校長室より「おこらいえ」

明日に備えて

いよいよ明日に迫った共通テスト

現地集合の生徒を除いた12名

朝早くから登校し

みんなで寄り添って直前の勉強会

 

 

 

 

 

 

その後出発式をしました

震災で文房具をなくした生徒らに

瓦礫の下から集めた

なけなしの文房具をプレゼント

 

歌いたがり校長は

今日も下手な歌で元気づけです

「負けないこと

 投げ出さないこと

 逃げ出さないこと

 信じ抜くこと」

 

共通テスト前には

毎年決まって同じ話をしています

ソフトボールのナショナルチームの

メンタルトレーニングの話です

 

北京オリンピックに向かう前々日

宇津木妙子監督が

選手に伝えます

「明日は練習をオフにする

 これまでお世話になった人に

 挨拶に行きなさい

 それが出発前の

 最後のメンタルトレーニング」

 

エースの上野由岐子投手は

絶体絶命のピンチになったとき

このメントレのことを思い出し

自分はひとりじゃない

不思議な力が湧いてきたといいます

そして見事に金メダルを獲得するのです

 

このことは感謝の心の大切さを伝えています

 

あなたがお世話になった人は誰ですか?

家族?先生?あるいは?

 

ちなみに上野投手は

中学校の時にお世話になった

ソフトボールの顧問の先生の

お墓参りに行ったそうです

 

この話は昔「深イイ話」で聞いたもので

その後何度も話しているうちに勝手に脚色して

実話とは異なるものになっているかもしれません

 

みんなで試験会場の下見をしました

輪島高校の会場は金沢学院大学

ずっと前から利用させていただいています

快適な控室、わかりやすい会場図や時間割の掲示

丁寧な対応、本当にありがとうございます

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕食はホテルでご馳走です

避難食から急に豪勢な食事

お腹がびっくりしないといいけど

避難している家族に食べさせたいとの声も

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日はもうひとつイイ話

 

引率の矢知先生の車のバッテリーが

ホテルに着いた途端ダメになってしまいました

JAFに見てもらったら液がなくなっていて

ここまで走ってきたこと自体奇跡だそう

途中何度か停車したのに

その度にちゃんとかかっていたのです

生徒を送り届けるまではと

なんと責任感のあるバッテリー

 

責任感ある機械といえばこちらも

 

 

 

 

 

 

倒壊したビルの下敷きになっても

住民の安全を

見守り続けています

 

今日の感染症 

コロナ19名

インフル2名

腸炎4名

いよいよ明日出発!

1月13日(土)から

いよいよ大学入試共通テストが始まります

 

毎年輪島高校では

大型バスで全員一緒に向かうことになっています

会場のある金沢市まで100km以上

車で2時間以上かかるからです

 

明日の朝出発しホテルに3泊します

 

ところが明日の朝学校まで来れない生徒が…

道路が分断されて車が通れない生徒です

今日、教員がその生徒を

迂回路を通って学校まで連れてきました

 

彼は今晩は学校に泊まります

教員も何人か泊まりこんで

寄り添ってくれてます

みんなで食事の一コマです

 

 

 

 

 

 

 

今日も自衛隊の炊き出しがありました

 

 

 

 

 

 

なんだか少しずつ贅沢になってきます

 

 

 

 

 

 

本当にありがたいです

 

「Humanity First」の方々も

初日からずっと車中泊で

炊き出しをしてくださっています

 

 

 

 

 

 

この方々はイスラム教信者による支援団体です

阪神淡路大震災や東日本大震災の際も

ずっと炊き出しをされていたそうで

「この顔だからどこでも最初は

 日本人は怖がって寄って来ないんですよ」

と初日に笑って話してくださいました

 

自分もやはりイスラム過激派を想像し

ヒゲを見るだけで身構えてしまうのですが

とんでもない偏見であったと

自分を恥じています

 

日本人以上に日本を愛してくれて

被災者一人ひとりに優しく声をかけ

自分を犠牲にすることを厭わず

尽くしてくださっています

 

先生方も一生懸命です

使える部屋に突貫工事で作り上げた

臨時職員室で

生徒への連絡に大わらわ

 

 

 

 

 

 

自分たちも被災しているのに

頼もしい先生方です

 

陸路が使えないため

輪島市では

金沢まで二次避難をする

船を出す予定でしたが

荒天のため延期となったそうです

花開け!復活の胡蝶蘭!

11日目の朝です

 

震災後、初めて夜中に目が覚めずに

朝を迎えました

みなさんまだおやすみです

 

時間ができたので

横倒しになったままだった

胡蝶蘭の植え替えをしました

 

本校は昨年10月に

創立100周年式典を催し

その際にいただいたものです

 

傷だらけの葉っぱに砂埃が…

丁寧に拭いてあげると

確かな息吹が感じられます

 

こんな状況の中でも

しっかりと根を張ろうとしています

 

マラソンランナーの高橋尚子さんは

「花が咲かない冬の日は

  下へ下へと根を伸ばせ」

とおっしゃっています

 

よく見ると小さな芽吹きが見られます

 

 

 

 

 

 

「新しい芽吹きは幹からではなく

 必ず枝の先端から始まるんだよ

 だから世界から見ると辺境の地日本

 そのさいはての能登半島に住む君たちは

 世界の新しい芽吹きになるんだよ 

 半島の最先端から

 目指せ世界の最先端」

 

コロナ禍の時に

生徒に語りかけた言葉を思い出しました

 

この胡蝶蘭再び花を咲かせる日が来るのか

101年目の復活のシンボルとして

大切に育てようと思います 

 

今日の感染状況

コロナ20

インフル1

腸炎3

今日もいろんな人にありがとう

10日目が終わろうとしています

さっきから不気味な余震が続いています

 

今日も、受験生が学校にやって来て

大坪教頭先生の英語リスニング対策講座を

受けました

 

 

 

 

 

 

少しでも力をつけるよう

教員全員でバックアップしていきます

 

本校だけではなく

石川県の多くの教員のみなさんが

学校の垣根を越えて応援してくださっています

 

噂では金沢地区の若い先生方が

能登の受験生のために文房具やおやつを

準備してくださっているのだとか

 

中心となっているのは

金沢泉丘高校の山越康裕先生と塩田高基先生

おふたりとも飯田高校が初任校で

この現状に心を痛めているのだそうです

 

お昼には自衛隊の方による

温かいご飯と味噌汁の配給です

震災後初めての温かい白米です

 

 

 

 

 

 

 

これから被災後の報告書やらなんやらで

きっと必要になるんだろうなと

写真の整理を始めました

 

10日間でかなりの数になりました

すると

被災前にSNSで見つけて思わずスクショした

心に残る言葉があったので紹介します

「流されて辿り着いた先で

 めちゃくちゃ頑張ればいいのよ

 それが

 自分の居場所じゃないかもしれない

 と思ったとしても

 与えられたことを必死にやるのよ

 そうすると知らない扉が開くの

 そこに新しい出会いがあって

 どんどん違うステージに行く

 その繰り返しよ」

 

自分が尊敬する

マツコ・デラックスさんの言葉です

 

なんだか今を暗示しているようです

 

今、いろんなところへ流されて

知らない場所に辿り着いた生徒がおおぜいいます

他地区に移り住んで転校を希望する生徒もいます

反面、道路が寸断されて未だ身動きさえできない生徒もいます

高校受験先を再考し始めた中三生も

 

それぞれの生徒がそれぞれの場所で

自分の学びたいことを

思う存分学べるようなシステム作りが

今与えられた使命です

 

受験生の学びはもちろん

1、2年生の今後の学びの保障についても 

現在、教育委員会と連携をとりながら

急ピッチで進めています

 

明日の朝は氷点下になるそうです

どうか暖かくしておやすみください

励ましメール

生徒のみなさん

多くの方がみんなのことを見守ってくださって

応援してくださっています

 

愛知県でフリーランス・ライターをしていらっしゃる

福永文子さんからメッセージが届きましたので

シェアしますね

 

3年生の皆さんは週末からの共通テスト、そして大学受験と、未来を決める大事な時期だと思います。

皆さんは目の前やご家族、家の大変さでなかなか受験に集中できるような心境ではないかもしれません。

でも、だからこそ、皆さんの未来に視線をぐっと、広げてください。

受験に真摯に臨むことで、必ず皆さんの未来が切り開かれます。

あの地震を生き残った皆さんならば、やりたいこと、できることを必ず実現できます。

もちろん、もう進路が決まっている皆さんも同じです。

ご自分の命と周りの人たちの命を大切にして、進むべき道をしっかりとかき分けて歩んでください。

奇跡の医療チームDMAT

10日目の朝です

 

本校には市内の全ての避難所から

体調不良の方を一カ所にまとめ

集中的にケアする棟を設けています

 

DMATを中心とした

専門医、看護師、保健師など

専門スタッフが協力しあって運営しています

罹患していないの被災者の方や

ボランティアの方々とは

一切接触しない完璧な動線を確保しています

 

現在の収容者数は

コロナ16名

インフルエンザ1名

胃腸炎(ノロではない)3名

 

この劣悪な環境の中

これだけの人数で収まっているのは

奇跡といっていいと思います

 

昨晩も2名の看護師さんが

泊まり込みで看護にあたってくださっています

一睡もできていないみたいで

疲れもピークにきているようですが

「みなさん大変だから・・・」と

笑顔で対応してくださっています

 

 

 

 

昔の戦友より

このブログ

多くの方が読んでくださっているみたいで

たくさんの激励のお言葉をいただいています

本当に大きな力となります

 

やすらぎ小松にお勤めの桐生裕三先生が

石川県出身の哲学者である

西田幾多郎先生の言葉を送ってくださいました

「非常時なればなるほど

 我々は一面において落ち着いて

 深く遠く考えねばならぬと思う」

 

桐生先生とは昔、甲子園を賭けて戦った仲です

当時、後にドラフト1位でプロに入団する投手を擁するうちのチームを

1回戦で0-1で破った監督です

 

勝負師、桐生監督らしいお言葉です

 

生きていてよかった!

今日は本来なら始業式の日

本当は来れる生徒がひとりでもふたりでも

始業式を決行するつもりではいたのですが

校舎の安全が保証できない限り

やはり生徒を集めるのはためらわれます

 

でも、ひとりで頑張っている受験生に

友達の顔を見て安心してもらいたくて

ひとりじゃないって思ってもらいたくて

顔を合わせる場面を設定しました

 

本校から今年共通テストを受けるのは38名

このうち、

住むところを失い親戚を頼って輪島を離れた生徒や

今だに道路が分断されていて出てこれない生徒がいたりして

今日集まったのは13名でした

 

2週間ぶりに逢う生徒を前にして

あれも言おうこれも言おうと

たくさん準備していたのですが

顔を見た瞬間、結局出た言葉は

「よう生きとったな!」

それだけ…

 

でも生徒の目は輝いていました

きっと大丈夫

確信しました

 

みんなで「愛は勝つ」を歌いました

昨年暮れ、惜しくも亡くなった

KANさんが遺したこの曲は

東日本大震災の際に

チャリティソングとして

多くの人の心を打ちました

そしてなんと、本校進路指導主事の

矢知先生が受験生の時の曲なのです

 

これを歌おうと思いたったのは昨夜

今朝早く、件の「奇跡の一軒家」に忍び込んで

タンスの下敷きになっていた

思い出のギターを引っ張り出して来ました

 

それから共通テストについての話をしました

聞いてみると

文房具もない生徒がほとんどだったので

職員室や進路指導室の瓦礫の下から

ありったけの鉛筆や消しゴムを拾い集めました

 

 

 

 

 

 

輪島高校は

共通テストの会場がある金沢市まで

車で2時間

毎年バスをチャーターし

ホテルもみんなで予約して

団体受験をしています

 

こんな状況ではありますが

今年も予定通り行きます

道路状況が悪く

普段の2〜3倍の時間がかかりますが

「緊急車両用通行許可証」を

県教育委員会がもらってくれました

これでスムーズに通れます

 

いろんな方が応援してくださっています

ありがたい限りです

力を発揮することが

全ての人への恩返しです

今日という一日は・・・

8日目も終わろうとしています

バタバタしていた割に

何をしたかと考えると???

 

調理室に忍び込み

奇跡的に無傷の電子レンジを数台発掘しました

少しでも温かいものを食べていただこうと

さっそく各フロアに設置しました

 

なんだかとってもいいことをした気分

と、ひとり悦に入っていると突然バチッ

一斉に使用したため

ブレーカーが落ちたようです

泣く泣く引き上げました

みんなを期待させてごめんなさい

 

ブレーカーを入れ直すため

自衛隊が駐屯している体育館に潜入

目の前に映画のような光景が広がります

 

 

 

 

 

 

 

グラウンドにも多くの重機が…

自分が高校生時代野球の練習をしていた

グラウンドがこんな姿になるとは…

 

 

 

 

 

 

震災前はこんな感じでした

 

 

 

 

 

 

グラウンド全体にうっすらと

氷が張った早朝のグラウンドです

 

今日も炊き出しをしていただきました

うっすら雪化粧の中

あったかいご馳走が嬉しいです

 

 

 

 

 

 

 

昨日お世話になった「Japan 元気塾」さん

今日は帰途についていたのですが

途中積雪のための倒木による通行止めで

ふたたび戻って来て

今日もうどんをご馳走してくださいました

 

よくよく見ると

味付けがちゃんと関西風

やはり地方によって

変えていらっしゃるのでしょう

細やかな心配りに感心しきりです

 

同じく昨日からお世話になっている

「Humanity First」さん

パキスタンやモンゴルの連合軍です

今日はキーマカレーをご馳走してくださいました

 

 

 

 

 

 

 

今日新たに加わったのは

大宮で天ぷら屋を営む「周平」さん

天丼をこしらえてくださいました

初めて炊き出しを行ったそうで

15時間もかけてお越しくださったんだとか

 

 

 

 

 

 

 

深夜になると

感染症病棟に段ボールベッドが

運び込まれます

市の職員や保健師さんたちで

必死の組み立てです

 

 

 

 

 

 

 

とにかく今日も一日が終わります

いろいろ走り回ってクタクタです

 

今日という日は自分にとっては

ただの一日だったけど

 

瓦礫の下で亡くなった方にとっては

どうしても生きたいと願った

一日だったんだろうなと思うと

 

この疲れこそが生きている証で

なんだか尊く感じます

 

明日は久しぶりに生徒に逢えます

「おこらいえ」って何?

8日目の朝です

外はすっぽり雪に覆われています

 

 

 

 

 

 

除雪が必要なほどの積雪はなく

ひとまずほっとしています

 

生徒を元気づけようと続けているこのコラム

他にも多くの方に見ていただいているようで

温かい励ましのメールなんかもいただいています

本当にありがとうございます

 

タイトルの「おこらいえ」について

 

どこかフランス語の響きにも似たこの言葉

これは輪島の「あまさん」の言葉です

意味は第1回のコラムを見てください

 

輪島の「あま」は

前田のお殿様(利家公?)から

特別に武士の称号を与えられた特権階級です

ですので多くの「あまさん」が住む町は

「海女町」ではなく「海士町」と書きます

 

現在避難所にも多くの方が身を寄せています

「じょー、おこらいえ」

「なだ、なにか」

など「海士町」の言葉が飛び交っています

 

輪島の「海士町」はとてもパワフルな町です

「おどらんな、じしんぐれえ、なしたちゃか!」

(てやんでえ、地震ぐらい、くそくらえだ…みたいな意)

とっても元気をもらいます