2025年7月の記事一覧
「地歴」と「地学」のメガネ
地震から 574 日目
豪雨から 310 日目
「一部の私立大学で
四則演算など
義務教育のような授業をしている」
先日財務省が指摘しました
それに対して
長年大学生に基礎数学を教えてこられた
桜美林大学の芳沢光雄 名誉教授は
彼らは「教育の犠牲者」である
彼らのレベルが低いのではなく
大学に入るまでの教育レベルが低いのである
と異を唱えていらっしゃいます
算数や数学を暗記で乗り切るには限界があります
本来一つひとつ理解して次に進めるべきものを
公式の暗記中心に進めてしまった結果
応用力が育まれず
全部やり方を覚えてそれをまねる
テストが済んだらそれを忘れる
という悪循環になっています
氏は高校の授業のやり方も
もっと柔軟にするといい
何年生だからこれをやる
といったことに縛られず
高校生で算数をやったっていいと
提言されています
実際次回の学習指導要領改定では
そういったことも論点になっていると
お聞きしています
【今日のDeep Purple】
教科を超えた授業実践を紹介し
深い教科横断型授業を作り出すコーナー
今日は野々市明倫高校さんの事例を紹介します
野々市明倫高校さんは
〜探究文化の根付く学校を目指して〜
「教科横断型授業」を推進されています
先日金沢工業大学で行われた発表を聞き
素晴らしい実践だなと感銘し
ここに勝手にご紹介するものです
「とりあえず一回やってみよう」
本校も目指しているコンセプトです
1年生の担任と副担任でコラボして
やってみたそうです
今日は「地歴」と「地学」のメガネです
「日本・世界の鉱石・資源と権力」
なかなか興味深いタイトルです
まずは鉱物と鉱石の違いについて
鉱石とは鉱物の中でも
①特別な価値があり
②採算があうもの
を指します
例えば
ア)金鉱石は1t に2g の金が含まれ
採算がとれるので鉱石
イ)海水は1t に1mg の金を含むが
水や不純物を除去する費用が嵩み
採算が取れないため鉱石ではない
では当時の人はどうやって採掘したのか?
人や技術や資金はどうしたのか?
ふたつの班に分かれて調べます
①鉱石・資源について調べる
特徴や採れる場所そして方法など
②採掘の歴史について調べる
採掘による歴史の変化はなど
「地学」の知識により
「地歴」を単なる暗記科目ではなく
思考力を要する科目として捉えることができる
素晴らしい授業実践です
さらには銅の精製の歴史を学べば
足尾銅山鉱毒事件についてまで話が拡がり
『政治・経済』を深く学びたくなる動機づけになるし
銅の電解精錬を学べば
『化学』の力でその環境問題を克服できたこと
も知ることができ
地域をあげてその問題に
どう取り組んできたのかを知ることができる
さらに幅広い教科横断型の教材となる
大きな可能性のある題材です
これから全6回で
野々市明倫高校さんの実践を
紹介します
天からの思いがつまった贈り物
地震から 573 日目
豪雨から 309 日目
昨年秋
東京工業大学と東京医科歯科大学が統合し
東京科学大学が誕生しました
学院や学部の垣根を越えて
共に学び合うスタイルの授業が
展開されています
もともと医学の分野には
インターディシプリナリーアプローチが
取り入れられていて
そういった意味では学際的な学びに
親和性が高いと思われます
インターディシプリナリー
あるいは
マルチディシプリナリーとも言いますが
多くの専門家がチームを作り
それぞれの視点から議論しながら
課題の解決に向かうアプローチです
具体的には
医師 看護師 薬剤師 理学療法士 作業療法士 言語聴覚士
などが連携し
患者の病状や状態に合わせた
治療やリハビリテーションを提供します
こういったスタイルの授業は
高校でも求められていて
そのための教科横断型の授業を
本校でも推進しています
今年は必ず1人1時間は
他の教科の先生とコラボした授業を行うように
とお願いしています
1学期中に実践された事例は2件だけでしたが
今先生方はアイデアをしぼっていることと思います
東京科学大学の研究では
「社会は問題に名前がついて初めて動く」
ということに気づいたとする発表があったそうです
「発達障害や産後うつなど
名前がつくまでは
気のせいとか怠けと捉えられていた」
なるほど
クリームソーダの
アイスにソーダが染み込んで
緑色にシャリシャリになったあそこ
あれ大好きなんですけど
名前つければ売れるんじゃないでしょうか
うちの『晴れ女』は
「医者に不調を訴えると
昔は全部ストレスで片付けられたんに
最近は更年期って病名つけられる」
と憤慨しています
※最近このブログを読み始めてくださった方へ
『晴れ女』というのはうちの美しい妻です
本人曰く特技が『晴れ女』なのだそうです
「アメリカ人って
どんな個性的なスタイルや顔立ちであっても
他人に妻を紹介するときは
Beautiful Wife って言うのよ」
が口癖です
以前より本校野球部を応援してくださっている
富山県在住の 北島 嘉孝 様より
貴重なファイルの贈り物をいただきました
生徒玄関に置いてあるので
欲しい生徒は持って行ってください
北島様は先日の野球部の津幡高校戦にも
見にきてくださり
その時の様子を
こんなふうに綴ってくださいました
「津幡も地震の爪痕が残る地
両校とも頑張れと言う思いで観戦していました
自身地元にて高校野球の指導をしていました
その時生徒に『言い訳は成長を妨げる』
を強く伝えていました
輪島高校も
グラウンドが一部しか使えないことを
言い訳にせずできることをする
内野守備の徹底をしていたことに感心しました
指導において三振やミスをしたときに
『下を向くな下を向けばまた同じ失敗を繰り返す』
を伝えていました
津幡戦の輪島の選手
ミスやアウトになっても元気よく前を向いていました
そして9回裏
追い詰められた雰囲気の中のホームラン
一番声を出してチームを牽引していた坂口選手に
こういう物語が用意されていたのかと思いました
9回三振した選手
次の打者にハイタッチをして思いを伝えていた
その思いがつながったレフトへの飛球
それは応援に来れなかった方々や
震災などで亡くなった方の青い空
天からの思いが詰まった
輪島高校への贈り物かと思いました
その贈り物を
坂口選手が代表として受け取ったのだと
いろいろな指導方法を試行錯誤してきて
成功する方法は十人十色
失敗する人は十人三色の傾向があると思いました
勉強において
成績が良い人は各自分に合ったやり方でしているが
成績が悪いと授業の後で覚えると思ったり
とりあえずノートを書くだけで
見直さないノート
見直せないノートを書いていたりと共通点があり
野球においても失敗した人には共通点があり
その共通点を徹底的に削除した結果が「下を向くな」でした
恥ずかしくて下を向きたくなる気持ちはわかる
そこを耐えたら次の結果が変わるかもしれない
どうしても下を向きたかったら上を向け
そうしたら前を向ける
と伝えていました
そのような野球の技術以外も
徹底されていた輪島高校の選手には
敗戦とはいえ応援して気持ち良い感覚が残りました
試合後選手のように涙を流した監督
生徒たちと一緒になれる大人が近くにいる輪島高校生徒さんは
改めて幸せなひとときを過ごしているのだなと思いました
いつもにこやかに対応してくださる事務員さんも含め
輪島高校に携わるすべての人に
今後の健康と幸あること祈願いたします」
ようこそ!輪高へ
地震から 572 日目
豪雨から 308 日目
暖かい日が続きます
本日
中三生を招いての『体験入学』が
開催されました
近隣の6中学から79名の参加がありました
昨年に比べ20名以上増えています
道路状況がよくなり
周辺の中学校からの参加が増えました
中学生たちは『体験授業』を受けました
【国語】濵田先生
「歌物語の世界」
歌物語は短編集そして
クライマックスに必ず歌が出てきます
最初に歌を詠ませて
その前段の物語を連想させます
かなりレベルの高い内容です
【数学】宮下先生
「暗号とその解読」
何やら怪しいハンターが現れて
暗号のようなものを中三生に手渡しました
どうやら暗号を解くミッションが
与えられたようです
さあどう解いていくのでしょうか?
【英語】加藤先生と櫻庭先生
「English dungeon ~英語の迷宮から抜けだそう~」
英語の謎を解きながら
迷宮を進んでいきます
ラスボスから最後のミッション
見事ラスボスを倒しました!
【理科】伊奈岡先生
「ミクロの世界へようこそ」
顕微鏡観察です
観察対象は
地震で隆起した袖ケ浜海岸の海水
「おしゃぶり昆布発見!」
大盛り上がりです
ケイソウがたくさん見つかりました
能登半島は
崩れた見附島(軍艦島)や
輪島市の鴨ケ浦海岸など
多くが珪藻土でできています
ケイソウが堆積してできた岩石です
とても柔らかく爪で削れるほどです
【社会】奥野先生と竹田先生と寺田先生
「高校の歴史を学ぼう」
世界四大文明がなぜ起こったか?
大きな川がある他に何があった?
中三生からは
「苛酷な環境だからこそ工夫した!」
大きな拍手が沸き起こりました
そう!
だからこそみんなの心をひとつにしないと!
それには何が必要?
「言葉!」
今年の中三生も考える力があるぞ!
素晴らしい!
クイズで楽しく学びました
【商業】木村先生
「電卓のスピード対決」
高校で初めて学ぶ商業の授業について
レクチャーを受けたあと
電卓の検定問題にチャレンジ
ペアになって競いました
そのあとグループに分かれて
先輩達と座談会が行われました
高校生活についてたくさんお話ししました
例年、部活動体験なども実施していたのですが
さすがにこの暖かさでは・・・
成田空港国際警察署生活安全課遺失物センター
からとても親切な電話がありました
私名義の遺失物が届いているので
ダイヤル「1」を押して
すぐ手続きするようにとのことでした
誰がだまされるか!
みなさんもお気をつけください
「養護」と「保健」と「化学」のメガネ
地震から 571 日目
豪雨から 307 日目
【今日のDeep Purple】
教科を超えた授業実践を紹介し
深い教科横断型授業を作り出すコーナー
今日は養護と保健体育と化学をつなぎます
担当は栃木麻希先生(養護)と
山下友子先生(保健体育)と
伊奈岡克俊先生(理科)
対象は文化祭の模擬店責任者
本校では8月29日(金)~30日(土)
の日程で文化祭が催されます
その際模擬店を出店するクラスの責任者に
例年行っている衛生指導
今年は
「保健」や「化学」の内容もからめて
より論理的に手洗いの大切さを
学んでもらおうという実践です
まずは「養護」の栃木先生の目
正しい手洗いのしかたに関する指導です
ポリ手袋をはめた上から
絵の具を1滴手につけて
目をつむったまま
いつものように手洗いをしてもらいます
洗えている部分が染色されている一方で
洗い残しの部分が一目でわかります
指の間や手の甲そして手首などが
盲点になっています
続いて「化学」の目
『界面活性剤』の性質とはたらきについて実験です
ラー油を浸した布を
『界面活性剤』を溶かした水と
何も加えていない水にそれぞれ浸します
するとラー油が『界面活性剤』に包まれて
水面にみるみる浮き上がってきました
食中毒の大きな原因のひとつ
『黄色ブドウ球菌』は親油性の菌
つまり皮膚の油分が大好きなのです
油分ごと洗い流すのが効果的です
続いて「保健体育」の目
『黄色ブドウ球菌』は私たちの体
鼻やのどのほか傷口等に生息しています
顕微鏡で見ると
ぶどうの房のように見えます
増殖するときに産生する毒素(エンテロトキシン)
が食中毒の原因となります
エンテロトキシンは熱に強く
通常の加熱では分解されません
また『黄色ブドウ球菌』は
比較的高い食塩濃度でも増殖するので
塩にぎりや漬物などでも注意が必要です
したがって『界面活性剤』入りの洗剤で
しっかりと手洗いすることが求められます
またノロウイルスはアルコールに強いので
アルコール消毒だけでは効きません
手洗いとアルコール消毒の併用がおすすめです
トコトコ
地震から 570 日目
豪雨から 306 日目
すっかり夏の朝
中庭には心地よい空気が
でも蝉の声がしないんです
全国的に見てそうなんでしょうか?
あまり暑くて「トコトコ」が
出てこないのでしょうか
輪島弁でセミの幼虫を「トコトコ」といいます
全国的に見ると「ノコノコ」と呼ぶ地方もあり
金沢では「アナゼミ」と呼ぶそうです
毎年中庭の木々には
「トコトコ」 の抜け殻がこの時期
たくさん見られるのですが
今年はほとんど見られないのです
ようやくふたつだけ見つけました
こちらはアブラゼミ
羽根が脂ぎっているから
ついた名前かと思いきや
鳴き声が油の揚げ物の音みたい
ということだそうです
こちらはたぶんニイニイゼミ
ニイニイ鳴くからということでしょう
それにしてもツクツクボウシといい
鳴き声を勝手に名前にしたり
オオアリクイのように
主食を名前にしたり
人間ってかなり失礼な生き物ですね
他の生き物から
「おい!コメクイ」
とか言われて嫌な気持ちしないか
「人が何食おうがほっとけや」
って思いませんか?
さて今年なかなか姿を見せない「トコトコ」
もしかして今回の地震で
土中に何か異変があったのでは?
いらぬ心配をしています
ところで脱ぎっぱなしの服のことも
「トコトコ」と呼びますが
もしかしたらこれは
我が家だけに伝わる「平野家弁」かもしれません
さて学校の方では本日
PISA2025 学力調査が行われ
1年生が受検しました
PISA(ピサ)とは
「生徒の学習到達度調査」
(Programme for International Student Assessment)
の略称で
『経済協力開発機構(OECD)』
(Organisation for Economic Cooperation and Development)
によって推進されている
教育分野における世界最大の国際調査です
PISA調査は2000年から概ね3年おきに実施され
今年で9回目となります
世界中で90カ国以上が参加する国際比較調査です
目的は
義務教育終了段階の15歳の生徒が
これまで身に付けてきた知識や技能を
実生活のさまざまな場面で直面する課題に
どの程度活用できるかを
測ることにあります
本校は日本を代表する調査校に選ばれた
というわけです
実は震災前から内定しており
特殊な環境におけるケースではあるので
「もしかして外されるかも…
外されたら
被災地は日本じゃないんかい!
と暴れたろ」
と息巻いていたのではありますが
予定通り調査校を
務めさせていただくことになりました
この自然災害が多い日本という国の中で
どう教育を組み立てているのか
そしてこれからどう組み立てて行くべきか
有意義なデータとなると思います
自然災害だけでなく
人的災害に苦しむ
ウクライナやイスラエルなども参加しています