2025年6月の記事一覧

教育の万博

地震から 532 日目

豪雨から 268 日目

 

この土日を利用して

NEW EDUCATION EXPO 2025 

いわば教育の万博に

大阪まで来ています

 

 

 

 

 

 

大阪の先生はちょっと出かけると

こういった機会に恵まれているのに

我々地方の人間にとっては

何万円という大枚を叩かないといけないので

こういったところにも

教育格差を感じます

 

とはいえ

自腹を切った研修は

それだけ貪欲に学ぼうという気になります

 

教育の第一人者である

鈴木寛先生のお話を聴くことができました

 

現在輪島高校も連携させていただいているOECD

そこが主催していて今年本校も参加予定の

学力検査PISA

前回の調査結果を踏まえ

現在実施されている教育施策について

お話ししていただきました

 

日本の子どもは学力が世界一なのに

ウェルビーイングが37位と

参加国中最低レベル

つまり幸福度が低い

 

詳しく分析してみると

学校生活には9割の子どもが満足しているけど

家庭からのサポートへの満足度が

世界最低なのだそうです

 

このことは家庭だけでなく

会社 社会 地域全体で取り組むべき課題です

 

まずは輪島高校ではこうしましょう

お子さんのいる教員は

最低週一回は定時に帰る

そしてお子さんと一緒に夕食を食べる

なんでもない一緒にいる時間を作る

 

それから

自分で学習する自信のない子どもが6割と

これまた世界最低

学習内容よりも学習のしかたを教える必要があります

中間テストを廃止して取り入れた

本校の「学びウイーク」の理念と一致します

期間中の行事をこなすだけでなく

どう学びに結びつけていくかを

追求する必要があります

 

教科書の内容が50年前の3倍と

カリキュラムオーバーロードの問題もあります

授業時間内で内容全てを教えることに無理があり

勉強のしかたを教えることの重要性が

ますます重要になっています

 

最近は通信制高校が

それも通学制の通信高校が人気だそうです

従来の通信制は

大勢の中にいるのが苦手な子

ひとりで学習したい子の受け皿だったのですが

今通学制の通信高校に通っている生徒が求めるのは

友達との協働学習なんだそうです

さらに学校の授業についていけない生徒は少なく

むしろずば抜けて優秀な生徒が増えてきています

このことは教科の内容を教えるのはAIで十分

たまに学校に来て

既習内容を協働学習によってさらに深める

そんな未来の学校の姿が見えてきます

何も月曜日から金曜日

週に5日も学校に来る必要などない

ということです

 

個々の生徒の認知特性にも配慮した

公正な個別最適化を意識した教材の提示も

工夫していく必要があります

ある調査によると

日本人成人における認知特性は

 聴覚優位 67.4 %

 視覚優位 13.4 %

 身体優位 17.2 % だそうです

これはほとんどの人において

耳から入る情報が

頭に入りやすく残りやすいことを

示しています

 

しかしながらこれまでの教育で行われてきた

教科書と板書中心の授業は視覚中心です

勉強が苦手と感じている人は

勉強ができないのではなくて

これまでの学校教育における 

インプットのさせかたに

問題があったということなのです

 

先生の話を聴くのに集中するのに

視覚情報を遮断するために

目を閉じて聴いていて

寝るなと叱られる理不尽な経験のある方

いるんじゃないでしょうか

ある建設業界では

視覚情報中心のマニュアルをやめたところ

驚くほど作業パフォーマンスが上がったそうです

 

教科の見直しも求められます

ある進学校に勤めていたころ

英数国は主要教科

その他は枝葉末節の枝葉教科

などと言われましたが

これからの主要教科は家庭科と保健体育です

家庭と体育は

教科横断型の合同科学の宝庫です

 料理はまさに化学だし

 食材の産地は地理

 運動力学は物理だし

 スコア分析は統計学

 

今多くの教員がイメージしている

「知識を身につけてから

 それを活用して探究活動を行う」

からの脱却が求められます

 

今後は部活動型の探究活動が求められるでしょう

送りバントが完璧にできるようになってから

練習試合に出すのではなく

練習試合で失敗させて

送りバントの練習の重要性を身をもって知る

自分が好きなことをとことん突き詰める中で

それに必要な知識を身につける

というスタイルです

 

そのためには

劇的変化を遂げている

教育AIの効果的な活用も

大きなポイントとなります

 

例えばテストの問題を作成する際に

問題集の問題文を読み込ませておいて

「〇〇な出題方法に書き換えて」

とお願いするだけで

オリジナル問題を作成することができます

これまで莫大な時間を要していた

テスト問題づくりの時間を

劇的に削減することができます

 

このことで捻出できた時間を

生徒に寄り添う時間に費やすことができます

AIがどんなに進化しても

教員にはなれないといいます

教員の最も大切な仕事は

「寄り添う」ことと

「勇気づける」ことだからだそうです

 

今回の震災で

私は痛いほどそのことを実感しました

「学校にどんな支援が必要か?」

と尋ねられた時に迷わず

「授業をしてくれ」

とお願いしました

被災地の教員にしかできない仕事は

「寄り添う」ことと

「勇気づける」ことだからです

このことを私は

一言も口にしたことはありませんでしたが

先生方一人ひとりが

実践してくださっていました 

支援される側から支援する側へ

地震から 531 日目

豪雨から 267 日目

 

一昔前アメリカであった話です

 

ある国道沿いに

チキン料理が美味しい

こじんまりとした

レストランがありました

 

ところがある日この町に

新しいバイパスが作られる計画が

浮上しました

 

これまで

国道を通るドライバーによって

支えられていたこの店は

廃業のピンチに追いやられます

 

年老いた店主は

バイパス沿いに新しいお店を構える

資金も気力もありません

 

そこで考えた店主は

新しくバイパス沿いに出店する店に

持ちかけます

「うちのレシピを提供します

 その代わり

 売り上げあるごとに

 その◯%をいただけませんか」

 

新しいレストラン側にしてみても

これまで人気だったこの地方の料理を

そのままメニューに加えることができることは

大きなメリットです

 

世界初のフランチャイズ制の誕生です

 

この年老いた店主の名は

カーネル・サンダース


さて学校では

「臨時子ども食堂 in 輪島」

の下ごしらえが始まりました

 

 

 

 

 


さいたま子ども食堂ネットワークさまの

ご協力によります

 

 

 

 

 

 

まず、炊飯からです

 

 

 

 

 

 

9つの電気釜をフル稼働させるため

調理室以外に空き教室などに

分散させて炊いています

 

 

 

 

 

 

一気に一部屋で炊くと

ブレーカーが落ちるからです

避難所運営で得た知恵です

 

 

 

 

 

 

最初のご飯が炊きあがりました

美味しい匂いが漂っています

続々と応援に来られるボランティアの方々は

案内しなくても匂いにつられて調理室へ

 

 

 

 


 

炊きあがったご飯は

チキンパエリアになります

ケンタッキーフライドチキンさまの

協力を得ているそうです

 

本日

普通コースの3年生は模擬試験をしています

何人かお手伝いしたい生徒もいたのですが…

模擬試験を受けに来る3年生にも

振る舞っていただけることとなりました 

 

学校での準備を終えいざ会場へ

 

 

 

 

 

 

中心となっている岡本先生からのレポートです

「さいたま栄高校さんの

 総合探究部の生徒さん6名と

 引率の小野先生も

 お手伝いに来てくださいました

 さいたま市子ども食堂ネットワークの本間さまをはじめ

 たくさんの方が来てくださり

 マリンタウンが大賑わいでした

 

 

 

 

 

 

 物資を運んでくださったデコトラや

 大きなはしご車もに集結していました

 輪島高校生は

 セッティングから参加させていただき

 物資の配布をしたり子どもたちと遊んだり

 

 

 

 

 

 

力持ちたちは荷物の運搬

 

 

 

 

 

 

 そして片付けまで携わらせていただきました

 

 11時の開始後は

 『輪島にこんなに子どもたちがいたのか!』

 と思わず口から出てしまうほど

 子ども連れのご家族や小中高校生でにぎわっていました

 

 そんな様子を見た生徒からの感想をいくつか紹介します

 

 子どもたちとの遊びの補助をした3年生

 (田中さん 上田さん 吉浦さん)

  『いつもはお世話してもらう側だったけれど

   今回お世話する側だったので

   周りのことを注意深く見たり

   何が必要かを考えたりすることができた』

 

 物資の配布をお手伝いした2年生

 (谷内さん 上田さん 大岩さん 川口さん)

  『とても楽しかった!

   今度は自分たちでも

   このようなイベントを企画したい!

   たくさんの方々が支援に来てくれて

   うれしいしありがたい

   輪島市外の方々に

   いつもこういった企画で

   輪島を元気づけてもらっているので

   市内にいる自分たちも

   中心となって輪島を盛り上げたい

   ありがとうと言ってもらえたのが

   とてもうれしかった』

 などなど

 有志のメンバーに加え

 練習後の男子バレー部もかけつけてくれ

 総勢25名の生徒と4名の教員が参加しました

 

 

 

 

 

 

 ネットワークの本間さまから

 企画のコツやアドバイスもいただきました

 自分たちでも輪島を元気づけられるような

 企画を考えていきたいと思います

 そして何よりも

 いつもたくさんの方々に

 支援していただいているということが

 とてもありがたく感じています

 色々な経験をさせていただき

 輪島からさらに日本を元気づけられるような

 活動ができたらいいなと思います

 キリコ太鼓を演奏してくれた小1の男の子と

 高校生のコラボの写真です

 

授業の感想 なぜ書かせるの?

地震から 530 日目

豪雨から 266 日目

 

朝日新聞の投稿欄

ある女子大生が

「授業の感想なぜ書かせるの?」

と問題提起していらっしゃいました

 

授業の内容に対する意見なら

考えを整理する意義を見いだせる

だけど単なる感想であるなら

書いても意味がないと

疑問に思っていらっしゃいます

 

私も大学時代そんな教授に出逢ったことがあります

毎回

「私の講義に対して建設的に意見を述べよ」

と感想を課されました

国語がからっきし弱い私は

「建設的」の意味がわからず

勝手に「批判的に」という意味と勘違いして

講義の悪口を延々と書き続けていたのでした

しかも

講義内容には大学生が反論できる要素などなく

仕方ないので

「先生があの場面で飛ばしたギャグは

 全く笑えませんでした」

のようなどうでもいい感想に

ならざるを得ないのでした

おかげさまで

皆出席で試験もそこそこできたはずなのに

「不可」つまり不合格

教授はよほど腹に据えかねていたものと

思われます

あとで友達に相談して

ようやく「建設的」の意味がわかり

後悔したのでした

 

国語は大事です

 

彼女は続けます

「感想は個人の気持ちであり

 正解がないものなので

 書いても評価されにくく

 形だけの作業になってしまいます」

 

なるほど

私自身振り返ってみると

感想文に本心を書いたことが

一度もないことに気づかされました

こんなことを書いておけば先生が喜ぶだろうと

そして点数が上がるだろうと

 

でもなんか

そのときの経験が

このブログに役立っているような気もします

このブログはほぼ本心を適当に書いてはいますが

言葉選びには細心の注意をはらっています

改行の位置とか

漢字にするかひらがなにするかとか

特に読み手が不快にならないように

このことについては

びくびくしながら何度も読み返しています

 

彼女は

書き方指導の必要性にも言及したあとで

こう結びます

「なぜ感想を書くのか

 どんな力を身につけさせたいのか

 目的をきちんと伝えるのが大切です」

すばらしいです

ぜひ教員になっていただきたいと思います

きっといい先生になると思います

日本語の使い方あれこれ

地震から 529 日目

豪雨から 265 日目

 

朝一番に学校に着くと

機械警備の解除から始まります

操作を完了すると

「解除になりました」

と機械のアナウンスが・・・

 

この日本語に

ずっと違和感を持っておりまして

「解除」ってなるものか?

「解除しました」あるいは

「解除されました」じゃないのか?

「なりました」を使いたければ

「解除状態になりました」

じゃないとおかしくないか?

自分の日本語力がおかしいのか?

朝から悶々としています

 

同じようなことが以前にもありました

化学の教科書には

「安定な電子配置」という文言が

当然のように使われていますが

「安定した電子配置」の方が正しくないか?

気になって国語の先生に質問したところ

「これは形容動詞の〇〇化といって

 ♯※〒△☆♂だから文法的に正しいのだ」

と教えていただいたのですが

何をおっしゃているのやら

という感じでいまだに???です

 

「万博会場を訪ねた人は・・・」

という記事を最近目にしましたが

これもおかしくないですか?

「訪れた」の間違いでは?

ひらがなひとつでもやもやしています

 

Google先生に尋ねてみました

「訪ねる」は

訪問する おとずれる

 

「訪れる」は

訪問する たずねる

 

えー?

 国語辞典の

「右」= 左の逆

「左」= 右の逆

と同じやないかい

 

さらに調べてみると

「訪ねる」はある場所へ行く

「訪れる」はある目的があってその場所へ行く

とありました

 

なるほど

「万博が見たい!」という目的があるから

「万博会場を訪れた人」の方がしっくりきたのですね

でも特段目的もなく来る人は

「万博会場を訪ねた人」になるのか

まんざら間違いでもないのですね

 

「春が訪れる」とはいいますが

「春が訪ねる」とは言いません

ということは

春は明らかに目的を持って来ている

ということなんですね

 

もうひとつ

「春が訪れる」は自動詞的用法です

立ち位置が自分にあります

自分に向かって「来る」イメージです

一方で

「春が訪ねる」は他動詞的用法です

違和感を生じるのでは

どこそこへ「行く」イメージだからです

 

「春が来た」とは言うけど

「春が行った」とは言わないのと同じです

 

外国語でもよく似た例があって

フランス語では例えば

「遊びに行くよ」って言うとき

「Je viens(I come)」と言って

「Je vais (I go)」とは言いません

立ち位置が相手にあるのです

 

もひとつ

武田鉄矢さんが「今朝の三枚おろし」の中で

こんな話をされていました

武田さんの曲に

「思えば遠くへ来たもんだ」

という曲があります

これは中原中也の

「思へば遠く来たもんだ」

 のオマージュなんだだそうです

「遠く来た」

はこれまでの道のりにフォーカスがあって

出発点はさほど重視されていない

鉄矢さんは

出発点の博多を強調したくて

「遠くへ来た」

と「へ」を入れたんだそうです

「に」を使い

「遠くに来た」にしてしまうと

到達点がフォーカスされて

旅が終わった感が出てしまいます

「遠くへ来た」には

旅がこの先どうなるかわからない

そんな寂寥感があります


本日

教育実習生の研究授業が行われます

指導教員の中野智貴先生も

日本語の使い方に気をつかっています

「本日実習生の研究授業があるので

 お手すきの先生は

 参観の上ご指導よろしくお願いします」

中野先生の気づきは

「そもそもお手すきの先生なんているのか?」

とてもいい視点です

これまでのフォーマットを前例踏襲せず

どうすれば多くの先生に見ていただけるか

しっかりと考えています

 

 

 

 

 

 

どんなふうにアナウンスしたのでしょうか?

たくさんの先生が観に来ました

 

放課後に生徒を呼び出すとき

「〇〇さん

 校内にいましたら

 ◇◇まで来てください」

と校内放送される先生もいますが

そもそも校内にいなければ

放送を聞いているはずもないので

なんか無駄なフレーズです

それどころか聞いた方としては

「校内にいなければ行かなくていいのか

 たいした用事じゃないな」

来ない可能性まであります

今日の授業

地震から 528 日目

豪雨から 264 日目

 

なんやかんやで外に出ることが続き

今日は久々に丸一日学校にいます

授業の様子をゆっくり見に行きました

 

1年1組「情報Ⅰ」山﨑先生

 

 

 

 

 

 

 

1年2組「現代の国語」山本先生

 

 

 

 

 

 

 

1年3組「地理総合」竹田先生

 

 

 

 

 

 

 

2年「数学Ⅱ」習熟度別 端谷先生

 

 

 

 

 

 

橋元先生

 

 

 

 

 

 

今田先生

 

 

 

 

 

 

 

ビジネスコース3年「国語表現」松本先生

 

 

 

 

 

 

 岡本先生

 

 

 

 

 

 

 

3年「英語」習熟度別 加藤先生

 

 

 

 

 

 

 櫻庭先生

 

 

 

 

 

 

お気づきになりましたか

教室を半分に仕切って

勉強しているクラスがあります

 

震災で危険判定を受けた教室を使えないので

工夫を凝らして授業を組んでいるのです

 

もうひとつ

生徒の取り組む姿勢見てください

全ての生徒が背筋を伸ばし

緊張感を持って授業に臨んでいる様子

校長がカメラを向けたから・・・

ではありません

発災以降

生徒の学習に取り組む姿勢は

明らかに変わってきています

 

特に1年生は

授業中の発言も活発で

学びに向かう姿勢が素晴らしいです

震災で中学校で勉強できなかった分を

しっかり取り戻せると思います

伸びしろが充分です

 

1年生は実は

OECD(経済協力開発機構)による

PISA の学力テストの抽出対象となっています

「日本の高校生の数学スキルは高いが

 自己肯定感に劣る」

など世界の子どもたちの学力等を調査して

各国の教育施策の指針となるテストです

 

7月23日に実施予定です

抽出された生徒のみなさんはがんばって・・・

いやがんばらなくていいので

いつもの調子で協力をお願いします

 

震災が学力や生活習慣にどのような影響を与えたか

そしてこの先どのような支援が必要か

重要なデータとなりうると思います


今日は

ビジネスコースの2・3年生および

普通科の専門学校志望者を対象に

進路ガイダンスが行われました

専門学校や企業の方をお招きして

生徒たちと直接質疑応答できる機会を持ちました

 

 

 

 

 



お世話になっているアナウンサーの原田幸子さま

いつもすてきなお便りをくださいます

 

 

 

 

 

 

 

 

「庭では蜘蛛の赤ちゃんが卵からかえり
 まさに蜘蛛の子を散らした状態です
 一つ一つが命なのだと思うと愛おしいです

 

 

 

 

 

 

 


 この世であえて嬉しいよ
 一匹一匹に声をかけたい気分です」

小さな生き物が大好きなんですね

観察眼も素晴らしいです

私はこんなの見つけたことないです

ついでに自然にいる「たつのおとしご」も

見てみたいです

どこにいるかご存じの方

どうか教えてください