校長室より「おこらいえ」
さかなクンさん
250 日目
長かった学校での泊まり込み生活も終わり
教育委員会が準備してくださった
仮設教員住宅での生活が始まっています
仮設があるのは
能登半島の静かな内海
穴水湾のほとりにある
廃校となった小さな小さな中学校の跡地
朝日が水面に輝き
夜は満天の星空を見上げる
都会の喧騒に疲れた方なら
きっと何十万円払っても
泊まりたくなるような
最高のロケーションです
これはすぐ近くにあるボラ待ちやぐら
海の上にやぐらを組み
その上で一日中ボラの群を見張り
網で手繰り寄せるという
能登半島ならではの漁法を
行うためのものです
月明かりに照らされて
幻想的な姿を見せています
天文学者パーシバル・ローエルが
この地を訪れたとき
怪鳥ロックの巣のようだと例えました
穴水湾に注ぐ川には
いさざ漁も盛んでした
いさざとは白魚のこと?
川に住む小さな透明な
春告魚です
この辺では踊り食いで
食べたりしますが
私は挑戦したことはありません
料亭で出されても
こっそり近くの川に逃してあげていました
どうしても食べれないもののひとつです
踊り食いファンの方
申し訳ありません
もうひとつどうしても食べられないのが
金箔がかかった◯◯
何がうまいんだか
金は非常に安定な金属で
化学反応起こさないから
味なんてしないんですよ
って美味しんぼの山岡士郎も
そう言っていました
金箔ソフト屋さん
申し訳ありません
金箔ソフトの金箔抜きを注文して
怪訝な顔されたのは私です
穴水湾で忘れてはならないのは牡蠣貝です
私が子供の頃
穴水からの行商の方が
当時の国鉄七尾線に乗って
定期的に輪島まで売りにきていました
「かきーがいー むきたて〜えい」
最後の「えい」で声が裏返って
ヨーデルみたいな調べで…
ヨーレイヒー
この話わかる地元の方います?
かくのごとく
能登半島の内海には
美味しい牡蠣が育ちます
問題です
日本全国美味しい貝が育つところ
にみられる共通点とは何でしょう?
それは
近くに白鳥が飛来する湖や池がある
ということです
能登半島にも
珠洲や邑知潟などに
毎年白鳥が飛来します
一見全く関係ないように見えるこのふたつ
実は…
美味しい貝が取れる海に注ぐ川の上流には
必ずと言っていいほど鉄鉱山があります
広島の牡蠣しかり
宍道湖のシジミしかり
川の水に含まれる鉄分が
プランクトンを育み
貝を育てるのです
かつて海水汚染で
魚など全くいなかった大阪湾に
クジラが見られるようになって久しいです
これは関空の建設により
海水に鉄筋の鉄分が溶け出し
それによってプランクトンが育ち
それを求めて魚たちが集まり
それを求めてクジラが…
という循環が生まれたからだと
言われています
では鉄鉱山と白鳥の関係は?
白鳥に限らず渡り鳥は
自分の体内にある磁石で
飛ぶ方向を決めています
だから鉄鉱山の近くにある
湖や池には帰って来やすいのです
だから白鳥が飛来する地の近くには
美味しい貝が育つというわけです
宍道湖のシジミ漁師に習った
美味しいシジミの食べ方
一度冷凍します
それだけ
化学の視点で説明すると
温度が下がると浸透圧が下がります
下がった浸透圧を上げるため
分子数を増やそうとします
さらには体液中の溶質の分子数が増えると
凝固点降下がおこり
凍りにくくなるという利点もあるため
分子量の大きいタンパク質を分解して
分子量の小さいーアミノ酸に変えます
アミノ酸の一種で旨味の素である
グルタミン酸が増えます
つまりおいしくなるのです
実際に試してみてください
シジミの味噌汁など
旨みが格段にアップします
今日は海の生き物の話に終始しましたが
「さかなクン」さんが
とてもいいお話をされています
「さかなクン」は
「さかな」という名前に
クンをつけている訳じゃなくて
「さかなクン」という名前なので
ちゃんとさん付けして
「さかなクンさん」と言わないと
呼び捨てにしていて
失礼な気がしますが
でも例えば
「太宰さん」とか「芥川さん」
と呼ぶと
お前は知り合いか?
と突っ込まれそうで…
それなら
「太宰」とか「芥川」と呼ぶ方が
敬意を払っているようで…
「さかなクン」に
さんをつけるべきか否か
ずっと昔から悩んでいます
「さかなクンさん」がされていたいい話
「魚は海の中にいるとみんなで助け合うのに
小さい水槽に移すと途端にいじめが始まります
いじめをする人は狭い世界に住んでいる人なんです」