2025年7月の記事一覧
「数学」と「地歴」のメガネ
地震から 578 日目
豪雨から 314 日目
校長研修に来ています
文部科学省の合田哲雄局長と
石川県の浅野大介副知事の対談は
見応えのあるものでした
GIGAスクール構想を構築されたおふたりの
次世代の教育への展望を聴かせていただきました
副知事からは
現在このコラムでも連載中の
教科横断型学習へのヒントもいただきました
国語 × 数学 → 証明活動を通した文章表現
社会 × 数学 → 社会的事象の統計処理と結果考察
化学 × 公共 → 公害と環境
倫理 × 生物 → 生命倫理
化学 × 家庭 → 調理における化学変化
数学 × 体育 → 動作解析とバイオメカニクス
なるほどアイデア満載です
午後からは
学校リスクマネジメント推進機構様からの
保護者対応のセミナーです
実際に最近あったケースです
ただ石川県のケースではありません
校庭で大縄跳びの練習をしていた小学生
ひとりの子がフード付きコートを着たまま跳ぼうと…
その時先生が危ないので脱ぐように
その子は従いました
ところが放課後教育委員会から先生に電話
寒いのにコートを脱がされたと
保護者からクレームがあったから
気をつけるようにと一方的に告げられます
フードが縄に引っかかった時の危険性は
少し想像力をはたらかせばわかるのに
保護者はそこまで考えが至らず
自分の子が叱られ寒い思いをさせられたことしか
頭になかったようです
保護者の言い分をそのまま受け止め
その行為の危険性を伝えようともせず
先生の側に立ってくれなかった
教育委員会もどうかと思いますが
最近増えてきたケースです
①子供の言うことが全て正しいと思い込んでいる親
②自分のことしか考えない自分勝手な親
③子供どうしでは解決しているのに納得しない親
④ここぞとばかりに威厳を振りかざす親権のない父親
⑤警察弁護士マスコミに連絡すると脅す親
⑥1時間も2時間も電話で延々話し続ける親
本校でも震災前はちょこちょこありました
以下はイメージです
「もしもし」
「はい輪島高校です」
「2年3組の担任誰や!」
(電話の向こうで「私2組」)
「おうそうか2年2組の担任誰や!」
「平野ですが…」
「その平田出せ!」
「平野はもう帰宅しました」
「ふざけるな!今何時やと思とる!」
「8時で勤務時間は終わっています」
「お前んとこの平井は勤務時間終わったら帰るんか!」
「平野ですが普通そうなっています」
「ふざけるなファミマ見習え!」
「よろしければ代わりにお話し伺いますが」
「お前誰や?」
「教頭の髙橋です」
「高井か!うちの娘部活辞める言うとる!どうしてくれる!」
「髙橋ですが詳しくお話しいただけますか?」
「クラス担任の朝の挨拶の声デカすぎる!わかるか高山!」
「髙橋ですがそれと部活どういった関係が?」
「そんなもんどうでもいい!俺は会社でふたりも部下を使とる!」
「…」
「最近の若いもんはホント礼儀を知らん!そう思わんか高田!」
もう完全に酔っ払っています
こんな不毛なやりとりが時折
繰り広げられるのでした
ところが震災の後このような理不尽な電話が
パタっとなくなったのです
学校も大変だからと
おそらく言いたいことを
我慢してくださっているのでは?と拝察します
ただ大切なお子さまに関することですので
不安なことや改善してほしいことは
遠慮せずおっしゃってください
ただし素面(シラフ)で
できれば勤務時間内でお願いします
【今日のDeep Purple】
教科を超えた授業実践を紹介し
深い教科横断型授業を作り出すコーナー
野々市明倫高校さんの事例紹介5回目は
『数学』と『地歴』のメガネ
「TM 15」です
日本はPISAの数学リテラシーが世界第五位
数学が得意なお国柄です
これはなぜでしょう?
江戸時代の数学(和算)は日本独自の数学で
世界最高レベルでした
その中で関孝和は
筆算を使って円周率を少数第11位まで計算した天才でした
また縄文時代の人々は
建物を作るために縄文尺を使って
正確に直角を割り出していたそうです
なんとこの時代にすでに
3:4:5の三角形が直角三角形になることを
すでに知っていたようです
「歴史」を振り返ることで
「数学」の価値や大切さに気づくことのできる
素晴らしい教材です
緊急速報版
カムチャッカで地震です
遅ればせながら今ニュースで知りました
全国のみなさんにお伝えしたいことがあります
こちらは東日本大震災で
津波の被害を受けた門脇小学校震災遺構です
違和感ありませんか?
津波にやられているのに
机が整然と並んでいるのです
しかも天板はありません
つまり津波でやられているのに
燃えているのです
何が起こったのか?
これです
火事で燃えている家が
そのまま流されて来て
学校に火がついたのです
高い建物に逃げるのは
必ずしも安全ではありません
時間がない時の最後の手段です
基本は山です
この時も2階に火がついて
3階に避難していた小学生が
取り残されたそうです
先生方が力を合わせて
長机などを使って
隣の建物へ伝って逃げる経路をつくって
児童を逃したそうです
「生物」と「数学」のメガネ
地震から 577 日目
豪雨から 313 日目
名城大学附属高等学校より
岡 充彦 教頭先生
小堀 淳子 先生はじめ
アントレプレナーの生徒さんたちが
本校を訪れてくださいました
本校の3年生
中村輝くんがボランティアでやっている観光ガイド
そのお客様として
訪れてくださいました
中村輝くんをそのフォルムから
私は勝手に『輝輝坊主』と呼んでいます
午後からは
『災害時学校支援チームおかやま』
のみなさんがお越しになりました
昨日から七尾市の方で防災の講演会をなさり
本日本校まで足を運んでくださいました
昨日兵庫の『EARTH』さんと
お話をさせていただき
本日は『チーム岡山』さん
日本の災害支援を牽引するふたつの団体さんに
続いてお逢いすることができました
石川県でも設立に向けて動いています
先輩方の仲間入りをさせていただき
今回の経験を
次の災害のために役立てていきたい
と思います
きびだんごをもらったので
家来としてはたらきます!
【今日のDeep Purple】
教科を超えた授業実践を紹介し
深い教科横断型授業を作り出すコーナー
野々市明倫高校さんの事例紹介4回目は
『生物』と『数学』のメガネ
「世にも奇妙な自然界に潜む数学」です
まずはフィボナッチ数列を学んだそうです
本コラムでも以前に紹介しました
1,2,3,5,8,13,21,34,55,89…
前のふたつを足したものが次の数
という数列です
考えたのはイタリアの数学者 レオナルド・ピサノ
父の名前がボナッチで
filius Bonacci(ボナッチの息子)
が短縮されてフィボナッチと呼ばれるように
彼は「兎の問題」を出題しました
次のとおりです
「1つがいの兎は
生後2か月後から
毎月1つがいの兎を産み
兎が死ぬことはないものとする
この場合に
産まれたばかりの1つがいの兎は
1年後に何つがいの兎になるか?」
解いてみてください
ちなみにつがいを漢字で『番』と書きます
では次の漢字はなんと読むでしょう」
『蝶番』
前の3つを足すトリボナッチ数列
0,0,1,1,2,4,7,13,24…
4つを足すテトラナッチ数列
0,0,0,1,1,2,4,8,15,29…
なんてのもあるそうです
フィボナッチ数列が
自然界によく見られる数列であることは
知られていますが
トリボナッチ数列や
テトラナッチ数列に関してはどうなんでしょう?
考えてみるとおもしろいですね
さて明倫高校さんの授業では
さらにハニカム構造を学んだそうです
ハニカム構造とは
正六角柱を隙間なく並べた構造のことです
「honeycomb」はハチの巣を意味します
なぜハチは六角形の巣を作るのでしょう
数学的に検証してみたそうです
答えを言ってしまうと
少ない材料で最も広い部屋を作れるからです
検証してみましょう
例えば12m分の壁を作る材料があったとします
正方形の部屋を作ると
1辺あたり3m つまり
面積 = 縦 × 横 = 3 × 3 = 9m2
正三角形では
1辺が4m
高さは1:2:√3 を使って
√3 ≒ 1.7 とすると3.4
その面積は
底辺 × 高さ ÷ 2 = 4 × 3.4 ÷ 2 = 6.7 m2
正方形より狭くなりました
円だと…
直径 × π = 円周だから
直径 = 12/π で
半径 = 6/π
面積 = π(6/π)2= 36/π ≒ 12 m2
このように円が一番
コスパがいいのです
で
この円の部屋を敷き詰めると
ひとつの部屋の周りには
6つの部屋が隣接します
これだと円と円の隙間が無駄なので
それを埋めたのがハニカム構造
ミツバチって頭いいですね
計算したわけじゃなく
体験で身につけたのでしょうけど
π にまつわる話をもうひとつ
「ピラミッドの横幅を高さで割って
2倍すると円周率になる」
ピラミッドの1辺 = 230.37m
高さ = 146.6 m
(230.37 / 146.6) × 2 ≒ 3.14
円周率という概念は
ギリシャ数学において確立されますが
それはピラミッドが造られた
およそ2000年あとのことです
π の計算もせずに
体験で身につけたもの?
ミツバチ以上ですね
円形の物差しを使っていたのではないか
という説があります
石を切り出す際に
高さは物差しの直径で
幅はその物差しを転がして測った
とすると説明はつきます
ただそんな物差しは
未だ発見されていないのだとか
「体育」と「英語」のメガネ
地震から 576 日目
豪雨から 312 日目
石川県養護教員研究協議会に招かれ
シンポジウムのパネリストを
務めさせていただきました
養護教員つまり保健室の先生は
学校の中で一番やさしくてあたたかい先生
県内のすべての学校のそんな方が
一同に介しての会ですので
まるで菩薩様の懐に抱かれているかのような
なんともいえない心の安らぐ会です
初めての経験です
輪島市立河井小学校の 中條 葉子 先生
発災直後からの安否確認
避難所巡り
校舎の片付け
学校の再開
本当にいろいろありました
6校の小学校が輪島高校に集まって
勉強していました
保健室の先生も力を合わせて
6校全ての子供たちの支援をしました
珠洲市立宝立小中学校の 小畠 尚美 先生
宝立小中学校は市の避難所に指定されています
津波発生時 800人の方が避難されました
災害人道医療支援会 HuMAさんが
支援してくださいました
以下は生徒さんの作品です
石川県立穴水高等学校の 山元 祐子 先生
高台に位置する穴水高校は
学校に向かう通学路に
大きな被害を受けました
中学校の校舎を借りて学校再開しました
ランチスペースをご自分で開設なさり
生徒のケアにあたられたそうです
助言者の金沢大学の森慶惠先生からは
「つながり」
学校内外との協力体制
「即応と継続」
災害直後の対応と長期ケアの両立
「子どもを見るまなざし」
心と体を見守る日々の視点
の大切さを教えていただきました
午後は兵庫県から『EARTH』の方を
お迎えしました
村尾先生と大封先生
Emergency And Rescue Team
by school staff in Hyogo
阪神淡路大震災時に
全国各地からいただいた支援に報いるため
震災5年後に作られた
災害があれば要請に基づき
学校の教育復興を支援する
教職員の組織です
今回の能登半島地震においても
いち早く珠洲市の支援に入られました
この素晴らしい組織を
ぜひ全国展開させる必要があると感じています
これまで全国で5件にしかなかった
災害時の学校支援システム
文科省からの
D-EST(Disaster Educational Support Team)
構想を受け
各県に広がりを見せています
『EARTH』さんには
ぜひその豊富な経験と知識を活かして
全国の組織の指導的立場を
担っていただきたいと願っています
【今日のDeep Purple】
教科を超えた授業実践を紹介し
深い教科横断型授業を作り出すコーナー
野々市明倫高校さんの事例紹介3回目は
『体育』と『英語』のメガネ
「No English No Futsal」です
英語だけを使ってフットサルをしました
日本語を話すとイエローカードです
体育の先生も頑張って英語オンリー
特別ゲストにALTも参加
楽しく英語を学べていいですね
Kick off!「試合開始」
Pass!Shoot!Mark!「よこせ!撃て!いてまえ!」
Man on!「後ろに敵が!」
What a wonderful goal!「やったぜ!」
私も以前ALTと掃除しながら
「No English No Cleaninng」
をやってみたことがあります
ALTというのは
Assistant Language Teacher
外国語教育をサポートする
外国籍の教員です
色々と普段使わないフレーズを
その都度訊いては教えてもらいました
問題です
英語で何と表現するでしょう?
① モップについた埃を振り落とせ!
② 黒板消しをバンバン叩いてチョークの粉を落とせ!
答えは
① Shake it off!
② Bang it off!
「数学」と「国語」のメガネ
地震から 575 日目
豪雨から 311 日目
夏休みの前期補習も終わりました
学校へは3年生が自主的に登校し
学習しています
仮設住宅では落ち着いて学習できず
図書館などの公共の施設も使えないので
教室を使って学習に励んでいます
先生方も集まって探究学習への作戦会議
2年生は1学期を振り返って
それぞれのグループの進捗を確認
お困りごとなどを出し合いました
ほとんどのグループが
伴走してくださる企業様などとの
人脈作りに成功して
共に走り出しているようです
ご協力ありがとうございます
1年生は
例年行っている
探究スキルを身につけるための
「不自由研究」を
今年度はブラッシュアップします
その打ち合わせです
専門家をお招きし全11回のワークショップ
GISを活用した災害復興に取り組みます
GISとは「地理情報システム」
コンピュータ上で地図とデータを組み合わせて
位置に関する情報を可視化・分析・管理する
システムのことです
地図上に様々な情報を重ねて表示したり
位置情報をキーにしてデータを分析したり
防災計画にも活用が期待されています
「総合的な探究の時間」と「地理総合」における
教科横断型の学びの新しい形です
私はといえば
国際教育担当の岡本先生と一緒に
輪島市の観光ガイド養成ツアーに
参加してきました
将来的には
世界各国から来られるお客様に
高校生が案内できればいいなと考えています
モデルプランの街巡りをしました
今まで知らなかったことにたくさん出会え
魅力再発見です
たくさんの方に来ていただき
素晴らしさを知っていただきたいです
多くは来ていただいた時のお楽しみということで
一部だけご紹介します
まずは漆器工房
輪島塗ができるまでの流れを
ご紹介してくださいます
今日知った新しいトリビア
輪島塗の筆は
30代の海女さんの髪で作ったものが
最高級なのだそうです
20代だと油分が多く
漆自体をはじいてしまいノリが悪い
30代だと適度に表面が海水で荒れていて
最高に漆が纏わりつくのだそうです
輪島の大きなふたつの産業
輪島塗と海女漁がこんなふうに結びつくとは
新しい発見でした
輪島塗の体験もできます
工房長屋です
工房長屋は重蔵神社のお膝元にあります
地震で全壊した重蔵神社は
現在この鳥居の奥の小さなお社のみ
しかしながら
朝市は千何百年前に
この重蔵神社の境内で始まったもの
輪島塗のその技法も
ここの神様の御神託によるもの
輪島の歴史はこのお宮さんから始まった
と言っても過言ではありません
次回は自分でガイドツアーを作って
案内するミッションが与えられました
さてどんなツアーを創ろうか?
ワクワクしています
【今日のDeep Purple】
教科を超えた授業実践を紹介し
深い教科横断型授業を作り出すコーナー
野々市明倫高校さんの事例紹介2回目は
「国語」と「数学」のメガネ
「寺子屋で◯◯」です
江戸時代の日本における
青年男子の識字率は世界トップクラス
寺子屋が大きな役目を果たしていました
昔の言葉で書かれた文の読解をしました
「雉子兎取合五十疋有
足数百弐拾弐本也
雉子足弐本兎足四本
銘々幾何問」
江戸時代には
中国数学から独自の発展を遂げた
和算が学ばれていました
「国語」が得意な生徒が読解をして
「数学」が得意な生徒が計算をして
それぞれの得意分野を活かした
学びができたそうです
「地歴」と「地学」のメガネ
地震から 574 日目
豪雨から 310 日目
「一部の私立大学で
四則演算など
義務教育のような授業をしている」
先日財務省が指摘しました
それに対して
長年大学生に基礎数学を教えてこられた
桜美林大学の芳沢光雄 名誉教授は
彼らは「教育の犠牲者」である
彼らのレベルが低いのではなく
大学に入るまでの教育レベルが低いのである
と異を唱えていらっしゃいます
算数や数学を暗記で乗り切るには限界があります
本来一つひとつ理解して次に進めるべきものを
公式の暗記中心に進めてしまった結果
応用力が育まれず
全部やり方を覚えてそれをまねる
テストが済んだらそれを忘れる
という悪循環になっています
氏は高校の授業のやり方も
もっと柔軟にするといい
何年生だからこれをやる
といったことに縛られず
高校生で算数をやったっていいと
提言されています
実際次回の学習指導要領改定では
そういったことも論点になっていると
お聞きしています
【今日のDeep Purple】
教科を超えた授業実践を紹介し
深い教科横断型授業を作り出すコーナー
今日は野々市明倫高校さんの事例を紹介します
野々市明倫高校さんは
〜探究文化の根付く学校を目指して〜
「教科横断型授業」を推進されています
先日金沢工業大学で行われた発表を聞き
素晴らしい実践だなと感銘し
ここに勝手にご紹介するものです
「とりあえず一回やってみよう」
本校も目指しているコンセプトです
1年生の担任と副担任でコラボして
やってみたそうです
今日は「地歴」と「地学」のメガネです
「日本・世界の鉱石・資源と権力」
なかなか興味深いタイトルです
まずは鉱物と鉱石の違いについて
鉱石とは鉱物の中でも
①特別な価値があり
②採算があうもの
を指します
例えば
ア)金鉱石は1t に2g の金が含まれ
採算がとれるので鉱石
イ)海水は1t に1mg の金を含むが
水や不純物を除去する費用が嵩み
採算が取れないため鉱石ではない
では当時の人はどうやって採掘したのか?
人や技術や資金はどうしたのか?
ふたつの班に分かれて調べます
①鉱石・資源について調べる
特徴や採れる場所そして方法など
②採掘の歴史について調べる
採掘による歴史の変化はなど
「地学」の知識により
「地歴」を単なる暗記科目ではなく
思考力を要する科目として捉えることができる
素晴らしい授業実践です
さらには銅の精製の歴史を学べば
足尾銅山鉱毒事件についてまで話が拡がり
『政治・経済』を深く学びたくなる動機づけになるし
銅の電解精錬を学べば
『化学』の力でその環境問題を克服できたこと
も知ることができ
地域をあげてその問題に
どう取り組んできたのかを知ることができる
さらに幅広い教科横断型の教材となる
大きな可能性のある題材です
これから全6回で
野々市明倫高校さんの実践を
紹介します
天からの思いがつまった贈り物
地震から 573 日目
豪雨から 309 日目
昨年秋
東京工業大学と東京医科歯科大学が統合し
東京科学大学が誕生しました
学院や学部の垣根を越えて
共に学び合うスタイルの授業が
展開されています
もともと医学の分野には
インターディシプリナリーアプローチが
取り入れられていて
そういった意味では学際的な学びに
親和性が高いと思われます
インターディシプリナリー
あるいは
マルチディシプリナリーとも言いますが
多くの専門家がチームを作り
それぞれの視点から議論しながら
課題の解決に向かうアプローチです
具体的には
医師 看護師 薬剤師 理学療法士 作業療法士 言語聴覚士
などが連携し
患者の病状や状態に合わせた
治療やリハビリテーションを提供します
こういったスタイルの授業は
高校でも求められていて
そのための教科横断型の授業を
本校でも推進しています
今年は必ず1人1時間は
他の教科の先生とコラボした授業を行うように
とお願いしています
1学期中に実践された事例は2件だけでしたが
今先生方はアイデアをしぼっていることと思います
東京科学大学の研究では
「社会は問題に名前がついて初めて動く」
ということに気づいたとする発表があったそうです
「発達障害や産後うつなど
名前がつくまでは
気のせいとか怠けと捉えられていた」
なるほど
クリームソーダの
アイスにソーダが染み込んで
緑色にシャリシャリになったあそこ
あれ大好きなんですけど
名前つければ売れるんじゃないでしょうか
うちの『晴れ女』は
「医者に不調を訴えると
昔は全部ストレスで片付けられたんに
最近は更年期って病名つけられる」
と憤慨しています
※最近このブログを読み始めてくださった方へ
『晴れ女』というのはうちの美しい妻です
本人曰く特技が『晴れ女』なのだそうです
「アメリカ人って
どんな個性的なスタイルや顔立ちであっても
他人に妻を紹介するときは
Beautiful Wife って言うのよ」
が口癖です
以前より本校野球部を応援してくださっている
富山県在住の 北島 嘉孝 様より
貴重なファイルの贈り物をいただきました
生徒玄関に置いてあるので
欲しい生徒は持って行ってください
北島様は先日の野球部の津幡高校戦にも
見にきてくださり
その時の様子を
こんなふうに綴ってくださいました
「津幡も地震の爪痕が残る地
両校とも頑張れと言う思いで観戦していました
自身地元にて高校野球の指導をしていました
その時生徒に『言い訳は成長を妨げる』
を強く伝えていました
輪島高校も
グラウンドが一部しか使えないことを
言い訳にせずできることをする
内野守備の徹底をしていたことに感心しました
指導において三振やミスをしたときに
『下を向くな下を向けばまた同じ失敗を繰り返す』
を伝えていました
津幡戦の輪島の選手
ミスやアウトになっても元気よく前を向いていました
そして9回裏
追い詰められた雰囲気の中のホームラン
一番声を出してチームを牽引していた坂口選手に
こういう物語が用意されていたのかと思いました
9回三振した選手
次の打者にハイタッチをして思いを伝えていた
その思いがつながったレフトへの飛球
それは応援に来れなかった方々や
震災などで亡くなった方の青い空
天からの思いが詰まった
輪島高校への贈り物かと思いました
その贈り物を
坂口選手が代表として受け取ったのだと
いろいろな指導方法を試行錯誤してきて
成功する方法は十人十色
失敗する人は十人三色の傾向があると思いました
勉強において
成績が良い人は各自分に合ったやり方でしているが
成績が悪いと授業の後で覚えると思ったり
とりあえずノートを書くだけで
見直さないノート
見直せないノートを書いていたりと共通点があり
野球においても失敗した人には共通点があり
その共通点を徹底的に削除した結果が「下を向くな」でした
恥ずかしくて下を向きたくなる気持ちはわかる
そこを耐えたら次の結果が変わるかもしれない
どうしても下を向きたかったら上を向け
そうしたら前を向ける
と伝えていました
そのような野球の技術以外も
徹底されていた輪島高校の選手には
敗戦とはいえ応援して気持ち良い感覚が残りました
試合後選手のように涙を流した監督
生徒たちと一緒になれる大人が近くにいる輪島高校生徒さんは
改めて幸せなひとときを過ごしているのだなと思いました
いつもにこやかに対応してくださる事務員さんも含め
輪島高校に携わるすべての人に
今後の健康と幸あること祈願いたします」
ようこそ!輪高へ
地震から 572 日目
豪雨から 308 日目
暖かい日が続きます
本日
中三生を招いての『体験入学』が
開催されました
近隣の6中学から79名の参加がありました
昨年に比べ20名以上増えています
道路状況がよくなり
周辺の中学校からの参加が増えました
中学生たちは『体験授業』を受けました
【国語】濵田先生
「歌物語の世界」
歌物語は短編集そして
クライマックスに必ず歌が出てきます
最初に歌を詠ませて
その前段の物語を連想させます
かなりレベルの高い内容です
【数学】宮下先生
「暗号とその解読」
何やら怪しいハンターが現れて
暗号のようなものを中三生に手渡しました
どうやら暗号を解くミッションが
与えられたようです
さあどう解いていくのでしょうか?
【英語】加藤先生と櫻庭先生
「English dungeon ~英語の迷宮から抜けだそう~」
英語の謎を解きながら
迷宮を進んでいきます
ラスボスから最後のミッション
見事ラスボスを倒しました!
【理科】伊奈岡先生
「ミクロの世界へようこそ」
顕微鏡観察です
観察対象は
地震で隆起した袖ケ浜海岸の海水
「おしゃぶり昆布発見!」
大盛り上がりです
ケイソウがたくさん見つかりました
能登半島は
崩れた見附島(軍艦島)や
輪島市の鴨ケ浦海岸など
多くが珪藻土でできています
ケイソウが堆積してできた岩石です
とても柔らかく爪で削れるほどです
【社会】奥野先生と竹田先生と寺田先生
「高校の歴史を学ぼう」
世界四大文明がなぜ起こったか?
大きな川がある他に何があった?
中三生からは
「苛酷な環境だからこそ工夫した!」
大きな拍手が沸き起こりました
そう!
だからこそみんなの心をひとつにしないと!
それには何が必要?
「言葉!」
今年の中三生も考える力があるぞ!
素晴らしい!
クイズで楽しく学びました
【商業】木村先生
「電卓のスピード対決」
高校で初めて学ぶ商業の授業について
レクチャーを受けたあと
電卓の検定問題にチャレンジ
ペアになって競いました
そのあとグループに分かれて
先輩達と座談会が行われました
高校生活についてたくさんお話ししました
例年、部活動体験なども実施していたのですが
さすがにこの暖かさでは・・・
成田空港国際警察署生活安全課遺失物センター
からとても親切な電話がありました
私名義の遺失物が届いているので
ダイヤル「1」を押して
すぐ手続きするようにとのことでした
誰がだまされるか!
みなさんもお気をつけください
「養護」と「保健」と「化学」のメガネ
地震から 571 日目
豪雨から 307 日目
【今日のDeep Purple】
教科を超えた授業実践を紹介し
深い教科横断型授業を作り出すコーナー
今日は養護と保健体育と化学をつなぎます
担当は栃木麻希先生(養護)と
山下友子先生(保健体育)と
伊奈岡克俊先生(理科)
対象は文化祭の模擬店責任者
本校では8月29日(金)~30日(土)
の日程で文化祭が催されます
その際模擬店を出店するクラスの責任者に
例年行っている衛生指導
今年は
「保健」や「化学」の内容もからめて
より論理的に手洗いの大切さを
学んでもらおうという実践です
まずは「養護」の栃木先生の目
正しい手洗いのしかたに関する指導です
ポリ手袋をはめた上から
絵の具を1滴手につけて
目をつむったまま
いつものように手洗いをしてもらいます
洗えている部分が染色されている一方で
洗い残しの部分が一目でわかります
指の間や手の甲そして手首などが
盲点になっています
続いて「化学」の目
『界面活性剤』の性質とはたらきについて実験です
ラー油を浸した布を
『界面活性剤』を溶かした水と
何も加えていない水にそれぞれ浸します
するとラー油が『界面活性剤』に包まれて
水面にみるみる浮き上がってきました
食中毒の大きな原因のひとつ
『黄色ブドウ球菌』は親油性の菌
つまり皮膚の油分が大好きなのです
油分ごと洗い流すのが効果的です
続いて「保健体育」の目
『黄色ブドウ球菌』は私たちの体
鼻やのどのほか傷口等に生息しています
顕微鏡で見ると
ぶどうの房のように見えます
増殖するときに産生する毒素(エンテロトキシン)
が食中毒の原因となります
エンテロトキシンは熱に強く
通常の加熱では分解されません
また『黄色ブドウ球菌』は
比較的高い食塩濃度でも増殖するので
塩にぎりや漬物などでも注意が必要です
したがって『界面活性剤』入りの洗剤で
しっかりと手洗いすることが求められます
またノロウイルスはアルコールに強いので
アルコール消毒だけでは効きません
手洗いとアルコール消毒の併用がおすすめです
トコトコ
地震から 570 日目
豪雨から 306 日目
すっかり夏の朝
中庭には心地よい空気が
でも蝉の声がしないんです
全国的に見てそうなんでしょうか?
あまり暑くて「トコトコ」が
出てこないのでしょうか
輪島弁でセミの幼虫を「トコトコ」といいます
全国的に見ると「ノコノコ」と呼ぶ地方もあり
金沢では「アナゼミ」と呼ぶそうです
毎年中庭の木々には
「トコトコ」 の抜け殻がこの時期
たくさん見られるのですが
今年はほとんど見られないのです
ようやくふたつだけ見つけました
こちらはアブラゼミ
羽根が脂ぎっているから
ついた名前かと思いきや
鳴き声が油の揚げ物の音みたい
ということだそうです
こちらはたぶんニイニイゼミ
ニイニイ鳴くからということでしょう
それにしてもツクツクボウシといい
鳴き声を勝手に名前にしたり
オオアリクイのように
主食を名前にしたり
人間ってかなり失礼な生き物ですね
他の生き物から
「おい!コメクイ」
とか言われて嫌な気持ちしないか
「人が何食おうがほっとけや」
って思いませんか?
さて今年なかなか姿を見せない「トコトコ」
もしかして今回の地震で
土中に何か異変があったのでは?
いらぬ心配をしています
ところで脱ぎっぱなしの服のことも
「トコトコ」と呼びますが
もしかしたらこれは
我が家だけに伝わる「平野家弁」かもしれません
さて学校の方では本日
PISA2025 学力調査が行われ
1年生が受検しました
PISA(ピサ)とは
「生徒の学習到達度調査」
(Programme for International Student Assessment)
の略称で
『経済協力開発機構(OECD)』
(Organisation for Economic Cooperation and Development)
によって推進されている
教育分野における世界最大の国際調査です
PISA調査は2000年から概ね3年おきに実施され
今年で9回目となります
世界中で90カ国以上が参加する国際比較調査です
目的は
義務教育終了段階の15歳の生徒が
これまで身に付けてきた知識や技能を
実生活のさまざまな場面で直面する課題に
どの程度活用できるかを
測ることにあります
本校は日本を代表する調査校に選ばれた
というわけです
実は震災前から内定しており
特殊な環境におけるケースではあるので
「もしかして外されるかも…
外されたら
被災地は日本じゃないんかい!
と暴れたろ」
と息巻いていたのではありますが
予定通り調査校を
務めさせていただくことになりました
この自然災害が多い日本という国の中で
どう教育を組み立てているのか
そしてこれからどう組み立てて行くべきか
有意義なデータとなると思います
自然災害だけでなく
人的災害に苦しむ
ウクライナやイスラエルなども参加しています