2025年7月の記事一覧

「数学」と「地歴」のメガネ

地震から 578 日目

豪雨から 314 日目

 

校長研修に来ています

文部科学省の合田哲雄局長と

石川県の浅野大介副知事の対談は

見応えのあるものでした

 

GIGAスクール構想を構築されたおふたりの

次世代の教育への展望を聴かせていただきました

 

副知事からは

現在このコラムでも連載中の

教科横断型学習へのヒントもいただきました

国語 × 数学 → 証明活動を通した文章表現

社会 × 数学 → 社会的事象の統計処理と結果考察

化学 × 公共 → 公害と環境

倫理 × 生物 → 生命倫理

化学 × 家庭 → 調理における化学変化

数学 × 体育 → 動作解析とバイオメカニクス

なるほどアイデア満載です

 

午後からは

学校リスクマネジメント推進機構様からの

保護者対応のセミナーです

 

実際に最近あったケースです

ただ石川県のケースではありません

 

校庭で大縄跳びの練習をしていた小学生

ひとりの子がフード付きコートを着たまま跳ぼうと…

その時先生が危ないので脱ぐように

その子は従いました

 

ところが放課後教育委員会から先生に電話

寒いのにコートを脱がされたと

保護者からクレームがあったから

気をつけるようにと一方的に告げられます

 

フードが縄に引っかかった時の危険性は

少し想像力をはたらかせばわかるのに

保護者はそこまで考えが至らず

自分の子が叱られ寒い思いをさせられたことしか

頭になかったようです

 

保護者の言い分をそのまま受け止め

その行為の危険性を伝えようともせず

先生の側に立ってくれなかった

教育委員会もどうかと思いますが 

 

最近増えてきたケースです

①子供の言うことが全て正しいと思い込んでいる親

②自分のことしか考えない自分勝手な親

③子供どうしでは解決しているのに納得しない親

④ここぞとばかりに威厳を振りかざす親権のない父親

⑤警察弁護士マスコミに連絡すると脅す親

⑥1時間も2時間も電話で延々話し続ける親

 

本校でも震災前はちょこちょこありました

以下はイメージです

「もしもし」

「はい輪島高校です」

「2年3組の担任誰や!」

(電話の向こうで「私2組」)

「おうそうか2年2組の担任誰や!」

「平野ですが…」

「その平田出せ!」

「平野はもう帰宅しました」

「ふざけるな!今何時やと思とる!」

「8時で勤務時間は終わっています」

「お前んとこの平井は勤務時間終わったら帰るんか!」

「平野ですが普通そうなっています」

「ふざけるなファミマ見習え!」

「よろしければ代わりにお話し伺いますが」

「お前誰や?」

「教頭の髙橋です」

「高井か!うちの娘部活辞める言うとる!どうしてくれる!」

「髙橋ですが詳しくお話しいただけますか?」

「クラス担任の朝の挨拶の声デカすぎる!わかるか高山!」

「髙橋ですがそれと部活どういった関係が?」

「そんなもんどうでもいい!俺は会社でふたりも部下を使とる!」

「…」

「最近の若いもんはホント礼儀を知らん!そう思わんか高田!」

もう完全に酔っ払っています

 

こんな不毛なやりとりが時折

繰り広げられるのでした

 

ところが震災の後このような理不尽な電話が

パタっとなくなったのです

 

学校も大変だからと

おそらく言いたいことを

我慢してくださっているのでは?と拝察します

 

ただ大切なお子さまに関することですので

不安なことや改善してほしいことは

遠慮せずおっしゃってください

 

ただし素面(シラフ)で

できれば勤務時間内でお願いします

 

 


【今日のDeep Purple】

教科を超えた授業実践を紹介し

深い教科横断型授業を作り出すコーナー

野々市明倫高校さんの事例紹介5回目は

『数学』と『地歴』のメガネ

「TM 15」です

 

日本はPISAの数学リテラシーが世界第五位

数学が得意なお国柄です

これはなぜでしょう?

 

江戸時代の数学(和算)は日本独自の数学で

世界最高レベルでした

その中で関孝和は

筆算を使って円周率を少数第11位まで計算した天才でした

 

また縄文時代の人々は

建物を作るために縄文尺を使って

正確に直角を割り出していたそうです

なんとこの時代にすでに

3:4:5の三角形が直角三角形になることを

すでに知っていたようです

 

「歴史」を振り返ることで

「数学」の価値や大切さに気づくことのできる

素晴らしい教材です

緊急速報版

カムチャッカで地震です

遅ればせながら今ニュースで知りました

全国のみなさんにお伝えしたいことがあります

 

 

 

 

 

 

こちらは東日本大震災で

津波の被害を受けた門脇小学校震災遺構です

違和感ありませんか?

津波にやられているのに

机が整然と並んでいるのです

しかも天板はありません

つまり津波でやられているのに

燃えているのです

 

何が起こったのか?

これです

 

 

 

 

 

 

火事で燃えている家が

そのまま流されて来て

学校に火がついたのです

 

高い建物に逃げるのは

必ずしも安全ではありません

時間がない時の最後の手段です

基本は山です

 

この時も2階に火がついて

3階に避難していた小学生が

取り残されたそうです

 

先生方が力を合わせて

長机などを使って

隣の建物へ伝って逃げる経路をつくって

児童を逃したそうです 

「生物」と「数学」のメガネ

地震から 577 日目

豪雨から 313 日目

 

名城大学附属高等学校より

岡 充彦 教頭先生

小堀 淳子 先生はじめ

アントレプレナーの生徒さんたちが

本校を訪れてくださいました

 

本校の3年生

中村輝くんがボランティアでやっている観光ガイド

そのお客様として

訪れてくださいました

中村輝くんをそのフォルムから

私は勝手に『輝輝坊主』と呼んでいます

 

 


午後からは

『災害時学校支援チームおかやま』

のみなさんがお越しになりました

昨日から七尾市の方で防災の講演会をなさり

本日本校まで足を運んでくださいました

 

 

 

 

 

 

昨日兵庫の『EARTH』さんと

お話をさせていただき

本日は『チーム岡山』さん

日本の災害支援を牽引するふたつの団体さんに

続いてお逢いすることができました

石川県でも設立に向けて動いています

先輩方の仲間入りをさせていただき

今回の経験を

次の災害のために役立てていきたい

と思います

 

 

 

 

 

 

きびだんごをもらったので

家来としてはたらきます!

 

 


【今日のDeep Purple】

教科を超えた授業実践を紹介し

深い教科横断型授業を作り出すコーナー

野々市明倫高校さんの事例紹介4回目は

『生物』と『数学』のメガネ

「世にも奇妙な自然界に潜む数学」です

 

まずはフィボナッチ数列を学んだそうです

 

本コラムでも以前に紹介しました

1,2,3,5,8,13,21,34,55,89…

前のふたつを足したものが次の数

という数列です

 

考えたのはイタリアの数学者 レオナルド・ピサノ

父の名前がボナッチで

filius Bonacci(ボナッチの息子)

が短縮されてフィボナッチと呼ばれるように

彼は「兎の問題」を出題しました

次のとおりです

「1つがいの兎は

 生後2か月後から

 毎月1つがいの兎を産み

 兎が死ぬことはないものとする

 この場合に

 産まれたばかりの1つがいの兎は

 1年後に何つがいの兎になるか?」

解いてみてください

 

ちなみにつがいを漢字で『番』と書きます

では次の漢字はなんと読むでしょう」

『蝶番』

 

前の3つを足すトリボナッチ数列

0,0,1,1,2,4,7,13,24…

4つを足すテトラナッチ数列

0,0,0,1,1,2,4,8,15,29…

なんてのもあるそうです

 

フィボナッチ数列が

自然界によく見られる数列であることは

知られていますが

トリボナッチ数列や

テトラナッチ数列に関してはどうなんでしょう?

考えてみるとおもしろいですね

 

さて明倫高校さんの授業では

さらにハニカム構造を学んだそうです

 

ハニカム構造とは

正六角柱を隙間なく並べた構造のことです

 

 

 

 

 

 

「honeycomb」はハチの巣を意味します

 

なぜハチは六角形の巣を作るのでしょう

数学的に検証してみたそうです

 

答えを言ってしまうと

少ない材料で最も広い部屋を作れるからです

 

検証してみましょう

例えば12m分の壁を作る材料があったとします

正方形の部屋を作ると

1辺あたり3m つまり

面積 = 縦 × 横 = 3 × 3 = 9m

 

正三角形では

1辺が4m

高さは1:2:√3 を使って

√3 ≒ 1.7 とすると3.4

その面積は

底辺 × 高さ ÷ 2 = 4 × 3.4 ÷ 2 = 6.7 m

正方形より狭くなりました

 

円だと…

直径 × π = 円周だから

直径 = 12/π で

半径 = 6/π

面積 = π(6/π)= 36/π ≒ 12 m

 

このように円が一番

コスパがいいのです

 

この円の部屋を敷き詰めると

 

 

 

 

 

 

 

ひとつの部屋の周りには

6つの部屋が隣接します 

これだと円と円の隙間が無駄なので

それを埋めたのがハニカム構造

 

ミツバチって頭いいですね

計算したわけじゃなく

体験で身につけたのでしょうけど

 

π にまつわる話をもうひとつ

「ピラミッドの横幅を高さで割って

 2倍すると円周率になる」

 

ピラミッドの1辺 = 230.37m

高さ = 146.6 m

(230.37 / 146.6) × 2 ≒ 3.14 

 

円周率という概念は

ギリシャ数学において確立されますが

それはピラミッドが造られた

およそ2000年あとのことです

 

π の計算もせずに

体験で身につけたもの?

ミツバチ以上ですね

 

円形の物差しを使っていたのではないか

という説があります

石を切り出す際に

高さは物差しの直径で

幅はその物差しを転がして測った

とすると説明はつきます

 

ただそんな物差しは

未だ発見されていないのだとか 

「体育」と「英語」のメガネ

地震から 576 日目

豪雨から 312 日目

 

石川県養護教員研究協議会に招かれ

シンポジウムのパネリストを

務めさせていただきました 

 

 

 

 

 

 

養護教員つまり保健室の先生は

学校の中で一番やさしくてあたたかい先生

県内のすべての学校のそんな方が

一同に介しての会ですので

まるで菩薩様の懐に抱かれているかのような

なんともいえない心の安らぐ会です

初めての経験です

 

 

 

 

 

 

 

輪島市立河井小学校の 中條 葉子 先生

 

 

 

 

 

 

発災直後からの安否確認

避難所巡り

校舎の片付け

学校の再開

本当にいろいろありました

6校の小学校が輪島高校に集まって

勉強していました

保健室の先生も力を合わせて

6校全ての子供たちの支援をしました

 

 

珠洲市立宝立小中学校の 小畠 尚美 先生

 

 

 

 

 

 

宝立小中学校は市の避難所に指定されています

津波発生時 800人の方が避難されました

災害人道医療支援会 HuMAさんが

支援してくださいました

 

以下は生徒さんの作品です

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

石川県立穴水高等学校の 山元 祐子 先生 

 

 

 

 

 

 

高台に位置する穴水高校は

学校に向かう通学路に

大きな被害を受けました

中学校の校舎を借りて学校再開しました

ランチスペースをご自分で開設なさり

生徒のケアにあたられたそうです

 

助言者の金沢大学の森慶惠先生からは

「つながり」

 学校内外との協力体制

「即応と継続」

 災害直後の対応と長期ケアの両立

「子どもを見るまなざし」

 心と体を見守る日々の視点

の大切さを教えていただきました

 

午後は兵庫県から『EARTH』の方を

お迎えしました

村尾先生と大封先生

 

Emergency And Rescue Team

      by school staff in Hyogo 

阪神淡路大震災時に

全国各地からいただいた支援に報いるため

震災5年後に作られた

災害があれば要請に基づき

学校の教育復興を支援する

教職員の組織です

 

今回の能登半島地震においても

いち早く珠洲市の支援に入られました

 

この素晴らしい組織を

ぜひ全国展開させる必要があると感じています

これまで全国で5件にしかなかった

災害時の学校支援システム

文科省からの

D-EST(Disaster Educational Support Team)

構想を受け

各県に広がりを見せています

『EARTH』さんには

ぜひその豊富な経験と知識を活かして

全国の組織の指導的立場を

担っていただきたいと願っています

 

 


【今日のDeep Purple】

教科を超えた授業実践を紹介し

深い教科横断型授業を作り出すコーナー

野々市明倫高校さんの事例紹介3回目は

『体育』と『英語』のメガネ

「No English No Futsal」です

 

英語だけを使ってフットサルをしました

日本語を話すとイエローカードです

体育の先生も頑張って英語オンリー

特別ゲストにALTも参加

楽しく英語を学べていいですね

 

Kick off!「試合開始」

Pass!Shoot!Mark!「よこせ!撃て!いてまえ!」

Man on!「後ろに敵が!」

What a wonderful  goal!「やったぜ!」

 

私も以前ALTと掃除しながら

「No English No Cleaninng」

をやってみたことがあります

ALTというのは

Assistant Language Teacher 

外国語教育をサポートする

外国籍の教員です

色々と普段使わないフレーズを

その都度訊いては教えてもらいました

問題です

英語で何と表現するでしょう?

① モップについた埃を振り落とせ!

② 黒板消しをバンバン叩いてチョークの粉を落とせ!

 

 

答えは

 

 

① Shake it off!

② Bang it off!

「数学」と「国語」のメガネ

地震から 575 日目

豪雨から 311 日目

 

夏休みの前期補習も終わりました

学校へは3年生が自主的に登校し

学習しています

 

 

 

 

 

 

仮設住宅では落ち着いて学習できず

図書館などの公共の施設も使えないので

教室を使って学習に励んでいます

 

先生方も集まって探究学習への作戦会議

 

 

 

 

 

 

2年生は1学期を振り返って

それぞれのグループの進捗を確認

お困りごとなどを出し合いました

ほとんどのグループが

伴走してくださる企業様などとの

人脈作りに成功して

共に走り出しているようです

ご協力ありがとうございます

 

1年生は

例年行っている

探究スキルを身につけるための

「不自由研究」を

今年度はブラッシュアップします

その打ち合わせです

 

 

 

 

 

 

専門家をお招きし全11回のワークショップ

GISを活用した災害復興に取り組みます

GISとは「地理情報システム」

コンピュータ上で地図とデータを組み合わせて

位置に関する情報を可視化・分析・管理する

システムのことです

地図上に様々な情報を重ねて表示したり

位置情報をキーにしてデータを分析したり

防災計画にも活用が期待されています

 

「総合的な探究の時間」と「地理総合」における

教科横断型の学びの新しい形です

 

 


私はといえば

国際教育担当の岡本先生と一緒に

輪島市の観光ガイド養成ツアーに

参加してきました

将来的には

世界各国から来られるお客様に

高校生が案内できればいいなと考えています

 

モデルプランの街巡りをしました

今まで知らなかったことにたくさん出会え

魅力再発見です

 

たくさんの方に来ていただき

素晴らしさを知っていただきたいです

 

多くは来ていただいた時のお楽しみということで

一部だけご紹介します

 

まずは漆器工房

 

 

 

 

 

 

輪島塗ができるまでの流れを

ご紹介してくださいます

 

今日知った新しいトリビア

輪島塗の筆は

30代の海女さんの髪で作ったものが

最高級なのだそうです

20代だと油分が多く

漆自体をはじいてしまいノリが悪い

30代だと適度に表面が海水で荒れていて

最高に漆が纏わりつくのだそうです

輪島の大きなふたつの産業

輪島塗と海女漁がこんなふうに結びつくとは

新しい発見でした

 

輪島塗の体験もできます

 

 

 

 

 

 

工房長屋です

 

工房長屋は重蔵神社のお膝元にあります

 

 

 

 

 

 

地震で全壊した重蔵神社は

現在この鳥居の奥の小さなお社のみ

しかしながら

朝市は千何百年前に

この重蔵神社の境内で始まったもの

輪島塗のその技法も

ここの神様の御神託によるもの

 

輪島の歴史はこのお宮さんから始まった

と言っても過言ではありません

 

次回は自分でガイドツアーを作って

案内するミッションが与えられました

 

さてどんなツアーを創ろうか?

ワクワクしています

 

 


【今日のDeep Purple】

教科を超えた授業実践を紹介し

深い教科横断型授業を作り出すコーナー

野々市明倫高校さんの事例紹介2回目は

「国語」と「数学」のメガネ

「寺子屋で◯◯」です

 

江戸時代の日本における

青年男子の識字率は世界トップクラス

寺子屋が大きな役目を果たしていました

昔の言葉で書かれた文の読解をしました

「雉子兎取合五十疋有

 足数百弐拾弐本也

 雉子足弐本兎足四本

 銘々幾何問」

江戸時代には

中国数学から独自の発展を遂げた

和算が学ばれていました

 

「国語」が得意な生徒が読解をして

「数学」が得意な生徒が計算をして

それぞれの得意分野を活かした

学びができたそうです