校長室より「おこらいえ」

新札お目にかかりましたか?

198日目

 

福島県立原町高等学校の3年生

島ひろるさんが

千羽鶴を折って

励ましのお便りとともに送ってきてくださいました

ひろるさん自身

幼い頃から何度も被災し

そのたびに立ち上がっておられる様子が

綴られていました

 

 

 

 

 

 

あたたかいお心遣い

本当にありがとうございます

全校生徒が通る

一番目につく生徒玄関に

飾らせていただきますね

 

ところでみなさん

新札にはもう

お目にかかれたでしょうか?

 

私は1000円札と5000円札を

おつりでいただき

お初にお目にかかることが叶いました

 

最先端のテクノロジーの結晶です

特に立体ホログラムは「何これ?」

絶対偽札を作れっこないです

偽札を作ろうなんて思っていらっしゃる方

ムダな努力はやめましょう

この新札の偽札を作る技術があれば

もっと他のところに活かせます!

 

モデルの北里柴三郎氏のお札の肖像画は

ぱっと見怖い顔していらしゃいますが

調べてみると

とても魅力的な方だとわかりました

 

やんちゃ坊主だった柴三郎は

若い頃国を守る軍人になる夢を持っていましたが

入学した医学校の顕微鏡で細菌を目にしたとき

軍人よりもはるかに多くの人を救うことのできる

細菌学の道に進むことを決めます

 

のちの東大医学部を卒業したあとは

病気を治して高い報酬を得る医者ではなく

給料は安いけど

病気にならないように予防する

予防医学の研究の道を選びます

 

その後国からの援助のもとドイツに留学し

世界的細菌学の権威コッホに師事します

7年間研究に没頭した彼は

結局アパートから研究室までの道以外は

どこにも行かなかったといいます

 

そのころ取り組んでいた研究は

当時絶対に無理だと云われていた

破傷風菌の純粋培養です

体の内部で悪さをする破傷風菌の研究のために

菌を増やす必要があったのですが

それがなかなかうまくいかないのです

 

ある日ドイツ風茶碗蒸しを作る場面を目にした彼は

串を刺して内部の火の通り具合を

確かめている様子を見て

体の内部にしか存在しない破傷風菌は

もしかして空気が苦手なのかもしれないと考え

ついに酸素を絶った条件での

菌の培養に世界で始めて成功するのです

 

このように日常の何気ない場面から

新たな発見につなげていく姿は

「街プロ」の探究にも大いに参考になりますね

 

こうして培養に成功した

破傷風菌を用いた研究により

柴三郎は血清療法を確立します

 

血清療法とは次のようなものです

 

たとえば毒蛇にかまれたとき

毒蛇の毒に対抗する抗体という薬が

体内でつくられます

この抗体を含んだ血液の成分を

ほかの動物に注射すると

その動物は毒蛇にかまれても

死なないようになるのです

 

この血清療法はその後研究を重ねられ

現在のワクチンにつながっていて

多くの方の命を救っています

新型コロナが収まってきている今

氏がお札の顔に選ばれたのは

きっとこの功績を称えての

ものなのでしょうね

 

この世界的発見をした

世界の Kitasato のもとに

巨額のオファーが殺到します

しかし柴三郎はそのオファーを全て蹴って

日本へと帰ってくるのです

 

国費で研究させてもらったので

日本を伝染病から救いたいから

というのがその理由です

 

MLBから巨額の年俸を提示されながら

古巣広島東洋カープに帰ってきた

黒田博樹投手みたいにかっこいいです

 

日本に来た柴三郎にはしかし

活躍する土壌が与えられませんでした

そんな柴三郎を支援したのが

なんと旧一万円札の福沢諭吉です

諭吉は私財をはたいて研究所をたちあげ

その建設に反対する近隣住民の声を鎮めるため

隣に息子を住まわせ安全性をPRしたのです

 

新しいことを始めると

必ず反対の声ってあがるんですね

この逸話は

今後の私達の在り方生き方に関する

大きな励みとなります

 

今回のお札にまつわる話は

歴史大好き芸人 シロップじゅんぺいさんの

Podcast 番組「あんまり役にたたない日本史」

からのものです

役にたたないどころか

本当におもしろい歴史のエピソードが満載

本校の歴史の教員にも

「ぜひ聴くように」とお薦めしています

みなさんもぜひ

本当におもしろいですよ