2025年2月の記事一覧

Build back better

地震から 425 日目

豪雨から 161 日目

 

こちらは石川県教委が準備してくださった

住む家をなくした能登地区の教員のための住宅です

 

 

 

 

 

 

小中学校の先生方16名が入居しています

廃校となった中学校の跡地に立っています

私は正直退職まで校長室に寝泊まりする

覚悟でいたのですが

おかげで風呂に入れる生活ができています

本当に感謝です

 

湿気がひどくてすぐ壁に青かびが生えます

ペニシリンでも作って商売しようかと考えています

 

写真手前が駐車場なのですが

田んぼのようなぬかるみ状態

 

そこで先生方は自然発生的に新しい駐車場を

定め利用するようになりました

 

 

 

 

 

 

 

隣には新たな棟の建設が始まっています

 

もともと能登地区には

アパートが不足しており

飯田高校の先生がようやく見つけたのが

輪島のアパートで

輪島高校の先生がようやく見つけたのが

飯田のアパート

60kmほど離れた学校に

お互い1時間以上かけて通勤するなど

相当お間抜けな状態が日常化していたので

その解決策にもなるのかなと思います


春になると仮設校舎の建設が始まり

早ければ秋からの運用を考えています

 

こちらは旧職員室

最も傾きの激しい2号棟にあります

写真が曲がっているのではありません

部屋がもうゆがんでいるのがわかると思います

 

 

 

 

 

 

先生方がいっせいにこの部屋に入り

仮設校舎へ運ぶべき荷物の

整理を始めました


このブログを読んでくださった

国連開発計画(UNDP)シリア事務所等で活躍された方から

お便りが届きました

”Build back better”という

国連機関の災害復旧支援の合言葉を

教えていただきました

ハード面で被災前より良い施設や生活基盤を作ろう

というのが本来の意味です

「災害復旧は現場復帰が基本

 それ以上にする贅沢は許されない」

とする日本の行政のあり方は改めるべきです!

とはいえ金が無尽に湧いて来るわけではないですからね

難しい問題です

 

もうひとつこの言葉には

「被災した個人やコミュニティが

 その経験を共有することが

 他の地域の人たちにとって深い学びになる」

という意味も込められているそうです

このブログが他の地域への経験の共有という意味で

役に立てばいいなと

背中を押していただいた思いです


以前本校に勤めていた玉置先生が

赤ちゃんを連れて遊びにきてくれました

玉置先生のご実家は

珠洲で珪藻土の七輪の切り出しをされていて

以前の地震で工場が全壊

復旧して再開していたのですが今回また…

元気な赤ちゃんは現在8ヶ月

被災して避難生活が続く中で

それでもこの世に生を受けました

「珠洲の海で生きる」と書いて

生珠(うみ)ちゃん

とっても素敵な名前です

ココスクとPTO

地震から 424 日目

豪雨から 160 日目

 

学年末考査3日目

教室では生徒が残って黒板を使って

自主的に教え合いの学習会を開いています

 

 

 

 

 

 


こちらもマンツーマンでの指導

英検の練習です

 

 

 

 

 

 


稲舟地区の危険区域立入禁止の指定がはずれました

発災以来初めて立ち寄ってみました

 

 

 

 

 

 

以前あった道路の脇に

新しく登る道路を建設中です

 

 

 

 

 

 

坂道から見下ろすと

全く手つかずの家がそのまま残っています

 

 

 

 

 

 

坂の上にある輪島市営野球場は

まったく使いものになりません

 

稲舟地区にはかつて輪島実業高校があり

閉校後は野球部がグラウンドを活用していました

 

 

 

 

 

 

野球部が使っていたグラウンドは

崩落こそしているものの

中央部は使えそうです

 

 

 

 

 

 

稲舟校舎(旧輪島実業校舎)は

亀裂が走り建物が傾き窓も割れていました

 

 

 

 

 

 

こちらは輪島市総合体育館

使えそうもないですね

 

子供たちが思いきり運動できる場所が

ことごとく壊されています

輪島高校の施設で使えるものがあったら

お貸ししたいと考えています


さて被災した状況で

これまでどおりのPTA活動なんかムリ!

というわけで

「楽しいことだけやろう」

「できる人だけでできることだけやろう」

昨年1年間こんな感じで

PTA活動をやってまいりました

 

一部の役員が苦労して電話して仲間を募り

無理矢理組織していた各種委員会

これも廃止する

次年度はそんな方針で臨みます

 

PTAは本来

学校と保護者が協力して

子供たちの健やかな成長を見守り

よりよい学校生活のために

活動すべきもの

 

それがいつしか

無理矢理役員を引き受けてもらって

一部の役員だけが苦労して

前例踏襲のためだけに

漫然と続けている

そんな組織になっていました

 

全国を見ても

PTA活動の見直しを進めている学校が

ちらほら見られます

 

まずは兵庫県川西市の保護者グループ

「ココスクール(Connecting Community School)」

1つの中学校と3つの小学校で編成しました

ニックネームは「ココスク」

こどもたちをココでスクすく育てる

という意味が込められているそうです

 

役員はなし

参加資格は全保護者と全教職員

 

活動の方針は

「子どもの命や安全に関わること」

「学校が必要とするときに繋がれること」

のふたつのみだそうです

 

ただ個人の声だと届かないことが

組織のだとしかるべきところに届く

なのでなくすることだけは避けました

なくなることで

子どもたちにしわ寄せが行くことだけは

避けなければなりません

 

また東京都のある小学校の

「PTO(Parents Teacher Organization)」

Oには「応援団」という意味もあるそう

「できるときに

 できる人が

 できることだけやる」

会員が好きな活動を

好きな時に手伝うボランティア制です

 

これらの先進校の事例を参考に

本校もPTA活動のあり方を

見直していきます

 

保護者と教職員全員が会員です

「やってくれてありがとう」で済まさず

全員が会員である思いを持った

組織になればいいなと思います

 

「それでも輪島にいる」

みなさんへのお願いです


【今週の生徒の叫び】

校長ブログを読んだ生徒が書いてくれた

コメントを紹介するコーナー

 

今日は2月7日「能登の我慢を日本の前提にするな」

のコラムを読んでくれた生徒からです

 

 自分達の学ぶための場所がなくなるのは嫌ですが、市民のためとなると仕方ないような気もしてきます。でも教育長さんたちがなるべくグラウンドのスペースが空くようにしてくださっているのがとてもありがたいです。地震が起きてから関わってくださる人や起きる前から関わってきた人、皆に感謝して受けた恩を忘れずに日々生きていきたいです。やる気があれば工夫のしかた次第でどうにでもなる。《尾崎 煕》

卒業制作ができました

地震から 423 日目

豪雨から 159 日目

 

学年末考査の2日目

生徒が熱心に質問に訪ねてきます

 

 

 

 

 

 

部屋もないので

寒い廊下で質問対応です


「動物と共生するまちづくりの会」

の石津佐智子さまより

お便りをいただきました

 

この会は

災害発生時のペット同室避難について活動なさっており

今回

「避難情報発令時、全市民が徒歩で行ける範囲に

 最低一か所の『ペット同室避難』可能なスペースを

 確保することを求める署名」

4,835筆を明石市に提出されたそうです

 

議会本会議のあと議長に請願書を提出され

全会派の推薦を得られたとのことです

市長に署名簿を提出し

防災担当部長 環境局長 教育委員会課長にも

訴えかけられたそうです

ここから第一歩を踏み出されることとなりました


大成建設さんとコラボして進めてきた

「転生プロジェクト」

災害ゴミに新たな命を吹き込むプロジェクトです

 

 

 

 

 

 

ビジネスコースの3年生が

卒業制作として取り組んでいたベンチ

完成して校庭に設置されました

 

 

 

 

 

 

被災地の瓦や漁網などを転生させました

表面の網目模様が漁網です

 

 

 

 

 

 

 

 

これから校庭でみんなを見守っていきます


【今週のありがとう】

 金沢大学 上原 爽世花 さま

「能登写真展」成功裏に終わったことと思います

 

福田圭一監督はじめ遊学館男バレのみなさん

横断幕ありがとう!これからもよろしく!

 

For Michael Blayde's Mom

Thank you for the christmas card.Your son is doing well.

 

石川教育公務員弘済会のみなさま

助成事業への採択ありがとうございます

 

作曲家 弓削田 健介 様

「フェニックス」素敵な曲ありがとうございます

 

※このコーナーでは

 これまでご支援いただいた方々を紹介させていただいています

それでも輪島にいる!

地震から 422 日目

豪雨から 158 日目

 

「ぼくらの街はぼくらがつくる」

輪島高校では生徒が

街づくりプロジェクト「街プロ」

に取り組んでいます

 

 

 

 

 

 

先週

一年生4名と三年生3名が

鳥羽市にあるプラスチック再生工場を

見学してきました

 

 

 

 

 

 

今のプラスチックの状況や廃棄物処理の方法など

詳しくみっちり見学させてもらいました

 

 

 

 

 

 

 

 

特にまるでアートのようなアップサイクルプラが

分別された破材から高温圧縮で加工される様を

興味津々でみてきました

 

 

 

 

 

 

輪島漁業組合から分けてもらった

廃棄扱いだった漁網が

どんな色合いで生まれ変わるか楽しみです


また先日小松大谷高校で練習試合をした

男子バレーボール部が

横断幕をいただいてきました

これは県内高校のバレーボール部が

春高バレーに出場する小松大谷高校さんに贈った

心をひとつにしたメッセージです

今回被災地のために想いを繋いでくださり

本校へとバトンリレーしてくださいました

 

 

 

 

 

 

このもようは

26日(水)夕方

石川テレビの

「石川さんパレット」で放送されます


今日から学年末考査が始まっています

みんな真剣に取り組んでいます

 

 

 

 

 

 


それからサプライズなお客様

 

 

 

 

 

 

五年前に本校に留学生として通っていた

キーガン君が訪ねてくれました

すっかりたくましく成長された彼は

現在カナダの大学で心理学を学んでいます

本校在学時代

一生懸命勉強していた図書室や

お琴の練習に励んでいた和室など

懐かしそうに見学していきました


それから本日は学校評議員会が開催されました

 

 

 

 

 

 

委員長の橋田宏幸先生より

「それでも輪島にいる」

こどもたちのために

高校ができることは何か

しっかり考えながら

教育活動を行ってほしいとの

お言葉をいただきました

 

橋田先生は

輪島女子ミニバスチーム

「レッドイーグルス」を率いて

能登から日本一の偉業を成し遂げるなど

その功績が認められて

先日

「いしかわ中日体育賞」を受賞なさいました

 

「それでも輪島にいる!」

このことばを

これからの輪島高校の

キャッチコピーとさせていただきます


さて国土交通省は

航空大学校において

入学用件に定める158cm の身長制限を

撤廃する方針を固めたそうです

 

国内の操縦士の約4割を輩出している

航空大学校では

女性パイロットを増やすことを

検討しています

 

身長が158cm未満でも

操縦装置に手足が届けば問題ない

とのことです

 

昔身体計測で座高を測っていましたが

それも戦時中にパイロットになれるかどうかを

判断する基準だったと聞いたことがありますが

実際どうだったのでしょう?

 

一般的な説明としては

内臓が十分発育すれば

胴が長くなる

すなわち胴長短足は順調な成長の証

と言われていましたが

その割に私は

すぐに腹をこわしますので

胴の長さのわりには

内臓が充分に発育していないようです

 

現在学校の名簿は男女混合ですが

21世紀初頭までは

男女別名簿を使用していました

男子がさきで女子があと

ジェンダー問題から

今の形に落ち着きましたが

当時はその是非について

よく議論されていました

 

さらに昔は

50音順ではなく生まれ順

つまり生年月日の順に並んでいました

4月26日生まれの私は

いつも3番か4番でした

これはなぜか調べてみましたが

明確な答えが見つかりませんでした

私はこれは

戦時中の徴兵順ではないかと考えています

早く成人した男子から徴兵するためです

 

どなたかご存じの方教えてください

 

ところでうちの孫娘のうーちゃんは

身長制限により遊園地の乗り物にまだ乗れません

3連休も終わりですね

地震から 421 日目

豪雨から 157 日目

 

3日間まるごと豪雪に翻弄され

挙げ句の果てには朝早く余震が来るなど

退屈しない連休ではありました

 

全国的に見ると

さまざまなイベントが行われているようで

平和でいいなと羨ましくも微笑ましい3日間でした

 

北海道では「昭和新山国際雪合戦」が開催され

全国から127チームおよそ1200人が参加しました

雪合戦の聖地で熱い戦いが繰り広げられました

また温泉のまち静岡県伊東市では「枕投げ大会」が開催され

全国から集まった48チームが浴衣姿で戦いました

 

こういったおまぬけなことを真剣にやることが大好きな私は

いつか輪島高校でチームを編成して

挑戦させたいと考えています

 

こういうおまぬけな大会は世界的にもたくさんあって

教育大国フィンランドにおいて

その傾向は顕著です

 

まずは「世界ヘビメタ編み物選手権大会」

フィンランドで特に人気のある

ヘビーメタルのライブをバックに

これまたフィンランドで人気の編み物をするという

訳のわからない大会です

そしてなんと第1回大会の優勝者は

日本人だそうで

なかなか日本も教育大国という意味では

負けていません

 

それから「蚊叩き選手権」

蚊が多い地方で

蚊をやっつけることを大会にして

村おこしをしちゃったという事例です

 

これらのフィンランドネタは

大好きなポッドキャスト番組

「そんない雑貨店」からの引用です

とっても面白いのでぜひ聴いてみてください

 

さて先日亡くなられた森永卓郎さんが

週刊誌に連載していたコラムの最終回を

読ませていただきました

 

命を削って書かれた最期のコラムには

このように書かれていました

 

「今後は定型的な仕事は

 どんどんAIに置き換わる

 数多の職業が淘汰される中

 最後まで残る仕事とは何か?

 それは『アート』だ

 職場で新規授業を生み出す創意工夫をはじめ

 『創造力』を源にした仕事は全てアートだ」

 

先述の「枕投げ大会」は

地元の高校生の発想が元になっていますし

 

「ヘビメタ編み物大会」は

一見無関係なものを組み合わせて

新しい価値を生み出したもの

 

「蚊叩き大会」は

弱みを強みに変えた好事例です

 

いずれも見事な「アート」です