校長室より「おこらいえ」

戦線復帰!

14日目の朝です

一昨日

大学入学共通テスト応援のため

自分も金沢に出向きました

 

ところが到着した途端に発熱

ここ40年ほど

二日酔い以外の病気をしたことのないくらい

健康には自信があったのですが…

疲れと、風呂に入れたという安堵でしょうか?

 

明くる朝、検査の結果

コロナとインフルともに陰性

確認してから試験場で激励

今朝早くに学校へ向かいました

 

水道をひねれば水が出る

風呂も入れて洗濯もできる

緊急車両以外の車でも

ガソリンを入れてもらえる

そんなひとときの夢のような生活を離れ

学校に戻ります

 

渋滞を避けようと朝4時に出たのですが

七尾〜穴水間は長蛇の列です

 

 

 

 

 

 

車窓には富山湾越しに立山連峰

年に数回だけ限られた時間にしか見られない

神々しい姿に力づけられます

 

 

 

 

 

 

途中の山々には凄まじい傷跡

崩れ落ちた山肌に

うっすら雪化粧です

 

 

 

 

 

 

学校に着くなり

文科省からの建物の安全検査に同席です

一部の建物の安全が確認されました

これから授業再開に向けての

スケジュール調整に入ります

生徒のみなさん

保護者のみなさん

今しばらくお待ちください

 

生徒の安否は

全員確認されたことになっていましたが

実はもうひとり

確認されていない生徒がいました

彼の名は中村輝人くん

ワーキングホリデーを活用して

オーストラリアに渡っていた生徒です

 

オーストラリアに行ったっきり

連絡方法がわからなかったのと

まさかオーストラリアまで

地震の影響はないだろうということで

安否確認はしなかったのですが

輪島高校の避難所で支援活動している姿を

ひょっこり見かけました

 

彼は学ぶことが大好きだったのですが

世の中の動きのスピードに対して

緩やかすぎる日本の教育に疑問を感じ

日本の教育を変えると意気込んで

単身オーストラリアに渡ったのでした

 

オーストラリアに渡ってからは

いろんな仕事を経験したそうです

周りに韓国の友達がたくさんできたことで

英語よりも韓国語がペラペラになっていました

 

今回、故郷の震災のことを知り

とりあえず飛行機を乗り継ぎ

自分にもできることがあると

帰って来たそうです

 

彼も被災地に着いた途端に

疲れと安堵で行き倒れ

救急車で緊急搬送されたそうです

病院で元気を取り戻した後は

とっとと歩いて帰ってくださいと…

なんとも人騒がせな帰国劇でしたが

バイタリティーあふれる行動力

頼もしい限りです

街には学びの種がいっぱい

13日目の朝

いよいよ共通テスト本番です

本来12年生も学校で

模擬試験を受ける予定でしたが

それは叶いません

 

共通テスト会場で憩いのひととき

2名軽い体調不良を訴えている他は

いたって元気です

 

 

 

 

 

 

支援の文房具も続々

鉛筆、消しゴム、鉛筆削りはもちろん

時計やコンタクト洗浄液まで

昔、能登で勤務されていた

先生方が届けてくださいました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どんな時でも学びを止めるな

このブログの大きなテーマのひとつです

こんな時だからこそ見える

学びの種がたくさんあります

 

自分も含め被害に遭った者から見ると

この非常事態に何を不謹慎な

と目に映るかもしれません

でも、次に同じようなことが起こった時のために

研究を残すということは重要です

 

まずは津波

今回の地震で5mの津波が観測されました

ところが到達した津波は1m

予想の外れ?

いえいえ

この差の4mの秘密は地面の隆起にあるのでは?

もしこの隆起がなければ

あるいは津波によって

さらに被害が広がっていたのかも

あくまで自分の仮説です

 https://www.itmedia.co.jp/news/spv/2401/12/news121.html

  

次なる疑問?

街を歩くと道路に

マンホールが 飛び出ているのです

地面が隆起したにしても

なぜマンホールだけ?

地震になっても

飛び出ないマンホールが開発できれば

道路の復興が容易に進み

支援物資も迅速に運べるのに…

調べてみるとすでに先行研究がありました

https://www.gucenter.co.jp/_userdata/guvol5.pdf

 

疑問の目で

あらゆるものを

見つめてみることが

学びの種です

 

こんな時だからこそ

視点を広く

明日に備えて

いよいよ明日に迫った共通テスト

現地集合の生徒を除いた12名

朝早くから登校し

みんなで寄り添って直前の勉強会

 

 

 

 

 

 

その後出発式をしました

震災で文房具をなくした生徒らに

瓦礫の下から集めた

なけなしの文房具をプレゼント

 

歌いたがり校長は

今日も下手な歌で元気づけです

「負けないこと

 投げ出さないこと

 逃げ出さないこと

 信じ抜くこと」

 

共通テスト前には

毎年決まって同じ話をしています

ソフトボールのナショナルチームの

メンタルトレーニングの話です

 

北京オリンピックに向かう前々日

宇津木妙子監督が

選手に伝えます

「明日は練習をオフにする

 これまでお世話になった人に

 挨拶に行きなさい

 それが出発前の

 最後のメンタルトレーニング」

 

エースの上野由岐子投手は

絶体絶命のピンチになったとき

このメントレのことを思い出し

自分はひとりじゃない

不思議な力が湧いてきたといいます

そして見事に金メダルを獲得するのです

 

このことは感謝の心の大切さを伝えています

 

あなたがお世話になった人は誰ですか?

家族?先生?あるいは?

 

ちなみに上野投手は

中学校の時にお世話になった

ソフトボールの顧問の先生の

お墓参りに行ったそうです

 

この話は昔「深イイ話」で聞いたもので

その後何度も話しているうちに勝手に脚色して

実話とは異なるものになっているかもしれません

 

みんなで試験会場の下見をしました

輪島高校の会場は金沢学院大学

ずっと前から利用させていただいています

快適な控室、わかりやすい会場図や時間割の掲示

丁寧な対応、本当にありがとうございます

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕食はホテルでご馳走です

避難食から急に豪勢な食事

お腹がびっくりしないといいけど

避難している家族に食べさせたいとの声も

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日はもうひとつイイ話

 

引率の矢知先生の車のバッテリーが

ホテルに着いた途端ダメになってしまいました

JAFに見てもらったら液がなくなっていて

ここまで走ってきたこと自体奇跡だそう

途中何度か停車したのに

その度にちゃんとかかっていたのです

生徒を送り届けるまではと

なんと責任感のあるバッテリー

 

責任感ある機械といえばこちらも

 

 

 

 

 

 

倒壊したビルの下敷きになっても

住民の安全を

見守り続けています

 

今日の感染症 

コロナ19名

インフル2名

腸炎4名

いよいよ明日出発!

1月13日(土)から

いよいよ大学入試共通テストが始まります

 

毎年輪島高校では

大型バスで全員一緒に向かうことになっています

会場のある金沢市まで100km以上

車で2時間以上かかるからです

 

明日の朝出発しホテルに3泊します

 

ところが明日の朝学校まで来れない生徒が…

道路が分断されて車が通れない生徒です

今日、教員がその生徒を

迂回路を通って学校まで連れてきました

 

彼は今晩は学校に泊まります

教員も何人か泊まりこんで

寄り添ってくれてます

みんなで食事の一コマです

 

 

 

 

 

 

 

今日も自衛隊の炊き出しがありました

 

 

 

 

 

 

なんだか少しずつ贅沢になってきます

 

 

 

 

 

 

本当にありがたいです

 

「Humanity First」の方々も

初日からずっと車中泊で

炊き出しをしてくださっています

 

 

 

 

 

 

この方々はイスラム教信者による支援団体です

阪神淡路大震災や東日本大震災の際も

ずっと炊き出しをされていたそうで

「この顔だからどこでも最初は

 日本人は怖がって寄って来ないんですよ」

と初日に笑って話してくださいました

 

自分もやはりイスラム過激派を想像し

ヒゲを見るだけで身構えてしまうのですが

とんでもない偏見であったと

自分を恥じています

 

日本人以上に日本を愛してくれて

被災者一人ひとりに優しく声をかけ

自分を犠牲にすることを厭わず

尽くしてくださっています

 

先生方も一生懸命です

使える部屋に突貫工事で作り上げた

臨時職員室で

生徒への連絡に大わらわ

 

 

 

 

 

 

自分たちも被災しているのに

頼もしい先生方です

 

陸路が使えないため

輪島市では

金沢まで二次避難をする

船を出す予定でしたが

荒天のため延期となったそうです

花開け!復活の胡蝶蘭!

11日目の朝です

 

震災後、初めて夜中に目が覚めずに

朝を迎えました

みなさんまだおやすみです

 

時間ができたので

横倒しになったままだった

胡蝶蘭の植え替えをしました

 

本校は昨年10月に

創立100周年式典を催し

その際にいただいたものです

 

傷だらけの葉っぱに砂埃が…

丁寧に拭いてあげると

確かな息吹が感じられます

 

こんな状況の中でも

しっかりと根を張ろうとしています

 

マラソンランナーの高橋尚子さんは

「花が咲かない冬の日は

  下へ下へと根を伸ばせ」

とおっしゃっています

 

よく見ると小さな芽吹きが見られます

 

 

 

 

 

 

「新しい芽吹きは幹からではなく

 必ず枝の先端から始まるんだよ

 だから世界から見ると辺境の地日本

 そのさいはての能登半島に住む君たちは

 世界の新しい芽吹きになるんだよ 

 半島の最先端から

 目指せ世界の最先端」

 

コロナ禍の時に

生徒に語りかけた言葉を思い出しました

 

この胡蝶蘭再び花を咲かせる日が来るのか

101年目の復活のシンボルとして

大切に育てようと思います 

 

今日の感染状況

コロナ20

インフル1

腸炎3