震から 705 日目
今年の夏休みに
韓国に視察旅行に行きました
バスの中で偶然隣合わせになったのは
愛媛県立丹原高等学校の
合田 明典 校長先生でした
防災教育に力を入れるなど
たいへんパワフルな校長先生でした
合田先生のお招きを受けて
本日同校で講演会を行います
今日は『防災デー』ということで
その一環ということになります
秋の京都駅で乗り換えです
紅葉がちょうど見ごろを迎えているようです
駅員さんお手製の案内板
『街プロ』でも
やってみるといいですね
京都では
中国人観光客が減って
日本人観光客が増えているとか
ホテル代なんかもグッと下がってお得に
予約を取り直す方も
いらっしゃるようです
丹原高校の『防災デー』
最先端の避難訓練を見せていただきました
予告なしの避難訓練です
掃除中に発災の設定です
生徒たちはすかさず
「落ちてこない倒れてこない」
場所を見つけて避難姿勢です
揺れが収まると
生徒たちは駆け足でグラウンドへ
緊張感を持って取り組んでいます
生徒がふたり負傷した設定です
先生方が捜索に向かいます
ひとりは骨折で動けなかったようです
安全な場所までおんぶで運びました
もうひとりは心肺停止です
タンカで運んできました
ここは問題提起です
心肺停止であるなら
わざわざみんなのいるとこまで
連れてこないで
安全な場所で胸骨圧迫をすべきでは?
小学生も一緒に参加です
防災訓練は単独でなく
地域で行うべきものですね
勉強になりました
降下訓練も行いました
4階の高さから緩衝機を用いて
降下して避難する練習です
私も体験してみました
ぜひ本校でも取り入れるべきです
煙避難訓練です
スモークマシンで煙を充満させた部屋を
潜って避難します
ハンカチの大切さを実感しました
SONPO さんのご協力による
『学防ッチャ(まなぼっちゃ)』
防災の知識を楽しみながら学べる
ボッチャです
防災リュックを作るワークショップ
防災バッグに必要なものを学ぶことのできる
パズルゲームです
私も講演会をさせていただきました
南海トラフは必ずやってくる
そう言われ続けて
暗い未来を刷り込まれるだけでは
高校生がかわいそうです
地震の最初の15分間に命さえ守れば
つらいことの後には
人は大きく成長できるよ
予想もしなかった新しい未来が待ってるよ
そのことを
輪島高校生が頑張っている姿を紹介することで
伝えてきました
金沢大学特別講義
地震から 704 日
金沢大学特別講義
「石川県の学校安全」で
お話をさせていただきました
金沢大学では
学校安全の中核を担う教員を育成するため
地理的環境・過疎化・被災など
石川県の地域特性を踏まえた
学校安全の取り組みについて
理解を深めるために
本講義を開講しています
今日明日と集中講義期間となっていて
通常講義はお休みです
キャンパスはガランとしていましたが
そんな中この講義を選択した学生さんは
熱心に講義を聴きに来てくださいました
さすが休みの日に進んで受講されるだけあって
みなさん本当に熱心に耳を傾けて
こちらからの問いかけについては
積極的に答えてくださいました
意識高く頼もしい限りでした
午前中は
発災後珠洲市の中学校で
陣頭指揮をとってこられた
現奥能登教育事務所長の
山岸 昭彦 先生の講義があり
拝聴させていただきました
珠洲市は今回の地震以前から
群発地震に見舞われていたので
防災教育そして地震への備えを
計画的に実践されていました
我々の認識の甘さを痛感しました
講義を受けられた方の中に
大切なご家族を亡くした方も
いらっしゃいました
言葉を一つひとつ選んで話したつもりです
教員採用試験に合格された方も
いらっしゃいました
被災地に赴任となる可能性もありますよ
とお伝えしました
被災地での教師としての実務経験は
今後の長い教員人生にとって
かけがえのないものを学ぶ機会になりますよとも
お伝えしました
実際震災わずか3ヶ月後
傷だらけで
住むところもない本校に
大学出たてのふたりの先生が赴任しました
そのうちひとりは
こんなとこ住めないと
金沢から毎日通い続けました
そんな厳しい環境の中
ふたりは真剣に生徒に向き合いました
どんなにつらい環境に置かれようと
それでも前を向いて歩き出そうとしている
生徒たちに
自分にももっとできることがある!
ふたりはそう思うようになってきました
今年はふたりとも学級担任をしています
明日は丸一日
「子どものための心理的応急処置」と題して
セーブ・ザ・チルドレンさんによる
実習が行われるそうです
がんばってください
高校生ガイドツアー
地震から 703 日目
石川県では
全国から修学旅行に訪れる学校向けに
高校生ガイドの取り組みをしています
本校もそのガイド校のひとつです
被災地ではありますが
今しかここしか体験できないコースもあります
今日はそのリハーサルということで
輪島市内の全中学校の生徒に来てもらい
お客さん役をしてもらう予定でした
ところが北陸特有の冬の気候となり
となると『鰤起こし』つまり
冬の雷もありうるなということで
急きょ予定を変更して
屋内で実施することとしました
せっかく来てもらうのだから
すこしでも楽しんでもらえるように
先生方は知恵を絞ります
建ったばかりの仮設の校舎に
高校生よりも一足早く入ってもらい
被災地ライフを楽しんでもらうことにしました
ところがここで問題発生
Wi-Fiがつながりません
生徒と先生は知恵を絞ります
急きょアナログの資料を準備して
紙芝居形式で何とかつなぐことにしました
ここでさらに問題発生
街を案内しながら話す原稿だったので
座ったままだと10分で終わってしまいました
先生方は知恵を絞ります
出たがり校長にに喋らせとけ
良いアイディアです
急遽音楽室に全員を集めることにしました
先生方がドタバタ準備をしている間
生徒たちが勝手に喋り始め
場を盛り上げてつないでくれていました
なんて気の利く生徒たちでしょう
想定外の出来事が次々と起こる中
生徒たちも先生方も
自分たちで最善を考え
自分たちで行動する
そんな姿が着実に身に付いています
震災がくれたプレゼントです
と言っては不謹慎でしょうか
さて、東陽中学校と門前中学校のみなさんは
道路事情が悪く
震災後輪島市街に入ることも
滅多になかったということで
バスで輪島塗会館とキリコ会館を案内しました
先生がそっちについて行ったので
残された生徒たちは
「おい!片付けやっちゃおうぜ」
自主的に使った部屋の片付けと
掃除をしてくれました
入学した頃は
やんちゃでどうなることやらと
心配した子たちではあったのですが
本当に成長しました
頼もしい限りです
県の産業について考える
地震から702 日目
「石川県産業教育振興会」
に参加しました
産業界 教育界 行政関係者が一堂に介して
県の産業教育の振興充実についての
諸課題の解決を図ることが目的です
ホクショー株式会社代表取締役社長
北村 宜大 氏による講演を
拝聴させていただきました
ホクショーさんでは
コロナ禍の際には
テレワーク手当の支給
ガソリン価格高騰の際には
通勤手当の2割増など
会社の業績アップと
従業員のWell-biing を
同時に実現されています
昭和の時代は
「電話がならない会社は危ない」
「社員が休みがちな会社は危ない」
などと言われたものですが
現在では必ずしも当てはまりません
社員のWell-being を実現しながら
業績を上げるには
① 営業の行動量を上げる
② 営業の「勝ち率」を上げる
③ 受注単価を上げる
だそうです
3つに共通することは
他者との差別化を図ることです
やってはいけないことは
価格競争に陥ること
学校現場にも応用できそうです
意見交換会がありました
企業側からの質問に対し
突然指名されたある校長先生は
「すみません もう一回言ってください」
聞き逃したようです
私が指名されても
きっと同じようになったと思います
ドキドキしました
「高校ではどのような指導されていますか?」
という質問だったのですが
その先生は
「人の話をちゃんと聞けと指導しています」
センスある回答ぶりに心で拍手を送りました
意見交換会でわかったこと
企業側が懸念していることは
現在学校教育で比重が大きくなっている探究活動
それにより基礎学力の指導が疎かになっていないか
ということのようです
どうも探究活動と基礎学力を
2項対立で捉えているという認識を変えるための
学校側の努力が必要なようです
専門用語では
企業側の捉えている基礎学力を「認知能力」
探究活動で身に付く能力を「非認知能力」といいます
ここでいう『認知』とは
『認知症』の『認知』とは意味合いが違います
『認知能力』とは
共通の尺度で点数化して評価できる能力のこと
『見える学力』ともいいます
例えば『漢字能力』のような
『非認知能力』は
それができない能力
『見えない学力』ともいいます
例えば『積極性』のような
「非認知能力が高ければそれでいいのか!」
「積極性があれば漢字書けなくていいのか!」
そんな極端な論法はやめてください
『非認知能力』or 『認知能力』
ではなく
『非認知能力』for『認知能力』
です
『非認知能力』を高めれば
『認知能力』が高まるのです
ヒトがコトに臨むうえで
必要な力を身につけるのに必要な力
それが『非認知能力』です
もっと簡単に言えば
『認知能力』とは国数英理社の力
『非認知能力』とはざっと上げると
自主性・向上心・協調性・共感性
創造性・コミュニケーション能力
などなど
おわかりになると思いますが
『非認知能力』とは全く新しい概念ではなく
これまでも日本の学校教育で重視されていたこと
すなわち「心の教育」なのです
「心の教育」の育成には
例えば部活動が大きな役割を果たしています
部活動においては
競技力を高めるために
従来は競技に特化した訓練を
スパルタ式で行っていました
しかしながら今はそんなやり方は時代遅れ
フィジカルトレーニングや
メンタルトレーニング
主体性の育成やチームビルディングなどを
科学的に体現できるチームが強いです
それを
学習にも応用しましょうというのが
探究学習の目指すところなのです
「単語練習」や「計算練習」を
意味もわからず機械的にこなしても
それで身に付く力は一時的なもので
将来的に生きていく力とは
程遠いものです
「学びに向かう力」を
高める必要があるのです
はじけろ創造彩れ未来 いざ百万石の地へ
地震から701日目
令和9年夏
高校生による芸術文化の祭典
「全国高等学校総合文化祭」が
石川県で開催されます
石川県での開催は47年ぶり2回目
ちょうど全国を一回りしてきました
今日のタイトルはそのスローガンです
演劇 合唱 吹奏楽 マーチングバンド
バトントワリング 美術 書道 放送など
22の部門の展示や発表が
石川県を舞台に繰りひろげられます
とはいえ
能登の文化的施設は壊滅的被害を受けていますので
羽咋以南での開催になるのですが
現在それに向かって
各校で分担して準備を進めています
輪島高校は『郷土芸能』を担当します
全国各地に伝わる
祭囃子や神楽 民謡 踊りなどの『伝承芸能』と
伝承曲や創作曲を含む『和太鼓』の
ふたつの部門によるコンクールです
今日は運営のご協力をお願いしに
白山市にある浅野太鼓楽器店様を
訪問しました
浅野太鼓様は
江戸時代初期の創業以来
400年以上にわたり
和太鼓づくりの技を継承なさっていて
全国の太鼓の制作を引き受けていらっしゃいます
原木の選定からクリ抜き 塗り 皮はりまで
全て自社で行われ
職人さんによる
一つひとつ丁寧な手作業での生産を
続けていらっしゃいます
こちらは6尺もある大太鼓
直径2m 以上もあるアフリカの大木を
くり抜いて作られたものです
現在ワシントン条約により
日本では入手不可能な木です
ワシントン条約には
学術目的を除き国際間の取引が一切禁止される
『附属書I』と
締約国が『留保』できる
『附属書II』があります
『附属書Ⅱ』に属するこの大木に対して
中国は『留保』の姿勢をとっているので
中国に流れて家具に変えられているそうです
日本も過去に
「ヨシキリザメ」の規制に対して
『留保』の姿勢をとりました
フカヒレとして食されるほか
コンドロイチンも豊富に含まれているからです
皮は肉牛のもの
現在
牛は若いうちに食肉に変えられるので
ここまでの大きな皮は
手に入らないのだそうです
部位で言うと
腰のあたりの皮が
最も厚くて丈夫です
それはライオンなどに襲われるときは
いつも背後からなので
その辺りの皮が厚く丈夫に進化したからです
写真後方に写っているのは
『鉦鼓』でしょうか?
神楽に使われるものかなと
詳しくはないので
よくわかりませんが
とにかく
いろんな太鼓があって興味は尽きません
ちなみに現在日本で一番大きな太鼓は
飛騨高山の『祭りの森』にある
9尺のもので
重さにして4.5t
実はこちらも『浅野太鼓』さんが
こしらえたものです