校長室より「おこらいえ」
震災地の新採ファイブ
地震から 655 日目
豪雨から 391 日目
本校の教員は約30名
そのうち5名
まさに6人にひとりが新規採用
大学出たての
フレッシュな面々です
うち4名が
教委が準備してくださった
教員向け仮設住居に住まいし
毎朝1時間近くかけて通勤しています
6畳ほどの部屋ひとつに
シンクとトイレと風呂
我々住まいを失った者にしてみれば
それでも涙が出るほど
ありがたいのですが
人生で初めて一人暮らし
それもいきなり被災地への勤務
さぞ心細く不安も不満も
あると思いますが
それでも被災地の生徒のため
身を粉にして
がんばってくれています
そのうちのひとり
地歴公民科の 竹田 悠月 先生の
初任者研修研究授業が行われました
テーマは
「日清戦争の勝利によって
日本は『列強』の一員になれたのか」
さまざまな資料を活用して
各人で調べながら
ディスカッションを通じて
思考を深めていく
素晴らしい授業でした
新採とは思えない
しっかりとした準備の上に立ち
新採の強みを活かして
生徒の発言を最大限に引き出す
そんな授業でした
輪島の中学生の保護者のみなさん
どうぞ安心して地元の高校に
通わせてください
授業後の研究協議会では
まずは私の方から
「日清戦争の頃
アレニウスという科学者が
世界で初めて
二酸化炭素の温室効果に関する
論文を発表している
そうした科学の発展を
当時の政策に絡めると
新たな気づきがあるかもしれない」
と提案しました
そして指導主事の 大田 新 先生から
投げ込まれた新たな問いは
「日清戦争で得た賠償金は
どのように受け取って
どのように使ったのか?」
まず賠償金は
8回の分割払いにしたそうです
なぜか?
膨大な利子が発生するからです
結果
当時の国家予算の
4倍ほどの賠償金を受け取っています
そしてポンドで受け取っています
なぜか?
そのお金でイギリスの国債を
大量に購入したのです
イギリスは当時アフリカへの投資で
資金繰りに苦しんでいたのです
イギリスに恩を売ることで
その後の日英同盟に
つながったそうです
こうして歴史を
前後のつながりで見てみると
ダイナミックなうねりが見えて
本当に興味深いです
さすが長年の指導主事経験
深い教材理解です
教師が深く教材を理解することで
生徒に活き活きと語ることができる
そんなことふと思いました
高松で普通科高校校長会に参加しています
記念講演の講師は
なんと昨日訪れた
環太平洋大学の 中山 芳人 特任教授
TBS日曜劇場『御上先生』の
教育監修もなさっています
「非認知能力の育て方」
について学びました
共通の尺度で評価測定できる能力を
「認知能力」
共通の尺度で評価測定できない能力を
「非認知能力」
といいます
ただし個別の尺度で主観的になら
「非認知能力」であっても
評価ができます
例えば
「あなたの根性は10段階でいくつ?」
簡単に言い換えると
「見える学力」
「見えない学力」
とも言えます
「非認知能力」の具体的として
自立心 向上心 自制心 好奇心 冒険心
積極性 創造性 協調性 自主性 社交性
などなど
決して新しい概念ではなく
実は日本の教育には
ずっと昔から取り入れられていたものです
ひとことで表すと
「心」
「認知能力」or「非認知能力」
といった二項対立ではなく
「非認知能力」for「認知能力」
といった捉え方が適切です
勉強によって「学力」を高めるために
従前の
識字・読字訓練
書出表出訓練
計算訓練
といった勉学に特化した訓練
すなわち詰め込み学習から脱却し
意欲
向上心
協働性
といった学びに向かう力
すなわち「非認知能力」を
高める必要があるのです
本校では
「街プロ」がそのための
有効な取り組みとなっています