校長室より「おこらいえ」

日曜日の死刑囚

地震から 511 日目

豪雨から 247 日目

 

日曜日

ある死刑囚に言い渡されました

「おまえの死刑執行が今週に決まった

 土曜日までに執行される

 何曜日かは伝えない

 ただし条件をやろう

 もし死刑執行の朝に

 その日執行されることを言い当てたら

 おまえを無罪放免としてやろう」

しばらく考えた死刑囚は

「ありがとうございます

 無罪放免ですね!」

その言葉のとおり死刑囚は無罪放免となりました

 

なぜか?

死刑囚はこう答えたのです

「土曜日に執行されることはありえません

 なぜなら土曜日まで執行が伸ばされたら 

 わたしはその日の朝に

 言い当てることができるからです

 

 土曜日の執行があり得ないのであるなら

 金曜日もありえません

 なぜなら金曜日の朝に

 言い当てることができるからです

 

 同じように木曜日水曜日そして今日も

 死刑執行はありえません」


先日火災避難訓練を行いました

より実践的な訓練とするため

時刻を伏せて行いました

さらに出火想定場所も予め示さず

放送を聞いて

避難経路を各自で判断するよう指示しました

 

実施後の生徒アンケートでは

99.5%の生徒が

積極的に取り組むことができたと回答しました

 

訓練時刻を伝えずに実施したことについても

「実際の火災はいつ起こるかわからないから」

「危機感を持って臨むことができた」

「判断力をつけるのによい訓練だった」

「自分達で考えて動くことができた」

「事前に避難経路をシミュレーションしていた」

など肯定的意見が91.5%を占めました

 

ただ一方で

「着替え中だったらどうするのか?」

「いつ実施されるのかわからず授業に集中できなかった」

という課題も見つかりました

さらには

「6限目にならなかったから

 7限目にあると予想できてしまった」

とさきほどの囚人の話のような感想も

 

そのほかの感想では

 

「ベルで放送が聞こえなかった」

放送機器そのものが使えない設定も

考える必要があります

 

「休み時間にやるのはよくない」

休み時間だからこそ意味があるのです

各自で考えて動く必要があるからです

 

「時間をちゃんと知らせて欲しいと思った」

時間を知らせないからこそ意味があるのです

次回はその日にやることすら知らせず実施します

 

正常化バイアスがかかっていたことに

気づいた生徒もいて

意味のある避難訓練になりました

 

今後もより実践的な避難訓練を計画していきます


511日前のあの日

私が最初にした仕事は

「学校には参集するな!」

規則に反した職務命令を

職員に一斉メールすることでした

 

危機管理マニュアルには

「震度6強以上の地震の際には

 全員学校に直ちに参集すること」

とあります

 

ところがこれには重大な視点が抜けています

「職員も被災者である!」

ということです

 

今回の地震はいつもと違う

そう直感した私は

「自分の命と家族を守れ」

このことを最優先するよう指示したのです

間違ったことをしたとは

微塵も思っていません

集まっていたら

最悪誰かが命を落としていたでしょう

「学校に行くべきか迷っていた」

という先生の話を後から聞きました


【今日のじょーおこらいえ】

生徒が校長ブログを読んで書いてくれた感想を

紹介するコーナー

 

今回は2月9日「ゆでたまごを科学する」を読んで

 

「イタリアの研究チームが

 最適なゆでたまごの作り方を

 科学的に解明したという文章に

 とても目を惹かれて記事を読みました

 温度の伝わり方を

 コンピューターシュミレーションするなど

 大掛かりな研究をされているようで

 完成したゆでたまごにどれほどの費用がかかり

 どれぐらいの価値のあるものに仕上がったか

 聞いてみたくなりました

 さらにリーダーは卵料理が嫌いだと知って

 本当に驚きました

 「好きこそものの上手なれ」と言う言葉もあり

 私は好きな人にしか辿り着けない何かがある

 とこれまで信じてきましたが

 考え方が大きく変化しました

 嫌いな人だからこその

 別の目線や視点で見ることの大切さを

 学べた気がします

         《匿名希望》

和倉温泉に咲く花

地震から 510 日目

豪雨から 246 日目

 

発災以来ずっと気になっていた場所が

いくつかありまして

今どうなっているのか

今日はそのひとつ和倉温泉にある

とあるお店を訪ねてみました

 

 

 

 

 

 

和倉温泉街も被害が大きく

多くの宿が傾き崩れ解体されていました

 

 

 

 

 

 

そんな中でお目当てのお店は Blossom

私が七尾高校に勤めていた時の生徒

野球部にいた黒川恭平さんが

ご家族で経営されているお店です

和倉温泉でお泊まりする時に

よくお世話になり

美味しいワインとお料理をいただいていました

 

被災後3ヶ月で壊れたお店を修理して

水道の復旧とともに営業を再開されたとか

あまりに美味しそうで食べるのに夢中で

写真を撮り忘れ

デザートを食べ終わる頃にようやく一枚

 

 

 

 

 

 

デザートはお姉さんの手作りガトーショコラ

これも絶品でした

以前特別にホールのクリスマスケーキを

作っていただいたことを思い出しました

 

 

 

 

 

 

被災後も料理コンテストに挑戦

本当に美味しいお料理でした

 

 

 

 

 

 

店先には多くの方々からの

激励メッセージが飾られていました

 

能登半島のあちこちで

それぞれの人が

それぞれの場所で

復興に向けて歩んでいます


【被災地に電気が灯るまで】第38回

 発電と電池の仕組みについて学び

 エネルギー問題の解決を目指すこのコーナー

 

充電のできる電池

「鉛蓄電池」を学んでいます

 

発明以来さまざまな工夫が重ねられ

電極には鉛と酸化鉛

電解液には希硫酸を用いるようになりました

今日は「鉛蓄電池」の仕組みをもとに

化学反応式の書き方を練習してみましょう

 

鉛の化学式は Pb

酸化鉛は PbO2

希硫酸は H2SO4 です

電離すると

 H2SO4 → 2H + SO42−

 

鉛は硫酸イオンとくっついて硫酸鉛となります

 Pb + SO42-  → PbSO4 

電子 e を加えて両辺の電荷をそろえましょう

 Pb + SO42- → PbSO4 + 2e-

 

酸化鉛も硫酸イオンとくっついて硫酸鉛となります

 PbO2 + SO42- → PbSO4 

PbO2 の O は水になります

 PbO2 + SO42- → PbSO4 + 2H2O

Hはどこからきたのかな?

硫酸が電離した水素イオンです

 PbO2 + 4H+ + SO42- → PbSO4 + 2H2O

電子 e を加えて両辺の電荷をそろえましょう

 PbO2 + 4H+ + SO42- + 2e- → PbSO4 + 2H2O

 

さてここで問題です

PbとPbO2

どっちが正極でどっちが負極かわかりますか?

知識がなくても式を見ればわかりますよ

電子が生まれている方が負極です

答えは次回

白米扇枚田

地震から 509 日目

豪雨から 245 日目

 

本校の「街プロ」

まなちゃんの「みつばちプロジェクト」

に寄り添ってくださっている

アナウンサーの原田幸子さまより

素敵なお便りをいただきました


21世紀美術館で開かれている

見立て作家である田中達也さんの

ミニチュアライフ展を

見に行かれたそうです

 

ご当地をテーマにしたミニチュア作品も

 

 

 

 

 


輪島をテーマにした「白米"扇"枚田」

扇の蛇腹状の部分を棚田に見立てた作品

見事ですね

ぜひ見てこようと思います


輪島高校野球部は

これまでに二度

夏の大会で決勝戦まで

コマを進めたことがあります

 

一度目は昭和57年度

決勝戦の相手は星稜高校

2-4で敗れました

そのときのチームのメンバーは

毎朝自主的に学校に集まって

自分たちで朝練をしていたと

聞いています

 

今朝のグラウンド

 

 

 

 

 

 

朝から元気な声が響きます

春の大会星稜高校に2-3

最後に逆転を許した弱さを克服するため

生徒が自主的に集まって練習しています

 

地震前までは

稲舟グラウンド(旧輪島実業)で

練習をしていたのですが

震災を機に直していただいたグラウンドに

帰ってきました


輪島まで鉄道が走っていた頃

当時の輪島駅の駅舎は

現在「ふらっと訪夢」として

お店などが入る複合施設となっています

 

 

 

 

 

 

バス停の名称は相変わらず

「輪島駅前」なのはなぜでしょう 

 

ここの二階に

「輪島市学習センター」があります

生徒たちが放課後に集って

学習に励んでいます

 

 

 

 

 

 


【今日のじょーおこらいえ】

生徒が校長ブログを読んで書いてくれた感想を

紹介するコーナー

 

今回「どんでん返し」とタイトルがつけられています

 

「とてつもなく目をひかれた文章がふたつありました

 ひとつ目が震災から38日目の記事です

 使い捨てのOne Dayコンタクトを

 1月1日からの約1ヵ月間

 つけっぱなしだったと言うものです。

 僕もツーウィークコンタクトのユーザなのでわかるのですが

 ワンデイコンタクトは目に張り付いてくるので

 とても1ヵ月なんて無理だと思っているし

 健康面でも何か問題が生じるのではと思ってしまいます

 ですが校長先生曰く

 使い捨てコンタクトは1ヵ月問題なく使えるとのことでした

 ところがそれから2日後

 『ごめんなさい嘘つきました』と言うタイトルから

 何があったのか気になって見てみると

 『38日目のブログでとんでもない大嘘をつきました』

 とあり僕はもしやと思いました

 案の定コンタクトレンズのことで

 目の調子が悪く

 目医者に行ってみると結膜炎を発症していたそうです

 結論

 やはりコンタクトレンズは

 用法守って正しく使いましょうとの事だそうです

 不謹慎かもしれませんが

 こんな時でも賑やかで面白い人だなと感じました」

                 《匿名希望》

 

生徒に「賑やか」と褒められる校長も珍しいですね

でもありがとうございます

最高の褒め言葉です

ずっと校長室に籠っている校長には

なりたくないと思っていますので

読書タイム

地震から 508 日目

豪雨から 244 日目

  

江戸時代中期の江戸の人口100万人

そのうち成年男子の識字率は70~80%

当時のロンドンの人口86万人で識字率20%

パリの人口54万人に対し識字率10%

 

寺子屋の果たした役割の大きさについて

以前このブログでも紹介しました

 

そして江戸末期

開国を迫る欧米諸国は

普通の庶民が本屋で立ち読みしている姿を見て

「この国は植民地化できない」

と植民地化を早々に諦めたそうです

「自国を統治できないような

 無能な庶民に替わって

 我々が統治してやる」

というのが植民地化の大義名分であったからです

 

このように日本を植民地化から守り

独立国家としての資質素養を欧米諸国に知らしめたのは

お上ではなく

ほかならぬ一般庶民だったのです

 

さて今はどうでしょう?

被災地では本屋が姿を消し

立ち読みする場がなくなりました

 

これは被災地に限ったことではなく

全国においてもみられます

20世紀末2万店あった本屋の数は

今年は半数以下の1万店を切ってしまいました

 

輪島高校では毎朝の読書タイムを設定しています

何を読んでもいいです

 

 

 

 

 

 

この時間によって

1時間目の授業に

非常に落ち着いた態度で

向かうことができています

 

今のところ校長の妄想ですが

お昼の後

午後の授業が始まる前にも

実施したいなと考えています


【被災地に電気が灯るまで】第37回

 発電と電池の仕組みについて学び

 エネルギー問題の解決を目指すこのコーナー

 

2種類の金属を導線で繋ぎ液体につけると

電気が流れ出す

これまで学んできたことを

一言で表すとこのようになります

 

金属や液体を変えることにより

様々な機能を持った電池を作ることができます

 

今日は世界初の充電式電池

「鉛蓄電池」について学びましょう

 

鉛蓄電池は

1859年フランス人のガストン・プランテが発明しました

2枚の薄い鉛板と希硫酸を用いたものです

 

日本でいうと

ハリスがやってきて

「日米修好通商条約」が締結された3年後になります

日本が開国するかすったもんだしている頃

フランスではすでに自動車で用いられる電池が

作られていたわけですね

 

その後様々な改良が加えられますが

それについてはまた次回

 

MOTTAINAI

地震から 507 日目

豪雨から 243 日目

 

ポルトガル研修旅行のオンライン振り返り会

今日はさといちゃんの気づきです

 

「もったいない文化」が全くない

 

ホームステイ先のお宅では

大量に料理を作って

大量に廃棄することに

全く躊躇しないのだそう

 

レストランでも次の料理が運ばれてくると

前の料理が残っていようがいまいが

容赦なく皿が下げられます

「まだ食べてるんですけど」

と言う暇すら与えてくれません

 

 

 

 

 

 

乗り込んでくる客がいようがいまいが

容赦なく閉まってくる地下鉄の扉と一緒です

 

さて「もったいない」について調べてみました

 

「勿体(もったい)」という仏教用語があります

今では重々しいとか風格や品位という意味ですが

本来「物のあるべき姿や本来持つ価値」

というような意味でした

この本質的な価値が失われてしまうことを

「もったいない」というのです

つまり本来尊い食べ物であるはずなのに

その価値を無くし

ゴミとなってしまうのが

「勿体ない」です

 

唯一日本人だけが持っていた

「もったいない」の心

 

ケニアのノーベル平和賞受賞者

ワンガリ・マータイさんは

2005年に初来日した際に

インタビューの中で出会った

「もったいない」という言葉に感銘し

この美しい日本語を

世界共通語「MOTTAINAI」として

広めることを提唱しました

 

Reduce(ゴミ削減)

Reuse(再利用)

Recycle(再資源化)という3Rに

かけがえのない地球資源に対する

Respect(尊敬の心)を込めて

「もったいない」

 

あの頃は

お米一粒

水1滴にも

「MOTTAINAI 」

この気持ちをもっていたことを

思い出しました

 

ぜひ全世界に広めたいですね


【今日のじょーおこらいえ】

生徒が校長ブログを読んで書いてくれた感想を

紹介するコーナー

 

今回は3月6日「ひさびさの調理実習」を読んで

 

「調理室は地震からずっと水が出ていない

 と聞いていました

 私たち2年生も

 まだ一度も調理実習をしたことがなく悲しいです

 3年生が授業で調理室を使っても水が出ないから

 玄関先でお皿を洗ったり

 そこから調理用の水を運んだりしていました

 今では当たり前のように水が使えるようになったことに

 感謝したいと思います

 水だけじゃなく

 電気が通っていること

 電波がしっかりあること

 道がまっすぐなことなど

 日に日に良くなっていっている輪島で

 毎日頑張ろうと思います

 調理室の水が出るようになったということで

 全校のみんなで調理室を

 きれいに使おうと思いました」

       《匿名希望》