2025年5月の記事一覧

しるもしらぬもあふかたのせき

地震から 512 日目

豪雨から 248 日目

 

発災以来ずっと寄り添ってくださっている

福岡第一高校さん

世界一の体育祭「夜の体育祭」に

今年は生徒会の生徒を連れて

行ってまいります

 

以前お伺いした際に

校長先生から未来の教育について

お話を伺いました

 

「数学や理科など生徒の得手不得手の激しい教科は

 全て選択制にしてレベルの高い教育を施し

 全員に学ばせるのは

 真に全ての生徒に必要な教科に絞るとよい

 その教科は国語・英語・歴史である」

 

歴史や古典を嫌いな生徒から

「なんで昔のこと学ぶ必要があるのか?」

という声を聞きます

 

私は発災以来

歴史を学ぶことの大切さを

身をもって知ることができました

 

たとえば

 

江戸時代の新井白石の随筆『折たく柴の記』

「この日の午時雷の声す

 家を出るに及びて

 雪のふり下るごとくなるをよく見るに

 白灰の下れる也

 西南の方を望むに

 黒き雲起こりて

 雷の光しきりにす。」

これは何のことを書いていると思いますか?

富士山「宝永の大噴火」の様子です

 

最初の火山灰は白灰であったが

やがて黒灰に変わっていることで

火山灰の成分の変化を読み取ることができます

 

ここで地学のメガネ

東京大学の発掘調査によると

薄い白い灰の上に黒い火山灰が約2cm積もっていることが

確認されています

 

ここで物理のメガネ

黒い灰が後から降り積もったということは

黒い灰の粒子は細かく

長時間にわたって大気中を飛散していたことがわかります

 

ここで保健体育のメガネ

この頃多数の住民が

呼吸器疾患に悩まされていた記録が残っています

 

再び古典のメガネ

当時の狂歌でこのように歌われています

「これやこの 行も帰るも 風ひきて 知るも知らぬも おほかたは咳」

これは何のパロディかおわかりになりますか?

百人一首にある蝉丸の

「これやこの行くも帰るも別れてはしるもしらぬもあふさかの関」

です

 

奈良県大和郡山市教育委員会の「豊田家史料」には

宝永噴火の際に採取された火山灰が

紙に包まれて保管されているそうです

 

そのほか噴火が10日間にわたって続いたこと

火山灰が用水に詰まって水の供給が絶たれたこと

も記録に残っています

 

このように歴史を紐解くことによって

未経験の災害であっても

どのような準備が必要か予測することができるのです

 

噴火が収まった後は

富士山への参詣客が殺到したそうです

漁師や百姓が観光業に転職して

収集がつかない状態になりました

もともと参詣客を相手にしていた元締めが

転職に制限を加えるようになったそうです

 

輪島に例えると

朝市復興後多くの店が乱立し

既存の朝市組合との間にいざこざが起こる

みたいなことでしょうか

そんな日がいつか来るといいなとは思いますが 


以前本校で「車いすバスケ」をしてくださった

フォースタートさんがまた来てくださいます

6月20日(金)13:50~です

どなたでも参加できますので

どうぞお越しください

 

 

 

 

 

 

 

 

【被災地に電気が灯るまで】第39回

 発電と電池の仕組みについて学び

 エネルギー問題の解決を目指すこのコーナー

 

充電のできる電池「鉛蓄電池」

のしくみについて学び

鉛と酸化鉛

どちらが負極つまり電池のマイナスか

考えてもらう宿題を出しました

 

それぞれが起こす反応は

 Pb + SO42- → PbSO4 + 2e-

 PbO2 + 4H+ + SO42- + 2e- → PbSO4 + 2H2O

これを見るとPb の式の右辺に

新たな電子 e が2個生まれているので

Pb が負極ということになります

 

「鉛蓄電池」は

低温環境への強さと制御の容易さに加え

メモリー効果がないのが最大の特長です

 

メモリー効果というのは

充電を繰り返すと容量がだんだん小さくなる現象です

携帯電話なんかでも

あんまり充電が減っていないのに

小刻みに充電すると

バッテリーの寿命が短くなってきますよね

あれです

 

私は人間のバッテリーも同じであると

最近しみじみ感じており

どんなに夜遅く寝ても

朝の4時には目が覚めて

それから眠れなくなるのです

つまりフル充電までの時間が

極端に短いのです

電気容量が限りなく小さくなっているようです

その証拠に朝の10時頃に充電が切れ

大事な話の最中にコクっと

いきなりブラックアウトすることがしばしばです

困ったもんです

その度に目を閉じて考えていたふりをしていますが

きっとバレていると思います

 

「鉛蓄電池」は自動車において主流でしたが

現在ではEVの普及に伴って

リチウムイオン電池の方に注目が集まっています

 

次回から

もっとさまざまな電池について

学んでいきましょう 


今日は東京で校長会

その後福岡へ向かいますが

車窓から富士山が見えました

 

日曜日の死刑囚

地震から 511 日目

豪雨から 247 日目

 

日曜日

ある死刑囚に言い渡されました

「おまえの死刑執行が今週に決まった

 土曜日までに執行される

 何曜日かは伝えない

 ただし条件をやろう

 もし死刑執行の朝に

 その日執行されることを言い当てたら

 おまえを無罪放免としてやろう」

しばらく考えた死刑囚は

「ありがとうございます

 無罪放免ですね!」

その言葉のとおり死刑囚は無罪放免となりました

 

なぜか?

死刑囚はこう答えたのです

「土曜日に執行されることはありえません

 なぜなら土曜日まで執行が伸ばされたら 

 わたしはその日の朝に

 言い当てることができるからです

 

 土曜日の執行があり得ないのであるなら

 金曜日もありえません

 なぜなら金曜日の朝に

 言い当てることができるからです

 

 同じように木曜日水曜日そして今日も

 死刑執行はありえません」


先日火災避難訓練を行いました

より実践的な訓練とするため

時刻を伏せて行いました

さらに出火想定場所も予め示さず

放送を聞いて

避難経路を各自で判断するよう指示しました

 

実施後の生徒アンケートでは

99.5%の生徒が

積極的に取り組むことができたと回答しました

 

訓練時刻を伝えずに実施したことについても

「実際の火災はいつ起こるかわからないから」

「危機感を持って臨むことができた」

「判断力をつけるのによい訓練だった」

「自分達で考えて動くことができた」

「事前に避難経路をシミュレーションしていた」

など肯定的意見が91.5%を占めました

 

ただ一方で

「着替え中だったらどうするのか?」

「いつ実施されるのかわからず授業に集中できなかった」

という課題も見つかりました

さらには

「6限目にならなかったから

 7限目にあると予想できてしまった」

とさきほどの囚人の話のような感想も

 

そのほかの感想では

 

「ベルで放送が聞こえなかった」

放送機器そのものが使えない設定も

考える必要があります

 

「休み時間にやるのはよくない」

休み時間だからこそ意味があるのです

各自で考えて動く必要があるからです

 

「時間をちゃんと知らせて欲しいと思った」

時間を知らせないからこそ意味があるのです

次回はその日にやることすら知らせず実施します

 

正常化バイアスがかかっていたことに

気づいた生徒もいて

意味のある避難訓練になりました

 

今後もより実践的な避難訓練を計画していきます


511日前のあの日

私が最初にした仕事は

「学校には参集するな!」

規則に反した職務命令を

職員に一斉メールすることでした

 

危機管理マニュアルには

「震度6強以上の地震の際には

 全員学校に直ちに参集すること」

とあります

 

ところがこれには重大な視点が抜けています

「職員も被災者である!」

ということです

 

今回の地震はいつもと違う

そう直感した私は

「自分の命と家族を守れ」

このことを最優先するよう指示したのです

間違ったことをしたとは

微塵も思っていません

集まっていたら

最悪誰かが命を落としていたでしょう

「学校に行くべきか迷っていた」

という先生の話を後から聞きました


【今日のじょーおこらいえ】

生徒が校長ブログを読んで書いてくれた感想を

紹介するコーナー

 

今回は2月9日「ゆでたまごを科学する」を読んで

 

「イタリアの研究チームが

 最適なゆでたまごの作り方を

 科学的に解明したという文章に

 とても目を惹かれて記事を読みました

 温度の伝わり方を

 コンピューターシュミレーションするなど

 大掛かりな研究をされているようで

 完成したゆでたまごにどれほどの費用がかかり

 どれぐらいの価値のあるものに仕上がったか

 聞いてみたくなりました

 さらにリーダーは卵料理が嫌いだと知って

 本当に驚きました

 「好きこそものの上手なれ」と言う言葉もあり

 私は好きな人にしか辿り着けない何かがある

 とこれまで信じてきましたが

 考え方が大きく変化しました

 嫌いな人だからこその

 別の目線や視点で見ることの大切さを

 学べた気がします

         《匿名希望》

和倉温泉に咲く花

地震から 510 日目

豪雨から 246 日目

 

発災以来ずっと気になっていた場所が

いくつかありまして

今どうなっているのか

今日はそのひとつ和倉温泉にある

とあるお店を訪ねてみました

 

 

 

 

 

 

和倉温泉街も被害が大きく

多くの宿が傾き崩れ解体されていました

 

 

 

 

 

 

そんな中でお目当てのお店は Blossom

私が七尾高校に勤めていた時の生徒

野球部にいた黒川恭平さんが

ご家族で経営されているお店です

和倉温泉でお泊まりする時に

よくお世話になり

美味しいワインとお料理をいただいていました

 

被災後3ヶ月で壊れたお店を修理して

水道の復旧とともに営業を再開されたとか

あまりに美味しそうで食べるのに夢中で

写真を撮り忘れ

デザートを食べ終わる頃にようやく一枚

 

 

 

 

 

 

デザートはお姉さんの手作りガトーショコラ

これも絶品でした

以前特別にホールのクリスマスケーキを

作っていただいたことを思い出しました

 

 

 

 

 

 

被災後も料理コンテストに挑戦

本当に美味しいお料理でした

 

 

 

 

 

 

店先には多くの方々からの

激励メッセージが飾られていました

 

能登半島のあちこちで

それぞれの人が

それぞれの場所で

復興に向けて歩んでいます


【被災地に電気が灯るまで】第38回

 発電と電池の仕組みについて学び

 エネルギー問題の解決を目指すこのコーナー

 

充電のできる電池

「鉛蓄電池」を学んでいます

 

発明以来さまざまな工夫が重ねられ

電極には鉛と酸化鉛

電解液には希硫酸を用いるようになりました

今日は「鉛蓄電池」の仕組みをもとに

化学反応式の書き方を練習してみましょう

 

鉛の化学式は Pb

酸化鉛は PbO2

希硫酸は H2SO4 です

電離すると

 H2SO4 → 2H + SO42−

 

鉛は硫酸イオンとくっついて硫酸鉛となります

 Pb + SO42-  → PbSO4 

電子 e を加えて両辺の電荷をそろえましょう

 Pb + SO42- → PbSO4 + 2e-

 

酸化鉛も硫酸イオンとくっついて硫酸鉛となります

 PbO2 + SO42- → PbSO4 

PbO2 の O は水になります

 PbO2 + SO42- → PbSO4 + 2H2O

Hはどこからきたのかな?

硫酸が電離した水素イオンです

 PbO2 + 4H+ + SO42- → PbSO4 + 2H2O

電子 e を加えて両辺の電荷をそろえましょう

 PbO2 + 4H+ + SO42- + 2e- → PbSO4 + 2H2O

 

さてここで問題です

PbとPbO2

どっちが正極でどっちが負極かわかりますか?

知識がなくても式を見ればわかりますよ

電子が生まれている方が負極です

答えは次回

白米扇枚田

地震から 509 日目

豪雨から 245 日目

 

本校の「街プロ」

まなちゃんの「みつばちプロジェクト」

に寄り添ってくださっている

アナウンサーの原田幸子さまより

素敵なお便りをいただきました


21世紀美術館で開かれている

見立て作家である田中達也さんの

ミニチュアライフ展を

見に行かれたそうです

 

ご当地をテーマにしたミニチュア作品も

 

 

 

 

 


輪島をテーマにした「白米"扇"枚田」

扇の蛇腹状の部分を棚田に見立てた作品

見事ですね

ぜひ見てこようと思います


輪島高校野球部は

これまでに二度

夏の大会で決勝戦まで

コマを進めたことがあります

 

一度目は昭和57年度

決勝戦の相手は星稜高校

2-4で敗れました

そのときのチームのメンバーは

毎朝自主的に学校に集まって

自分たちで朝練をしていたと

聞いています

 

今朝のグラウンド

 

 

 

 

 

 

朝から元気な声が響きます

春の大会星稜高校に2-3

最後に逆転を許した弱さを克服するため

生徒が自主的に集まって練習しています

 

地震前までは

稲舟グラウンド(旧輪島実業)で

練習をしていたのですが

震災を機に直していただいたグラウンドに

帰ってきました


輪島まで鉄道が走っていた頃

当時の輪島駅の駅舎は

現在「ふらっと訪夢」として

お店などが入る複合施設となっています

 

 

 

 

 

 

バス停の名称は相変わらず

「輪島駅前」なのはなぜでしょう 

 

ここの二階に

「輪島市学習センター」があります

生徒たちが放課後に集って

学習に励んでいます

 

 

 

 

 

 


【今日のじょーおこらいえ】

生徒が校長ブログを読んで書いてくれた感想を

紹介するコーナー

 

今回「どんでん返し」とタイトルがつけられています

 

「とてつもなく目をひかれた文章がふたつありました

 ひとつ目が震災から38日目の記事です

 使い捨てのOne Dayコンタクトを

 1月1日からの約1ヵ月間

 つけっぱなしだったと言うものです。

 僕もツーウィークコンタクトのユーザなのでわかるのですが

 ワンデイコンタクトは目に張り付いてくるので

 とても1ヵ月なんて無理だと思っているし

 健康面でも何か問題が生じるのではと思ってしまいます

 ですが校長先生曰く

 使い捨てコンタクトは1ヵ月問題なく使えるとのことでした

 ところがそれから2日後

 『ごめんなさい嘘つきました』と言うタイトルから

 何があったのか気になって見てみると

 『38日目のブログでとんでもない大嘘をつきました』

 とあり僕はもしやと思いました

 案の定コンタクトレンズのことで

 目の調子が悪く

 目医者に行ってみると結膜炎を発症していたそうです

 結論

 やはりコンタクトレンズは

 用法守って正しく使いましょうとの事だそうです

 不謹慎かもしれませんが

 こんな時でも賑やかで面白い人だなと感じました」

                 《匿名希望》

 

生徒に「賑やか」と褒められる校長も珍しいですね

でもありがとうございます

最高の褒め言葉です

ずっと校長室に籠っている校長には

なりたくないと思っていますので

読書タイム

地震から 508 日目

豪雨から 244 日目

  

江戸時代中期の江戸の人口100万人

そのうち成年男子の識字率は70~80%

当時のロンドンの人口86万人で識字率20%

パリの人口54万人に対し識字率10%

 

寺子屋の果たした役割の大きさについて

以前このブログでも紹介しました

 

そして江戸末期

開国を迫る欧米諸国は

普通の庶民が本屋で立ち読みしている姿を見て

「この国は植民地化できない」

と植民地化を早々に諦めたそうです

「自国を統治できないような

 無能な庶民に替わって

 我々が統治してやる」

というのが植民地化の大義名分であったからです

 

このように日本を植民地化から守り

独立国家としての資質素養を欧米諸国に知らしめたのは

お上ではなく

ほかならぬ一般庶民だったのです

 

さて今はどうでしょう?

被災地では本屋が姿を消し

立ち読みする場がなくなりました

 

これは被災地に限ったことではなく

全国においてもみられます

20世紀末2万店あった本屋の数は

今年は半数以下の1万店を切ってしまいました

 

輪島高校では毎朝の読書タイムを設定しています

何を読んでもいいです

 

 

 

 

 

 

この時間によって

1時間目の授業に

非常に落ち着いた態度で

向かうことができています

 

今のところ校長の妄想ですが

お昼の後

午後の授業が始まる前にも

実施したいなと考えています


【被災地に電気が灯るまで】第37回

 発電と電池の仕組みについて学び

 エネルギー問題の解決を目指すこのコーナー

 

2種類の金属を導線で繋ぎ液体につけると

電気が流れ出す

これまで学んできたことを

一言で表すとこのようになります

 

金属や液体を変えることにより

様々な機能を持った電池を作ることができます

 

今日は世界初の充電式電池

「鉛蓄電池」について学びましょう

 

鉛蓄電池は

1859年フランス人のガストン・プランテが発明しました

2枚の薄い鉛板と希硫酸を用いたものです

 

日本でいうと

ハリスがやってきて

「日米修好通商条約」が締結された3年後になります

日本が開国するかすったもんだしている頃

フランスではすでに自動車で用いられる電池が

作られていたわけですね

 

その後様々な改良が加えられますが

それについてはまた次回