校長室より「おこらいえ」

子ども食堂

地震から 531 日目

豪雨から 267 日目

 

一昔前アメリカであった話です

 

ある国道沿いに

チキン料理が美味しい

こじんまりとした

レストランがありました

 

ところがある日この町に

新しいバイパスが作られる計画が

浮上しました

 

これまで

国道を通るドライバーによって

支えられていたこの店は

廃業のピンチに追いやられます

 

年老いた店主は

バイパス沿いに新しいお店を構える

資金も気力もありません

 

そこで考えた店主は

新しくバイパス沿いに出店する店に

持ちかけます

「うちのレシピを提供します

 その代わり

 売り上げあるごとに

 その◯%をいただけませんか」

 

新しいレストラン側にしてみても

これまで人気だったこの地方の料理を

そのままメニューに加えることができることは

大きなメリットです

 

世界初のフランチャイズ制の誕生です

 

この年老いた店主の名は

カーネル・サンダース


さて学校では

「臨時子ども食堂 in 輪島」

の下ごしらえが始まりました

 

 

 

 

 


さいたま子ども食堂ネットワークさまの

ご協力によります

 

 

 

 

 

 

まず、炊飯からです

 

 

 

 

 

 

9つの電気釜をフル稼働させるため

調理室以外に空き教室などに

分散させて炊いています

 

 

 

 

 

 

一気に一部屋で炊くと

ブレーカーが落ちるからです

避難所運営で得た知恵です

 

 

 

 

 

 

最初のご飯が炊きあがりました

美味しい匂いが漂っています

続々と応援に来られるボランティアの方々は

案内しなくても匂いにつられて調理室へ

 

 

 

 


 

炊きあがったご飯は

チキンパエリアになります

ケンタッキーフライドチキンさまの

協力を得ているそうです

 

本日

普通コースの3年生は模擬試験をしています

何人かお手伝いしたい生徒もいたのですが…

模擬試験を受けに来る3年生にも

振る舞っていただけることとなりました 

授業の感想 なぜ書かせるの?

地震から 530 日目

豪雨から 266 日目

 

朝日新聞の投稿欄

ある女子大生が

「授業の感想なぜ書かせるの?」

と問題提起していらっしゃいました

 

授業の内容に対する意見なら

考えを整理する意義を見いだせる

だけど単なる感想であるなら

書いても意味がないと

疑問に思っていらっしゃいます

 

私も大学時代そんな教授に出逢ったことがあります

毎回

「私の講義に対して建設的に意見を述べよ」

と感想を課されました

国語がからっきし弱い私は

「建設的」の意味がわからず

勝手に「批判的に」という意味と勘違いして

講義の悪口を延々と書き続けていたのでした

しかも

講義内容には大学生が反論できる要素などなく

仕方ないので

「先生があの場面で飛ばしたギャグは

 全く笑えませんでした」

のようなどうでもいい感想に

ならざるを得ないのでした

おかげさまで

皆出席で試験もそこそこできたはずなのに

「不可」つまり不合格

教授はよほど腹に据えかねていたものと

思われます

あとで友達に相談して

ようやく「建設的」の意味がわかり

後悔したのでした

 

国語は大事です

 

彼女は続けます

「感想は個人の気持ちであり

 正解がないものなので

 書いても評価されにくく

 形だけの作業になってしまいます」

 

なるほど

私自身振り返ってみると

感想文に本心を書いたことが

一度もないことに気づかされました

こんなことを書いておけば先生が喜ぶだろうと

そして点数が上がるだろうと

 

でもなんか

そのときの経験が

このブログに役立っているような気もします

このブログはほぼ本心を適当に書いてはいますが

言葉選びには細心の注意をはらっています

改行の位置とか

漢字にするかひらがなにするかとか

特に読み手が不快にならないように

このことについては

びくびくしながら何度も読み返しています

 

彼女は

書き方指導の必要性にも言及したあとで

こう結びます

「なぜ感想を書くのか

 どんな力を身につけさせたいのか

 目的をきちんと伝えるのが大切です」

すばらしいです

ぜひ教員になっていただきたいと思います

きっといい先生になると思います

日本語の使い方あれこれ

地震から 529 日目

豪雨から 265 日目

 

朝一番に学校に着くと

機械警備の解除から始まります

操作を完了すると

「解除になりました」

と機械のアナウンスが・・・

 

この日本語に

ずっと違和感を持っておりまして

「解除」ってなるものか?

「解除しました」あるいは

「解除されました」じゃないのか?

「なりました」を使いたければ

「解除状態になりました」

じゃないとおかしくないか?

自分の日本語力がおかしいのか?

朝から悶々としています

 

同じようなことが以前にもありました

化学の教科書には

「安定な電子配置」という文言が

当然のように使われていますが

「安定した電子配置」の方が正しくないか?

気になって国語の先生に質問したところ

「これは形容動詞の〇〇化といって

 ♯※〒△☆♂だから文法的に正しいのだ」

と教えていただいたのですが

何をおっしゃているのやら

という感じでいまだに???です

 

「万博会場を訪ねた人は・・・」

という記事を最近目にしましたが

これもおかしくないですか?

「訪れた」の間違いでは?

ひらがなひとつでもやもやしています

 

Google先生に尋ねてみました

「訪ねる」は

訪問する おとずれる

 

「訪れる」は

訪問する たずねる

 

えー?

 国語辞典の

「右」= 左の逆

「左」= 右の逆

と同じやないかい

 

さらに調べてみると

「訪ねる」はある場所へ行く

「訪れる」はある目的があってその場所へ行く

とありました

 

なるほど

「万博が見たい!」という目的があるから

「万博会場を訪れた人」の方がしっくりきたのですね

でも特段目的もなく来る人は

「万博会場を訪ねた人」になるのか

まんざら間違いでもないのですね

 

「春が訪れる」とはいいますが

「春が訪ねる」とは言いません

ということは

春は明らかに目的を持って来ている

ということなんですね

 

もうひとつ

「春が訪れる」は自動詞的用法です

立ち位置が自分にあります

自分に向かって「来る」イメージです

一方で

「春が訪ねる」は他動詞的用法です

違和感を生じるのでは

どこそこへ「行く」イメージだからです

 

「春が来た」とは言うけど

「春が行った」とは言わないのと同じです

 

外国語でもよく似た例があって

フランス語では例えば

「遊びに行くよ」って言うとき

「Je viens(I come)」と言って

「Je vais (I go)」とは言いません

立ち位置が相手にあるのです

 

もひとつ

武田鉄矢さんが「今朝の三枚おろし」の中で

こんな話をされていました

武田さんの曲に

「思えば遠くへ来たもんだ」

という曲があります

これは中原中也の

「思へば遠く来たもんだ」

 のオマージュなんだだそうです

「遠く来た」

はこれまでの道のりにフォーカスがあって

出発点はさほど重視されていない

鉄矢さんは

出発点の博多を強調したくて

「遠くへ来た」

と「へ」を入れたんだそうです

「に」を使い

「遠くに来た」にしてしまうと

到達点がフォーカスされて

旅が終わった感が出てしまいます

「遠くへ来た」には

旅がこの先どうなるかわからない

そんな寂寥感があります


本日

教育実習生の研究授業が行われます

指導教員の中野智貴先生も

日本語の使い方に気をつかっています

「本日実習生の研究授業があるので

 お手すきの先生は

 参観の上ご指導よろしくお願いします」

中野先生の気づきは

「そもそもお手すきの先生なんているのか?」

とてもいい視点です

これまでのフォーマットを前例踏襲せず

どうすれば多くの先生に見ていただけるか

しっかりと考えています

 

 

 

 

 

 

どんなふうにアナウンスしたのでしょうか?

たくさんの先生が観に来ました

 

放課後に生徒を呼び出すとき

「〇〇さん

 校内にいましたら

 ◇◇まで来てください」

と校内放送される先生もいますが

そもそも校内にいなければ

放送を聞いているはずもないので

なんか無駄なフレーズです

それどころか聞いた方としては

「校内にいなければ行かなくていいのか

 たいした用事じゃないな」

来ない可能性まであります

今日の授業

地震から 528 日目

豪雨から 264 日目

 

なんやかんやで外に出ることが続き

今日は久々に丸一日学校にいます

授業の様子をゆっくり見に行きました

 

1年1組「情報Ⅰ」山﨑先生

 

 

 

 

 

 

 

1年2組「現代の国語」山本先生

 

 

 

 

 

 

 

1年3組「地理総合」竹田先生

 

 

 

 

 

 

 

2年「数学Ⅱ」習熟度別 端谷先生

 

 

 

 

 

 

橋元先生

 

 

 

 

 

 

今田先生

 

 

 

 

 

 

 

ビジネスコース3年「国語表現」松本先生

 

 

 

 

 

 

 岡本先生

 

 

 

 

 

 

 

3年「英語」習熟度別 加藤先生

 

 

 

 

 

 

 櫻庭先生

 

 

 

 

 

 

お気づきになりましたか

教室を半分に仕切って

勉強しているクラスがあります

 

震災で危険判定を受けた教室を使えないので

工夫を凝らして授業を組んでいるのです

 

もうひとつ

生徒の取り組む姿勢見てください

全ての生徒が背筋を伸ばし

緊張感を持って授業に臨んでいる様子

校長がカメラを向けたから・・・

ではありません

発災以降

生徒の学習に取り組む姿勢は

明らかに変わってきています

 

特に1年生は

授業中の発言も活発で

学びに向かう姿勢が素晴らしいです

震災で中学校で勉強できなかった分を

しっかり取り戻せると思います

伸びしろが充分です

 

1年生は実は

OECD(経済協力開発機構)による

PISA の学力テストの抽出対象となっています

「日本の高校生の数学スキルは高いが

 自己肯定感に劣る」

など世界の子どもたちの学力等を調査して

各国の教育施策の指針となるテストです

 

7月23日に実施予定です

抽出された生徒のみなさんはがんばって・・・

いやがんばらなくていいので

いつもの調子で協力をお願いします

 

震災が学力や生活習慣にどのような影響を与えたか

そしてこの先どのような支援が必要か

重要なデータとなりうると思います


今日は

ビジネスコースの2・3年生および

普通科の専門学校志望者を対象に

進路ガイダンスが行われました

専門学校や企業の方をお招きして

生徒たちと直接質疑応答できる機会を持ちました

 

 

 

 

 



お世話になっているアナウンサーの原田幸子さま

いつもすてきなお便りをくださいます

 

 

 

 

 

 

 

 

「庭では蜘蛛の赤ちゃんが卵からかえり
 まさに蜘蛛の子を散らした状態です
 一つ一つが命なのだと思うと愛おしいです

 

 

 

 

 

 

 


 この世であえて嬉しいよ
 一匹一匹に声をかけたい気分です」

小さな生き物が大好きなんですね

観察眼も素晴らしいです

私はこんなの見つけたことないです

ついでに自然にいる「たつのおとしご」も

見てみたいです

どこにいるかご存じの方

どうか教えてください

リピーターをつかまえる

地震から 527 日目

豪雨から 263 日目

 

国内客の「金沢離れ」に関する

新聞報道がありました

 

 

 

 

 

昨年

県内のインバウンド宿泊者数が

100万人の大台を突破した一方で

国内からの宿泊者数が前年度比3割減で

下落幅が全国で最も大きかったようです

 

 

 

 

 

大幅な減少の原因として

これまで五年間にわたって行われてきた

コロナや地震に対する旅行支援が

なくなったことを挙げていました

 

 

 

 

それに加えて

被災地への配慮もあるのでは?

と私は考えます

「復旧に大変なのに

 遊びに行っていいのか?」

日本人は気を遣ってくださっているのでは?

 

 

 

 

 

 

東日本大震災の際に

造り酒屋の店主が

「自粛しないでくれ

 東北の酒を呑んでくれ」

と叫んでいたのを思い出します

 

 

 

 

 

全国のみなさん

観光に来てください

被害の大きいのは能登の方で

金沢はこれまで通り安全に泊まれます

ほとんど被害はありません

遠慮は要りません

ですからどうぞお越しになってください

 

今だからこそ行ける

能登の現状と組み合わせるコースもありです

 

以前

旅行ジャーナリストにお聞きした話です

「能登半島で

 最もリピーターの獲得に成功したのは和倉温泉

 最も失敗したのが輪島朝市」

だそうです

 

リピーターになりやすいのは女性客

男性客は常に新しい刺激を求めるのに対して

女性客は旅行に心の安らぎを求めるからです

ですので一回気に入った旅行先へは

女性客は何度も訪れるようです

 

 

 

 

 

和倉温泉はその辺を理解していて

徹底的な女性客獲得の戦略を打ち出してきました

最も大きいのは

男性客が好むようなお色気関係のお店を

徹底的に排除したことだそうです

 

一方で朝市は

地元の馴染みの客には安く売るのに

観光客と見るやべらぼうな値段をふっかけるのです

せっかくの美味しい魚介類が

わざわざ遠出してまで食べたいと感じさせる

お得感が全くないのです

ただしこれは私が子供の頃のこと

かなり昔の話です

今はかなり変わってきてはいます

 

 

 

 

 

 

 

 

能登のさいはてまで足を運ぶのは一生に一度

そんな時代ならそれで大丈夫なのですが

その頃の商売方法そのままの店が

今でも見られます

 

つい数年前に

値切ってくるお客さんに対して

ブチギレて「帰れ!」と怒鳴っている

おばあちゃんがいました

 

 

 

 

 

 

 

 

値切って交渉するのも旅の楽しみのひとつ

パリのお店で

「日本人は値切ってこないからつまんない」

と店員さんが言っていました

その辺を理解して

値切られたフリして

観光客に気持ちよく帰っていただく

そんな技術も新しい朝市に必要だと思います

 

金沢のお店で飲食している観光客が

「こんな値段で食べられるなんて信じられない」

と話しているのを聞き

「こんな値段を取るなんて信じられない」

と能登の民は常日頃思ってはいたのですが

先日築地へ行って

1杯4万円の海鮮丼を見て納得しました

 

いくら外国の富裕層はお金を持っているからといって

こんなことしていいのかな

リピーターの獲得に失敗した朝市を見てきた私は

要らぬ心配をするのでした


ところで今日の写真はAIくんに

描いてもらいました