校長室ブログ

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イベント 7月20日の記事より

 7月20日(木)、1学期が終了しました。皆さんに大きな事故なくこの日を迎えられたことをまずは喜びたいと思います。

 今朝、新聞に目を通していたとき、「健常者優位の読書文化に一石」という記事が目に飛び込んできました。昨夜からニュースでも見ていた市川沙央さんの芥川賞受賞に関する記事でした。

 「重度障害者の受賞者も作品もあまりなかった。今回、初だと書かれるんでしょうが、どうしてそれが2023年にもなって初めてなのか、みんなに考えてもらいたい。」

 市川さんが昨日のインタビューの最後に話したことです。気管に開けた穴を手でふさぎながら、一言一言力を込めて話していました。この言葉は私の中に重く沈んでいきました。実を言うと、今日の終業式の挨拶で触れようか、ギリギリまで悩んでいたほどです。

 受賞作「ハンチバック」(=背骨が曲がった人という意味)の主人公は、市川さんと同じ難病を患う重度障害者です。そのために、読書姿勢を保つこと、ページをめくること、本屋に自由に買い求めに行くことができません。紙の本が読める健常者を標準にした読書文化の特権性の存在とその不条理を訴えます。

 市川さんがこのことを書いてくれていなければ、私は、さらに数年間このことに気づかないまま生きていたと思います。バリアフリーはもう耳慣れた日常語になりましたが、市川さんが「読書バリアフリー」が世の中に広まっていくことを切望してこの本を書いたように、他にもまだまだある「〇〇バリアフリー」に気づいて推し進めていかなければならないのだと痛感しました。6月にいしかわ特支の先生方に教えていただいたことと通ずるものがありました。

 この夏休み、読みたい、そして考えたい本が1冊増えました。40日間は本当にあっという間だと思います。生徒の皆さんも色々なものに触れて考えて、心豊かな人になってくださいね。

 

鉛筆 期末試験終了 ここからどうする?

 1学期の期末試験が終わりました。皆さん、最善を尽くすことはできましたか?

 試験が終わった後の開放感は本当に気持ちの良いものです。ここ数日間、テレビもゲームも我慢して寝る時間も惜しんで頑張ってきた人には尚更です。しかもこの後に待っているのは約40日間の夏休みです。どうしたって心が浮き立ってきてしまいますよね。

 さあ、皆さんならここからどうしますか?普通の人は、まず今日ぐらいは羽目を外して、普段ならする勉強(予習かな?)も今日だけはお休みにして、テストのために我慢していたことを思い切りするでしょう。では普通ではない人はどうするでしょう?恐らくルーティンということを大切に考えているその人は、今日みたいな日でも、ほんの少し机に向かって勉強をするでしょう。もしかしたら、この後の夏休みも含めた勉強の計画を立てる日にするかもしれません。人が休んでいるときにも歩みを止めることなく少しだけでも進んでおく・・・昔、そんな童話を読みましたよね?

 人がしないことをする、人よりも少し多くする、そんなことの積み重ねが、自分の中の「自信」をつくっていきます。「自信」とは、ここぞという時に自分の底力を信じることが出来る気持ちです。

 期末試験終了・・・さぁ、皆さんはここからどうする? 

 

  

  夏の花々が登校を迎えてくれています。向日葵も次々咲き始めています。明るく元気な気持ちをもらえますね。

グループ 「特別だけど特別じゃない」

 6月26日(月)の4限目、いしかわ特別支援学校の生徒さん達がスクールバスに乗って本校にやってきました。

 3年生のニュースポーツの授業で、特支の皆さんと「キンボール」というスポーツについて学び、楽しんでいるからです。1986年にカナダの体育教師が考案したこのスポーツは、直径122cmのボールを使用し、その名前の由来の通り「運動感覚」をけっこう試される面白いスポーツです。

 ピンク、グレー、ブラックの3チーム(1チーム4人 交代要員は各チーム8人まで)で競い、3人が支え持つ大玉を打つヒッターは必ず大きな声で「オムニキン!〇〇〇!!」と相手チームのいずれかの色を言います。言われたチームは大玉が床に落ちる前にしっかりホールドしなくてはいけないのですが、面白いのは、しっかりホールドしても点数は入らず、ホールドが失敗したときに自チーム以外の2チームに点数が入るというのです。

 細かいルールは他にもいろいろありますが、この授業では、いしかわ特支vs向陽ではなく、両校が入り交じったチームで作戦を一緒に考えながら楽しんでいました。「オムニキン」の「オムニ」は英語のomnipresentから来ていて「全ての」という意味らしいのですが、全ての生徒が笑顔で大玉を追いかけて楽しんでいました

 

 6月27日(火)の6限目には、いしかわ特別支援学校の地域支援室から4人の先生方が来て下さり、「障害者理解のための特別授業」をして下さいました。

 4名の先生方はこの日のために何度も向陽を訪れて下さっていて、授業や事前アンケートを見ながら、向陽生の思いを汲みながらお話しして下さいました。あいにく異常に暑い日となり、何台もの扇風機と飲み物を持ち込み、前後左右をかなり広くとりながらお話しを聞きました。湿度も高かったため、お話ししてくれていた先生方も、つらかったろうなと思いました。

 でも講演後、いしかわ特支の先生方は、皆さんが顔を上げてうなずいたり首をかしげたりと、反応しながらしっかり聞いてくれて、とても嬉しかったと話して下さいました。私も多くの皆さんが頑張って聞いてくれている姿を見ながら、そして最後の3人の感想にも感動しながら、とても暑かったのにさわやかな気持ちになっていました。

 「特別だけど特別じゃない」・・・いしかわ特支の川井先生、金井先生のお話を聞きながら、私の頭の中にはずっとそんな言葉がぐるぐるしていました。障害という人と違うところがあり、見え方や聞こえ方、感じ方やとらえ方が違う。違うが故にしんどい、苦しい(或いはそうなるであろうと想定される)ところには、特別な支援や配慮が必要です。そうした先回りの支援や配慮は、障害を特別なものでなくしていきます(金井先生は、軽くしたり見えにくくしたり・すると仰ってましたよね)。

 障害が特別なものでは、なくなると「あなたも私も同じだね」となって、一緒に笑うことが多くなります。そうすると、私がしてあげられることよりも、相手からもらっているものの方が実は多いのかもしれないことに気づきます。そして「してあげたい」は「したい」に変わっていきます。

 おそらく、ニュースポーツの3年生たちは、何度も交流してきた中でそんなことを既に感じているように思います。先輩達の思いと行動を1・2年生もしっかりと受け継いでいって下さいね。

 

        

         

 

 

未来をつくるということ

 先週末はアーチェリー部と女子バドミントン部の北信越大会に加えて、森本駅前では学校合同コンサートが行われ、我が校の軽音学部がトップバッターで出演しました。

 北信越大会という大舞台で自己記録を更新したきらりさんや、地域の方々の前で堂々とさわやかな歌声と息の合った演奏を届けたきらりさんがいた一方で、準優勝という苦杯を舐めることになった涙きらりさんたちもいました。

 北信越大会の2位ですから立派なタイトルなのですが、優勝を目前にしての2位には、そこにたどり着いた者にしかわからない悔しさ、無念さがあったことと思います。アーチェリー部も女子バドミントン部も8月のインターハイに向けて、また頑張ってほしいと思います。

 さて、今週はどの学年も「人生を考える・自分と向き合う」週ですね。3年生の皆さんは就職模擬面接や進学オリエンテーションが、2年生の皆さんは2日間のインターンシップ、そして1年生の皆さんも学校訪問やジョブカフェでのお勉強です。人からのアドバイスやお話、かけてもらえる声に耳はもちろん、気持ちも傾けて、自分をどう磨いていこうかしっかりと考えてくださいね。

 体験を通して考えた一つ一つが、あなたの未来を定めていきます。喜ばしい未来にたどり着くのは、今日の自分です。「今」を大切に、一歩一歩着実に努力を積み重ねていきましょう。


 

学校 松のお引っ越しです

 校門から入ってきたときのこの風景・・・。当たり前のように毎日通り過ぎてきましたが、本日の放課後から植木のお引っ越し作業が始まります。立派な松が7本と桜(ソメイヨシノ)に梅の木。ツツジもあって、こうしてみるとなかなか素敵な築山(つきやま)でした。

 昔、私が担任をしていた頃はここでよく卒業アルバムに載せる3年生の集合写真を撮っていました。一昨日、急きょ写真屋さんに来ていただいて、今年の3年生も最後の築山をバックに写真を撮りました。新しい学校のお引っ越しに向けて、我々もなじんだ風景の一つ一つとさよならしていくことになるのですね。

 ところで、向陽高校には松の木が大変多く、学校にありがちな桜の木は数本しかありません。なんとなく雄々しい感じがする学校です。松の花言葉を調べてみました。縁起の良い樹木ですからポジティブな意味ばかりと思ったのですが、驚くことに「同情」「哀れみ」といった意味がありました。これはどうも西洋の伝承に基づく意味合いのようです。日本ではやはり、「不老長寿」「永遠の若さ」に始まり、「勇敢」「向上心」というものまであって、嬉しくなりました。

 向上心をもって勇敢に突き進む向陽生を応援してくれている木だったのです。7本の松はそれぞれに色々な場所に移し替えられることになりますが、これまで通り、私たちを見守ってくれることでしょうね。

 

生徒玄関から                         自転車小屋側から

 

 

                     

 

 

 

 

 

 

 

桜の木です                     梅の木(と思われる)木には実もなって・・・

    

  

    この通りの姿の築山は見られないかもしれませんが、

    ちょっとだけ足を止めて、お引っ越しがうまくいく

    ように応援してあげて下さいね。